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20 そして……
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取り調べが終わるとゼインはすぐに出発すると言う。
「もっとゆっくりお礼を申し上げたいのに……」
「ありがとうございます。でも私を必要としている人がいるようなのでね、帰ります」
「もう次の依頼が?」
レオンも残念そうだ。アステリアでは仲良くしていたのだから、もっと話をしたかっただろう。
「またゆっくり遊びに来ます。そうそう、リュシエンヌ嬢、レオンはあなたをずっと想い続けていましてね。あなたのことをそれはもう、たくさん聞かされました。だからあなたとは初めて会った気がしないくらいです」
「え……そうなのですか?」
照れ臭さに頬を染めるリュシエンヌ。レオンも恥ずかしそうだ。
「レオン、想いが叶って良かった。本当におめでとう」
「ありがとう、ゼイン。君にはいくら感謝しても足りないよ。君の話をたくさん聞いていたから、リュシエンヌが眠り続けていたと知った時、魔法に掛けられているかもと思えたんだ」
リュシエンヌはひとつ不思議に思っていたことをゼインに質問した。
「ゼイン様、私が突然目覚めたのは何か理由があるのですか? それとも、レオンが来た時に目覚めたのは単なる偶然でしょうか」
ゼインはクスッと笑う。
「実は、私はレオンのことがかなり気に入ってましてね。小さな頃から見ているせいかな。それで、彼が突然帰ることになった時……こっそり魔法を掛けておいたのです」
「え? 本当か、ゼイン?」
「はい。軽い魔法から身を守る結界のようなものです。おそらく、レオンがリュシエンヌ嬢の手にキスをした時に、その効果で眠りの魔法が解けたのでしょう」
「えっ……! そんなことまでわかるのか、ゼイン⁉︎」
レオンは真っ赤になっていた。リュシエンヌが眠っている間にこっそりしたキスを暴露されたから。
「ごめん、リュシエンヌ……でも、手だけだから……! 本当のキスはさっきのが初めてだから!」
焦るレオンが可愛くて、リュシエンヌはくすくすと笑った。
「ありがとう、レオン。あなたがキスしてくれたおかげで私は目覚めることができたのね。あの時目覚めなかったら、私はどうなっていたかわからないわ。それに、恋人のキスで目覚めるなんて絵本の王女様みたいで素敵」
「リュシー……」
二人はお互いを見つめ合い、ゼインはそれを嬉しそうに眺めていた。
「さあ、ではそろそろ出発しますか。どうやらお邪魔のようですし」
「ち、違いますわ、ゼイン様!」
「ゼイン、邪魔なんかであるものか! もっといて欲しい!」
焦る二人の手を取ってゼインは微笑んだ。
「どうか、そのままの二人でいて欲しい。お互いを信頼し合うことが魔を寄せ付けない一番の予防策だからね」
そしてふわりと巻き起こった風と共にその姿は消えた。
「もう行ってしまったのね……」
「ああ。彼を待つ人の所へ……」
その後、この事件の詳細が発表され、魔法の恐ろしさが貴族社会に広がった。やがては庶民へも噂が流れていくだろう。
アラベルの実家は爵位を取り上げられ田舎へ移った。マルセルは同情もされたがアラベルの暴走を招いたことで肩身の狭い思いをし、爵位はそのままだが彼もまた田舎の領地に引っ込むことになった。
レオンはリュシエンヌとの婚約披露パーティーをもう一度盛大に催した。そして半年後にこれまた盛大な結婚式を挙げ、最愛の女性を妻にした喜びを爆発させていた。
「リュシー。僕は必ず君を幸せにするよ。一緒に歳を重ねて、二人で歩いていこう」
「ええ、レオン。ずっと一緒に……」
柔らかい微笑みをレオンに向けるリュシエンヌ。真っ白なウエディングドレスがよく似合う。
(12年前、俺が恋焦がれたリュシエンヌが今腕の中にいる。こんな幸せなことがあるだろうか? 本当はいけないことだが、アラベルに感謝している俺がいる……)
「どうしたの? レオン。ぼんやりして」
「違うよ、リュシー。あまりに幸せで泣きそうになっていたのさ」
レオンはリュシエンヌの頬にキスをして、サッと抱き上げた。
「きゃっ、レオンったら……」
リュシエンヌは驚いて、でも嬉しそうにレオンの首に腕を回す。
「さあ、皆のところへ行こうか」
拍手とフラワーシャワーが夢のように舞う中を、二人は歩いて行く。永遠の愛を誓って――
「もっとゆっくりお礼を申し上げたいのに……」
「ありがとうございます。でも私を必要としている人がいるようなのでね、帰ります」
「もう次の依頼が?」
レオンも残念そうだ。アステリアでは仲良くしていたのだから、もっと話をしたかっただろう。
「またゆっくり遊びに来ます。そうそう、リュシエンヌ嬢、レオンはあなたをずっと想い続けていましてね。あなたのことをそれはもう、たくさん聞かされました。だからあなたとは初めて会った気がしないくらいです」
「え……そうなのですか?」
照れ臭さに頬を染めるリュシエンヌ。レオンも恥ずかしそうだ。
「レオン、想いが叶って良かった。本当におめでとう」
「ありがとう、ゼイン。君にはいくら感謝しても足りないよ。君の話をたくさん聞いていたから、リュシエンヌが眠り続けていたと知った時、魔法に掛けられているかもと思えたんだ」
リュシエンヌはひとつ不思議に思っていたことをゼインに質問した。
「ゼイン様、私が突然目覚めたのは何か理由があるのですか? それとも、レオンが来た時に目覚めたのは単なる偶然でしょうか」
ゼインはクスッと笑う。
「実は、私はレオンのことがかなり気に入ってましてね。小さな頃から見ているせいかな。それで、彼が突然帰ることになった時……こっそり魔法を掛けておいたのです」
「え? 本当か、ゼイン?」
「はい。軽い魔法から身を守る結界のようなものです。おそらく、レオンがリュシエンヌ嬢の手にキスをした時に、その効果で眠りの魔法が解けたのでしょう」
「えっ……! そんなことまでわかるのか、ゼイン⁉︎」
レオンは真っ赤になっていた。リュシエンヌが眠っている間にこっそりしたキスを暴露されたから。
「ごめん、リュシエンヌ……でも、手だけだから……! 本当のキスはさっきのが初めてだから!」
焦るレオンが可愛くて、リュシエンヌはくすくすと笑った。
「ありがとう、レオン。あなたがキスしてくれたおかげで私は目覚めることができたのね。あの時目覚めなかったら、私はどうなっていたかわからないわ。それに、恋人のキスで目覚めるなんて絵本の王女様みたいで素敵」
「リュシー……」
二人はお互いを見つめ合い、ゼインはそれを嬉しそうに眺めていた。
「さあ、ではそろそろ出発しますか。どうやらお邪魔のようですし」
「ち、違いますわ、ゼイン様!」
「ゼイン、邪魔なんかであるものか! もっといて欲しい!」
焦る二人の手を取ってゼインは微笑んだ。
「どうか、そのままの二人でいて欲しい。お互いを信頼し合うことが魔を寄せ付けない一番の予防策だからね」
そしてふわりと巻き起こった風と共にその姿は消えた。
「もう行ってしまったのね……」
「ああ。彼を待つ人の所へ……」
その後、この事件の詳細が発表され、魔法の恐ろしさが貴族社会に広がった。やがては庶民へも噂が流れていくだろう。
アラベルの実家は爵位を取り上げられ田舎へ移った。マルセルは同情もされたがアラベルの暴走を招いたことで肩身の狭い思いをし、爵位はそのままだが彼もまた田舎の領地に引っ込むことになった。
レオンはリュシエンヌとの婚約披露パーティーをもう一度盛大に催した。そして半年後にこれまた盛大な結婚式を挙げ、最愛の女性を妻にした喜びを爆発させていた。
「リュシー。僕は必ず君を幸せにするよ。一緒に歳を重ねて、二人で歩いていこう」
「ええ、レオン。ずっと一緒に……」
柔らかい微笑みをレオンに向けるリュシエンヌ。真っ白なウエディングドレスがよく似合う。
(12年前、俺が恋焦がれたリュシエンヌが今腕の中にいる。こんな幸せなことがあるだろうか? 本当はいけないことだが、アラベルに感謝している俺がいる……)
「どうしたの? レオン。ぼんやりして」
「違うよ、リュシー。あまりに幸せで泣きそうになっていたのさ」
レオンはリュシエンヌの頬にキスをして、サッと抱き上げた。
「きゃっ、レオンったら……」
リュシエンヌは驚いて、でも嬉しそうにレオンの首に腕を回す。
「さあ、皆のところへ行こうか」
拍手とフラワーシャワーが夢のように舞う中を、二人は歩いて行く。永遠の愛を誓って――
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