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婚約式
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そして翌日、護衛以外にも大勢引き連れてヴィンセントがクスバート家を訪れた。アンジェリカは野暮ったい去年のドレスしか無いのが残念ではあったが、髪型やメイクを工夫して少しでも綺麗になれるように頑張った。
一方のヴィンセントは制服姿とはまた違って、飾りがたくさんついた王族の服を身に付け、いつもよりも三倍増しで素敵だった。
司祭も同席しての婚約の儀式を行い、正式な書類二通ずつにサインをしてそれぞれの国に提出することにした。
「アンジェリカ、急だったから指輪は用意出来ていないんだ。サイズも、好みもわからないからね。卒業パーティーまでに好きな物を一緒に選ぼう」
「はい、殿下。ありがとうございます」
両家で話し合いの結果、学園を卒業したらすぐにアステリアに行き、王宮で花嫁修行をする事になった。結婚式はその半年後となる。
「ウィリアム達のひと月後になるな。お互いの結婚式に夫婦で出席することになるだろう」
「楽しみですわ。皆、同級生ですものね」
ヴィンセントに同行して来た者の中に、一人、とても若い男がいた。長い銀髪にグレーの瞳、ヴィンセントと同じ年か少し下くらいにしか見えないが、どうやらかなり位が高いらしく皆が丁重に扱っている。その男はアンジェリカをじっと見つめていた。
その視線に気がついたアンジェリカだが、それは嫌な視線ではなく、むしろ温かい……慈しむようなものだった。
「アンジェリカ、彼はゼイン。我がアステリアの誇る優秀な大臣だ」
「ゼイン様、アンジェリカと申します。よろしくお願いいたします」
淑女の礼を取るアンジェリカにゼインは尋ねた。
「アンジェリカ様。十八歳のお誕生日はいつですか?」
「え? ……はい、明後日です」
ゼインはニコッと笑った。
「ありがとうございます。あなたに、神の御加護がありますように」
それだけ言うと、ゼインはサッとその場から立ち去った。
「なんだか、不思議な方ね。初めてお会いしたのに懐かしいような……」
「うん、彼はね、特別なんだ。我が国の宝だよ」
「アンジェリカ。殿下に庭園をご案内して差し上げなさいな。お茶の支度をしておきますからね」
「はい、お母様」
アンジェリカは大好きなノウゼンカズラの咲く庭へヴィンセントを連れて行った。
「この花が大好きなんです。空に向かって咲くオレンジ色の花。花言葉は、『華のある人生』なんです。私には似合わないってずっと思っていたけれど……」
「だめだよ、アンジェリカ」
「はい。今は、私のためにあるような花だって、そう思います」
「よくできました」
ヴィンセントは微笑んでアンジェリカの手を取り、その甲に口づけた。
(私は、世界一幸せだ。こんな顔だって、関係ない。私は、私を好きでいたい)
アンジェリカの『華のある人生』は今、幕を開けたのだと感じた。
一方のヴィンセントは制服姿とはまた違って、飾りがたくさんついた王族の服を身に付け、いつもよりも三倍増しで素敵だった。
司祭も同席しての婚約の儀式を行い、正式な書類二通ずつにサインをしてそれぞれの国に提出することにした。
「アンジェリカ、急だったから指輪は用意出来ていないんだ。サイズも、好みもわからないからね。卒業パーティーまでに好きな物を一緒に選ぼう」
「はい、殿下。ありがとうございます」
両家で話し合いの結果、学園を卒業したらすぐにアステリアに行き、王宮で花嫁修行をする事になった。結婚式はその半年後となる。
「ウィリアム達のひと月後になるな。お互いの結婚式に夫婦で出席することになるだろう」
「楽しみですわ。皆、同級生ですものね」
ヴィンセントに同行して来た者の中に、一人、とても若い男がいた。長い銀髪にグレーの瞳、ヴィンセントと同じ年か少し下くらいにしか見えないが、どうやらかなり位が高いらしく皆が丁重に扱っている。その男はアンジェリカをじっと見つめていた。
その視線に気がついたアンジェリカだが、それは嫌な視線ではなく、むしろ温かい……慈しむようなものだった。
「アンジェリカ、彼はゼイン。我がアステリアの誇る優秀な大臣だ」
「ゼイン様、アンジェリカと申します。よろしくお願いいたします」
淑女の礼を取るアンジェリカにゼインは尋ねた。
「アンジェリカ様。十八歳のお誕生日はいつですか?」
「え? ……はい、明後日です」
ゼインはニコッと笑った。
「ありがとうございます。あなたに、神の御加護がありますように」
それだけ言うと、ゼインはサッとその場から立ち去った。
「なんだか、不思議な方ね。初めてお会いしたのに懐かしいような……」
「うん、彼はね、特別なんだ。我が国の宝だよ」
「アンジェリカ。殿下に庭園をご案内して差し上げなさいな。お茶の支度をしておきますからね」
「はい、お母様」
アンジェリカは大好きなノウゼンカズラの咲く庭へヴィンセントを連れて行った。
「この花が大好きなんです。空に向かって咲くオレンジ色の花。花言葉は、『華のある人生』なんです。私には似合わないってずっと思っていたけれど……」
「だめだよ、アンジェリカ」
「はい。今は、私のためにあるような花だって、そう思います」
「よくできました」
ヴィンセントは微笑んでアンジェリカの手を取り、その甲に口づけた。
(私は、世界一幸せだ。こんな顔だって、関係ない。私は、私を好きでいたい)
アンジェリカの『華のある人生』は今、幕を開けたのだと感じた。
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