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5. 愛を失わない方法 〈エルド視点〉
しおりを挟む結婚式でクレアが立ち去り、僕の心は悲しさで溢れていた。
原因は僕にあると分かっているが…。
僕は君を愛しているけど、それを伝えると君は死んでしまうんだ!とクレアに伝えたい…が伝えることは許されない。
最愛の人が自分の言葉で死んでしまうなんて最悪の事態は避けたい。
世の中にこんな恐ろしい魔法があるだなんて…。
僕は魔女の思うつぼだった。
いつも、あの時僕を拐った魔女の顔を思い出す。
この世にはもういない魔女の顔を…。
ん?
もしかしたら、今ならば誰かこの魔法、いや、呪いの解き方が分かる方法があるかもしれない。
昔はいろいろ聞いてみたが分からなかったが、いろんな技術が進歩しているのだから分かるかも…。
僕はじっとすることが出来なくてすぐに魔法省に行ってみた。
そこには友人がいるからだ。
僕のこの体質は家族意外は誰にも言っていない。
誰かが知らない内にクレアに伝えてしまうのを防ぐ為に友人にも話さずにいのだ。
「急にどうしたんだ?落ち込んでいると聞いて今夜でも訪ねてみようと思っていたんだぞ」
そう話すのは真っ黒な髪と瞳の友人のルドだ。
「急にすまない…。どうしてもすぐに聞きたい事があって…。できれば2人きりで話をしたいんだが…大丈夫だろうか?」
「ああ…お前のそんな顔は初めて見たよ。何か困っているんだろう。少し待っていてくれ、早退してくるから」
「すまない…」
「気にするな!」
セドは僕の肩を叩き仕事場に戻って行った。
セドを待っている間、僕は不安になっていた。
もし、セドに話しても解決出来なければどうしよう…。
クレアとは別れなければならないのだろうか…。
嫌だ…絶対に嫌だ!
僕はクレアを誰よりも愛している。
…伝えた事は一度もないが…。
あ~、もうどうすれば良いのだ!
結婚式まではクレアは僕の事を好きになってくれていると思っていたんだ。
だけど…実際は違っていた。
「愛は誓えない」と言われたのだ。
分かっていたんだ、クレアが髪型を変えた時も、お化粧を変えた時も全て僕に気がついてほしい、何か言ってほしいというサインだって…。
でも…僕はクレアを失うのが怖くて何も言えなかった。
誉めることも愛していることを証明するのではないか…そう思うと怖かった。
確かにこんな僕は好きになってもらえなくて当然だ。
落ち込んでいるところにセドがやって来た。
「待たせたな。どこで話をする?」
「僕の家でも良いか?」
「ああ、どうせ今日訪ねる予定だったしな」
セドは笑顔を見せてまた僕の肩を叩いた。
「たっぷりお前の悩みを聞かせてもらうよ」
「ありがとうセド…」
僕達は屋敷へと向かった。
どうか、愛を失わない方法がありますように…。
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