あなたは愛を誓えますか?

縁 遊

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6. 愛を囁く為に 〈エルド視点〉

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「一体何があったんだ?」

「これは、秘密にしてほしい事なんだが…」

僕は全てをセドに話した。

「…知らなかった。何でもっと早く言わなかったんだよ」

「多くの人に知られると彼女の命が危なくなるから言えなかったんだ」

2人の間に沈黙の時間が流れる。

「それは、そうだが…お前どれだけ1人で悩んでたんだよ…」

セド…。

僕はセドの言葉が嬉しくて泣いてしまった。

「愛しているのに言えない何て…辛すぎる。俺なら耐えられないよ」

セドは泣いている僕の背中を擦ってくれている。

「でも…聞いたことがないな、魔法でも呪術の方だよな…お前から感じないんだよな…呪術の気配」

「え?!」

呪術の気配がない?

「本当に?」

「ああ…絶対にか、と言われたらわからないが…」

それでは困る。

絶対に大丈夫じゃないと彼女が死んでしまうんだ。

「だけど、愛していると言わなければ大丈夫だと思うぞ」

「…本当か」

可愛いとか、綺麗だとか…好きだとか言っても良いのか?

本当に?

「いや、でも…もし彼女に何かあったら…」

「心配性だな。じゃあ、もし彼女が倒れたら俺が助けるから」

「助けられるのか?本当に?」

「俺を信じろ!」

セドが擦っていてくれた背中をバンバンと叩く。

セドは魔力量が多く、魔法の腕も一流だ。

彼が自信があるのなら大丈夫だと僕は知っている。

僕は本当に彼女に…クレアに好きだと伝えても良いのか…。

今まで我慢していた分だけ言葉が溢れだしそうだ。

クレア…今すぐ君に会いたい。

会って沢山話がしたい。

君に甘い言葉を囁きたい。

愛しているは言えないが…。

だけど、君が僕を愛してくれて愛のあるキスをすれば心配はなくなり僕は何度でも君に愛していると言えるようになる。

君に触れる事が出来るようになる。

ああ…なんて素敵なんだ。

「エルド、俺が居るのを忘れていないか?」

すまない、忘れていたよ。

「すまない…すっかり君がいることを忘れてクレアの事を考えていたよ。恥ずかしいな…」

「まあ、エルドの今までの事を考えればしかたないな…」

その時だった、執事が慌てた感じで僕の部屋にやって来た。

「何事なんだ?」

「お2人の時間をお邪魔して申し訳ございません。ですが…エルド様少しよろしいでしょうか」

いつも冷静な執事がこんなに慌てるなんて何があったんだ?

「実は…」

僕は執事の話を聞いて驚いた。

「それで今はどこにいるのだ」

「はい。応接室で待ってもらっております」

「そうか…」

心臓がバクバクとしているのが分かる。

緊張しているのか…。

「すまないセド…すぐにお願いすることになるかもしれない」
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