あなたは愛を誓えますか?

縁 遊

文字の大きさ
6 / 8

6. 愛を囁く為に 〈エルド視点〉

しおりを挟む

「一体何があったんだ?」

「これは、秘密にしてほしい事なんだが…」

僕は全てをセドに話した。

「…知らなかった。何でもっと早く言わなかったんだよ」

「多くの人に知られると彼女の命が危なくなるから言えなかったんだ」

2人の間に沈黙の時間が流れる。

「それは、そうだが…お前どれだけ1人で悩んでたんだよ…」

セド…。

僕はセドの言葉が嬉しくて泣いてしまった。

「愛しているのに言えない何て…辛すぎる。俺なら耐えられないよ」

セドは泣いている僕の背中を擦ってくれている。

「でも…聞いたことがないな、魔法でも呪術の方だよな…お前から感じないんだよな…呪術の気配」

「え?!」

呪術の気配がない?

「本当に?」

「ああ…絶対にか、と言われたらわからないが…」

それでは困る。

絶対に大丈夫じゃないと彼女が死んでしまうんだ。

「だけど、愛していると言わなければ大丈夫だと思うぞ」

「…本当か」

可愛いとか、綺麗だとか…好きだとか言っても良いのか?

本当に?

「いや、でも…もし彼女に何かあったら…」

「心配性だな。じゃあ、もし彼女が倒れたら俺が助けるから」

「助けられるのか?本当に?」

「俺を信じろ!」

セドが擦っていてくれた背中をバンバンと叩く。

セドは魔力量が多く、魔法の腕も一流だ。

彼が自信があるのなら大丈夫だと僕は知っている。

僕は本当に彼女に…クレアに好きだと伝えても良いのか…。

今まで我慢していた分だけ言葉が溢れだしそうだ。

クレア…今すぐ君に会いたい。

会って沢山話がしたい。

君に甘い言葉を囁きたい。

愛しているは言えないが…。

だけど、君が僕を愛してくれて愛のあるキスをすれば心配はなくなり僕は何度でも君に愛していると言えるようになる。

君に触れる事が出来るようになる。

ああ…なんて素敵なんだ。

「エルド、俺が居るのを忘れていないか?」

すまない、忘れていたよ。

「すまない…すっかり君がいることを忘れてクレアの事を考えていたよ。恥ずかしいな…」

「まあ、エルドの今までの事を考えればしかたないな…」

その時だった、執事が慌てた感じで僕の部屋にやって来た。

「何事なんだ?」

「お2人の時間をお邪魔して申し訳ございません。ですが…エルド様少しよろしいでしょうか」

いつも冷静な執事がこんなに慌てるなんて何があったんだ?

「実は…」

僕は執事の話を聞いて驚いた。

「それで今はどこにいるのだ」

「はい。応接室で待ってもらっております」

「そうか…」

心臓がバクバクとしているのが分かる。

緊張しているのか…。

「すまないセド…すぐにお願いすることになるかもしれない」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

完結  どうぞ、お好きなだけひっつき虫になればよろしくてよ

ポチ
恋愛
お互いを大切にし合えると思っていた 例え私だけが貴方を愛しているとしても

【完】婚約者に、気になる子ができたと言い渡されましたがお好きにどうぞ

さこの
恋愛
 私の婚約者ユリシーズ様は、お互いの事を知らないと愛は芽生えないと言った。  そもそもあなたは私のことを何にも知らないでしょうに……。  二十話ほどのお話です。  ゆる設定の完結保証(執筆済)です( .ˬ.)" ホットランキング入りありがとうございます 2021/08/08

さよなら 大好きな人

小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。 政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。 彼にふさわしい女性になるために努力するほど。 しかし、アーリアのそんな気持ちは、 ある日、第2王子によって踏み躙られることになる…… ※本編は悲恋です。 ※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。 ※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

完結  やっぱり貴方は、そちらを選ぶのですね

ポチ
恋愛
卒業式も終わり 卒業のお祝い。。 パーティーの時にソレは起こった やっぱり。。そうだったのですね、、 また、愛する人は 離れて行く また?婚約者は、1人目だけど。。。

【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね

さこの
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者は伯爵家の次男、ジェラール様。 私の家は侯爵家で男児がいないから家を継ぐのは私です。お婿さんに来てもらい、侯爵家を未来へ繋いでいく、そう思っていました。 全17話です。 執筆済みなので完結保証( ̇ᵕ​ ̇ ) ホットランキングに入りました。ありがとうございますペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+* 2021/10/04

処理中です...