あなたは愛を誓えますか?

縁 遊

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8. 愛している

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私達は今日、新たな気持ちで結婚式を挙げる。

あれから2人でたくさん話し合ったのだ。

結果…。

今までお互いの事をあまりにも知らなかったと気がついた。

何故か、たくさん話す様になったエルド様…。

今まで言っていただいた事がなかった言葉を私にかけて下さるようになった。

「可愛いね」「今日も素敵だね」「綺麗だね」

私が恥ずかしくなるくらい…今までの無言が嘘の様にエルド様は変わった。

私達は今までの溝を埋めるかのように頻繁に会い、そしてお互いの気持ちを確かめた。

自分でも勝手だなと思うが…結婚するならこの人が良いと思い始めた。

エルド様もそう思ってくれたみたい。

そして、今日を迎えた。

「貴女は愛を誓いますか?」

「はい、誓います…」

前は言えなかった言葉を今は言う事ができる。

「それでは誓いのキスを」

神父様の声が響く。

ゆっくりとエルド様の顔が近づく…。

私は瞳を閉じて待っていた。

そして、私の唇に温もりを感じた。

エルド様の唇…。

ゆっくりと離れていく唇…、エルド様の顔を見たくなり瞳を開けた。

「愛しているクレア…」

じっと瞳を見つめて、初めて愛していると言われた。

その瞬間…私の瞳から涙が溢れた。

「私も愛しています」

なぜか、エルド様の御両親と親友のセド様がが号泣しながら拍手されている。

私はその理由を式が終えてから知った。

「え?呪いですか…」

「ああ…昔、誘拐された魔女に、愛する相手に愛を囁くと死ぬという呪いをかけられていたんだ…。だから、クレアに愛してると言うことが出来なかった…」

「それなら言って下されば良かったのに…」

エルド様は首を横にふった。

「愛する人に呪いの事を知られてもその人は死んでしまうと言われていたんだよ。だから君と話すのが怖かったんだ。何かを話せば君に愛していると伝わりそうで…君が死んでしまいそうで…」

「そんな…」

私はエルド様を抱きしめた。

「私はそうとは知らずにエルド様は私の事を嫌いだから口を聞いてくれないと…愛されていないと思っておりました。許して下さい…エルド様がこんなに私のことを愛して下さっていたのに…」

そう言った後、気になった事があった。

「でも…結婚式の時にエルド様は愛してると言ってくださいましたわ?もう、大丈夫なのですか?」

「それなんだが、愛している人とキスをすると呪いが解けると言われていたんだ…。だが、セドに言われたんだが…実際は魔女は呪いをかけていなかったらしい…」

「え?!どういうことですか?」

「確信はなかったんだが、最初に君に逃げられた後セドに相談して少しずつ君に好意を伝える様にして変化があるかを見ていたんだ、勿論何かあったらセドが助けてくれることになっていたんだよ、そこで気がついたんだよ…魔女の嘘だったって…」

「何故そんな嘘を魔女はついたのですか?」

「私を誘拐した魔女は愛する人に裏切られて心を病んでいたらしい。その時に僕を誘拐し愛そうと思ったけどすぐに捕まってしまった。これは僕の想像だけど、魔女は僕に真実の愛を見つけてほしいと思ったんじゃないかな…。だから、本当に呪術はかけなかった…」

魔女も悲しい人だったのね…。

「だけど、僕は幸せだよ…。魔女のおかげでいろいろあったけど、愛する人とこうして結婚できた」

「エルド様…私も幸せですわ」

見つめあい微笑んだ。

「これからは何度でも君に言える…」

「ええ、私も何度でも言いますわ…」


  「「愛してる…」」






これで最終話になります。

最後まで読んで下さりありがとうございました。

お気に入り登録ありがとうございます。

楽しんでもらえると嬉しい!と勝手に思いながらやる気を出しています。

栞をしてくださっている皆さんもありがとうございます。

数が減らないように面白い物語にしないと…と緊張感を持って書いています。

いろんな物語を書いているのでまた読んで頂けると嬉しいです。

本当にありがとうございました。





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感想 3

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みんなの感想(3件)

みけの
2025.12.19 みけの

ハッピーエンドで良かったです♪
ずるずる引きずらないで簡潔にして下さったのでストレスなく読めました(*^▽^*)。
これが、ヒーローが面倒くさい性格だったらこじれたでしょうが(^-^;。ヒロインが我慢しない強い女性だったのが幸いしたのかな?

解除
与三振王
2025.12.18 与三振王

魔女の呪い抜きにしても、日常会話すらやらないで結婚式台無しにしたのに、これで元サヤはガイジな男もそうだがこれでコロッと許す女のほうがバカすぎる

解除
korosuke
2025.07.05 korosuke

愛を囁く前に、そもそも普通に会話をしてないのは愚かしいと思ってしまった。大切にするということの間違えた解釈で、結婚までできる⁇

解除

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