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第558話「軽く頷いたリオネルは、ぱちん!と指を鳴らした」
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「リオネル様、何か、不思議な感じですわ」
「何がです?」
「はい、精霊、アールヴ族、人間族が仲良く一緒にお茶を飲み、焼き菓子を食べながら団らんしているなんて……本当に不思議なのですわ。そう思いません?」
ヒルデガルドは同意を求めるが、リオネルは淡々としている。
「まあ、そうですね」
「……リオネル様」
「はい」
「こうやって過ごすのが、あまり不思議じゃないというか、違和感がないという雰囲気ですね」
「そうですか。俺、フォルミーカ迷宮では、大体が魔族、妖精と一緒だったので、平常とか、いつもの通常運転って感じです」
「え? フォルミーカ迷宮では、大体が魔族、妖精と一緒だった? それは迷宮で敵となる対象として、ひんぱんに魔族と遭遇したという事ですか?」
「いいえ、違います。魔族、妖精が仲間としていつも一緒に行動していましたよ」
「な、仲間? いつも一緒?」
「はい、一応、彼らの立ち位置は従士なのですが、時には教師、時には友人として、そして部下として接しています」
「妖精や使い魔ならまだ分かりますが……魔族が教師であり、友人でもあるとは……私には全く想像が出来ません」
「全く想像出来ませんか? ならば、論より証拠で、俺の仲間を見てみますか?」
「でも魔族でしょう? ……少し怖い気もしますよね?」
少し不安がり、問いかけるヒルデガルドだが、リオネルはスルー。
「この場へ呼ぶのか、呼ばないのか、俺はどちらでも構いません……まあ、今後彼らには仕事上で協力をして貰いますから、紹介するには良い機会かもしれません」
今後彼らには仕事上で協力をして貰う。
つまり否応なしに、会う事となる。
ヒルデガルドはしばし考え、納得。
首を縦に振る。
「……ですね。分かりました! リオネル様の仲間をお呼びくださいませ!」
「ヒルデガルドさん、本当にいいんですか?」
「はい! よくよく考えましたら、リオネル様もティエラ様も精霊様もおじいさまもこの場にいらっしゃるし! 安心ですわっ!」
ヒルデガルドの言葉を聞き、イェレミアスは苦笑。
少し複雑な気持ちであった。
愛する孫娘ヒルデガルドが、リオネルと打ち解け、心の底から信じたのは構わない。
ふたりが仲良くなり、信頼し合えば、
自分が立案した高難度の『イエーラ富国計画』は、
上手く行く可能性が高くなるから。
しかし、ヒルデガルドが常日頃、
「おじいさまは、世界で最も偉大かつ敬愛する存在です」
と慕っていた自分を、よりによって一番最後の『4番目』に名前をあげるとは、
正直とてもショックなのである。
そんなイェレミアスへ、ティエラがこそっと言う。
「イェレミアス、そんなに落ち込まないの。貴方もいいかげん孫離れしなさいね」
「はあ……孫離れですか。そうですよね……」
大きくため息を吐いたイェレミアスは、再び苦笑したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ティエラとイェレミアスが会話する一方で、
リオネルは、ヒルデガルドへ言う。
「じゃあ、ヒルデガルドさん。事務官、護衛役の方々に、今から魔獣、竜を呼ぶから驚かないように言ってください」
「え? ま、魔獣に竜?」
「はい、魔獣を2体、竜も2体呼びます」
「そ、それって……」
「ただ、ここへ『本体』で呼び出すと、皆さんのショックも大きいので、擬態させて出しますね」
「ほ、本体は、ショックも大きいのですか?」
「はい、本体は結構いかついので、まずは擬態姿で出します。事務官、護衛役の方々には、そう言ってください」
「わ、分かりました」
ヒルデガルドは頷くと、声を張り上げ、
「これから! リオネル様が魔族の従士を呼び出します! 危険はないので、落ち着いていること!」
と指示を出した。
事務官、護衛役は驚いてざわめいたが、ヒルデガルドの言葉は勿論、
イェレミアスも全く動じていないので、次第にざわめきは消えて行った。
どうやら「準備は、整った」ようである。
「……じゃあ、行きますよ」
軽く頷いたリオネルは、ぱちん! と指を鳴らした。
と同時に、テーブル前の芝生上に、体長2mを超えるシルバーグレイ、
そして漆黒の体毛を持つ、巨大な灰色狼が現れる。
勿論、冥界の門番ことケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟である。
「わ、わあっ!」
2体の巨大な灰色狼は、驚くヒルデガルドをスルー。
リオネルを見つめ、「うおん!」と短く吠えた。
「ふうう……これは……本当に見事な魔獣ですね! とっても美しいです!」
スルーされたヒルデガルドではあったが、魔獣兄弟を見て、感嘆の息を吐いた。
そしてリオネルへ尋ねる。
「リオネル様! それで灰色狼に擬態したこの子達の正体はいかに」
対して、リオネルはしれっと。
「はい、冥界の門番ことケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟です」
「へ!!?? ケ、ケルベロス!!?? オ、オルトロス!!??」
リオネルから2体の『正体』を聞き、驚き、噛み、のけぞるヒルデガルド。
高位の魔獣としてケルベロス、オルトロスの名前、
そして素の姿を知っているからだ。
当然ながら、実際にケルベロスたちの姿を見た事はない。
「で、ヒルデガルドさん、ファイナルアンサーです。彼らの本体を見せますか?」
微笑んだリオネルは、念の為、再び尋ねたのである。
「何がです?」
「はい、精霊、アールヴ族、人間族が仲良く一緒にお茶を飲み、焼き菓子を食べながら団らんしているなんて……本当に不思議なのですわ。そう思いません?」
ヒルデガルドは同意を求めるが、リオネルは淡々としている。
「まあ、そうですね」
「……リオネル様」
「はい」
「こうやって過ごすのが、あまり不思議じゃないというか、違和感がないという雰囲気ですね」
「そうですか。俺、フォルミーカ迷宮では、大体が魔族、妖精と一緒だったので、平常とか、いつもの通常運転って感じです」
「え? フォルミーカ迷宮では、大体が魔族、妖精と一緒だった? それは迷宮で敵となる対象として、ひんぱんに魔族と遭遇したという事ですか?」
「いいえ、違います。魔族、妖精が仲間としていつも一緒に行動していましたよ」
「な、仲間? いつも一緒?」
「はい、一応、彼らの立ち位置は従士なのですが、時には教師、時には友人として、そして部下として接しています」
「妖精や使い魔ならまだ分かりますが……魔族が教師であり、友人でもあるとは……私には全く想像が出来ません」
「全く想像出来ませんか? ならば、論より証拠で、俺の仲間を見てみますか?」
「でも魔族でしょう? ……少し怖い気もしますよね?」
少し不安がり、問いかけるヒルデガルドだが、リオネルはスルー。
「この場へ呼ぶのか、呼ばないのか、俺はどちらでも構いません……まあ、今後彼らには仕事上で協力をして貰いますから、紹介するには良い機会かもしれません」
今後彼らには仕事上で協力をして貰う。
つまり否応なしに、会う事となる。
ヒルデガルドはしばし考え、納得。
首を縦に振る。
「……ですね。分かりました! リオネル様の仲間をお呼びくださいませ!」
「ヒルデガルドさん、本当にいいんですか?」
「はい! よくよく考えましたら、リオネル様もティエラ様も精霊様もおじいさまもこの場にいらっしゃるし! 安心ですわっ!」
ヒルデガルドの言葉を聞き、イェレミアスは苦笑。
少し複雑な気持ちであった。
愛する孫娘ヒルデガルドが、リオネルと打ち解け、心の底から信じたのは構わない。
ふたりが仲良くなり、信頼し合えば、
自分が立案した高難度の『イエーラ富国計画』は、
上手く行く可能性が高くなるから。
しかし、ヒルデガルドが常日頃、
「おじいさまは、世界で最も偉大かつ敬愛する存在です」
と慕っていた自分を、よりによって一番最後の『4番目』に名前をあげるとは、
正直とてもショックなのである。
そんなイェレミアスへ、ティエラがこそっと言う。
「イェレミアス、そんなに落ち込まないの。貴方もいいかげん孫離れしなさいね」
「はあ……孫離れですか。そうですよね……」
大きくため息を吐いたイェレミアスは、再び苦笑したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ティエラとイェレミアスが会話する一方で、
リオネルは、ヒルデガルドへ言う。
「じゃあ、ヒルデガルドさん。事務官、護衛役の方々に、今から魔獣、竜を呼ぶから驚かないように言ってください」
「え? ま、魔獣に竜?」
「はい、魔獣を2体、竜も2体呼びます」
「そ、それって……」
「ただ、ここへ『本体』で呼び出すと、皆さんのショックも大きいので、擬態させて出しますね」
「ほ、本体は、ショックも大きいのですか?」
「はい、本体は結構いかついので、まずは擬態姿で出します。事務官、護衛役の方々には、そう言ってください」
「わ、分かりました」
ヒルデガルドは頷くと、声を張り上げ、
「これから! リオネル様が魔族の従士を呼び出します! 危険はないので、落ち着いていること!」
と指示を出した。
事務官、護衛役は驚いてざわめいたが、ヒルデガルドの言葉は勿論、
イェレミアスも全く動じていないので、次第にざわめきは消えて行った。
どうやら「準備は、整った」ようである。
「……じゃあ、行きますよ」
軽く頷いたリオネルは、ぱちん! と指を鳴らした。
と同時に、テーブル前の芝生上に、体長2mを超えるシルバーグレイ、
そして漆黒の体毛を持つ、巨大な灰色狼が現れる。
勿論、冥界の門番ことケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟である。
「わ、わあっ!」
2体の巨大な灰色狼は、驚くヒルデガルドをスルー。
リオネルを見つめ、「うおん!」と短く吠えた。
「ふうう……これは……本当に見事な魔獣ですね! とっても美しいです!」
スルーされたヒルデガルドではあったが、魔獣兄弟を見て、感嘆の息を吐いた。
そしてリオネルへ尋ねる。
「リオネル様! それで灰色狼に擬態したこの子達の正体はいかに」
対して、リオネルはしれっと。
「はい、冥界の門番ことケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟です」
「へ!!?? ケ、ケルベロス!!?? オ、オルトロス!!??」
リオネルから2体の『正体』を聞き、驚き、噛み、のけぞるヒルデガルド。
高位の魔獣としてケルベロス、オルトロスの名前、
そして素の姿を知っているからだ。
当然ながら、実際にケルベロスたちの姿を見た事はない。
「で、ヒルデガルドさん、ファイナルアンサーです。彼らの本体を見せますか?」
微笑んだリオネルは、念の為、再び尋ねたのである。
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