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第557話「リオネルの言葉を聞き、ヒルデガルドは嬉しくなった」
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地の精霊ティエラ、風の精霊シルフのリーア、水の精霊ウンディーネのマイム。
火の精霊サラマンダー。
リオネルの周囲には、まるで主を守るように、
4つの属性、全ての精霊が現れた。
「こ、こ、こ、これはっ!!??」
ヒルデガルドは先ほどとほぼ同じ言葉を言い、驚いた。
そんなヒルデガルドを見て、ティエラは面白そうに笑う。
「うふふふ、ヒルデガルド。貴女の推察通り、リオに加護を与えているのは、私だけじゃないのよ」
にんまりしたティエラの言葉を聞き、ヒルデガルドは返す言葉もなく黙り込む。
「…………………………………………」
「さすがにソウェルの貴女なら、目に前に居る精霊たちが何者なのか、分かるわね?」
ティエラから尋ねられ、ヒルデガルドはようやく答える。
「……………は、はい、分かります。シルフ様にウンディーネ様、そして火蜥蜴サラマンダーです」
「ピンポーン! 大正解! 地の精霊たる私を含め、風の精霊シルフ、水の精霊ウンディーネ、火の精霊サラマンダーが、リオの心へしっかりと触れているのよ」
「リオネル様の心へ!? しっかりと触れている!? そ、それって、まさか!?」
「ピンポーン! ピンポーン! そのまさかよ! リオはね、4大精霊から加護を受け、全ての属性魔法を使いこなす全属性魔法使用者なの!」
「よ、4大精霊から加護を受け、全ての属性魔法を使いこなす!!?? オ、全属性魔法使用者!!??」
「そう! 全属性魔法使用者の希少価値も分かるでしょ? 原初の時代から、現在まで現れた全属性魔法使用者は、ほんのわずか、全部で20人にも満たないのよ」
「…………………………………………」
「そして現在、この世界で唯一の全属性魔法使用者は、リオたったひとりだけ……と言ったら、どのくらい凄いか分かるでしょ?」
「…………………………………………」
「でもね、全属性魔法使用者である事さえも、リオの能力の一端に過ぎない」
「えええ!!?? 全属性魔法使用者さえも!!?? リ、リオネル様の能力の、い、一端に過ぎないのですか!!??」
「うふふ、そうよ。リオの持つ引き出しは他にもいっぱいあるし、奥がすご~く深いの」
「な、成る程」
「今回リオはイェレミアスと契約して、アールヴ族の為に働いてくれるから、まあ、おいおい分かるわ」
「お、おいおい……分かるのですか?」
「ええ、ヒルデガルド。貴女がリオと一緒に仕事をしていくうちにね。さっきの転移魔法の時と同様に、リオの力に圧倒されてしまうと思う」
「私がリオネル様と仕事をしていくうちに……リオネル様の力に圧倒される……転移魔法の時と同様に……」
「うん! 貴女も実は楽しみにしてるでしょ! どきどき、わくわくしてさ!」
「ええっと………は、はい。実は……ティエラ様のおっしゃる通り、私はリオネル様の力を知る事を楽しみにしています。凄くどきどき、わくわくしています」
「うふふ、正直でよろしい! 素直になりなさいって、ヒルデガルド。リオの言う事をよく聞いて、頑張って、一緒に仕事をしてね」
「はっ、はいっ! 分かりましたっ! リオネル様の言う事をよく聞き、一緒に仕事を頑張りますっ!」
ティエラと話していくうちに、どんどん明るくなり、
晴れやかな笑顔となったヒルデガルド。
しまいには、「リオネルとともに働く」と決意を告げたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そうこうしているうちに……お茶の用意が整った。
緑一面の芝生に、大きく真っ白なテーブルが置かれ、
テーブル上には、ポットとティーカップ。
またお茶うけにと、焼き菓子が置かれた。
準備が完了したのを見届け、ヒルデガルドは言う。
「ティエラ様、精霊の皆様、リオネル様、おじいさま。さあどうぞ、お茶をお楽しみくださいませ。イエーラ自慢のハーブティーですわ。お茶に合う焼き菓子もございます」
しかし、ここでリオネルが挙手。
何か、提案があるらしい。
「あの、ヒルデガルドさん」
「何でしょうか? リオネル様。ちなみに私の事は、ヒルデガルドと呼び捨てにしてくださいませ」
「ええっと、呼び方は一旦保留にして頂いて……それより、この際だから、この場の全員でお茶しませんか? 事務官さんたち、護衛役さんたちの分もご用意していただいて」
お茶の準備が整った後、事務官と護衛役は全員テーブルから少し離れた場所にて、
直立不動で控えていたのだ。
その様子を見たリオネルが、『提案』をしたのである。
これまでのヒルデガルドなら、即座に却下しただろう。
自分に仕える者達と食事やお茶を楽しむという思考が、
ヒルデガルドにはなかったのだ。
しかし、先ほどのティエラとの会話で、ヒルデガルドは決めていた。
素直にリオネルの話を聞き、取り入れてみようと。
「分かりましたわ、リオネル様。ただし、業務に差し障ると困りますから、事務官と護衛役には、交代でお茶をさせるのはいかがでしょう?」
「了解です。申し訳ない、俺の配慮不足でした。確かに何かあった際、対応出来ないと困りますものね」
リオネルの言葉を聞き、ヒルデガルドは嬉しくなった。
圧倒的な力を持っていても、リオネルは自分の思い通りになるようマウントを取り、ヒルデガルドを支配しようとはしない。
それどころか、腰を低くして、敬意を払いつつ、
柔らかくヒルデガルドの意見を受け入れてくれたから。
「うふふふふ♡ では、事務官、護衛役も交代で一緒にお茶をしなさい。すぐ用意を!」
笑顔のヒルデガルドは凛とした声で、改めてお茶の用意を命じたのである。
火の精霊サラマンダー。
リオネルの周囲には、まるで主を守るように、
4つの属性、全ての精霊が現れた。
「こ、こ、こ、これはっ!!??」
ヒルデガルドは先ほどとほぼ同じ言葉を言い、驚いた。
そんなヒルデガルドを見て、ティエラは面白そうに笑う。
「うふふふ、ヒルデガルド。貴女の推察通り、リオに加護を与えているのは、私だけじゃないのよ」
にんまりしたティエラの言葉を聞き、ヒルデガルドは返す言葉もなく黙り込む。
「…………………………………………」
「さすがにソウェルの貴女なら、目に前に居る精霊たちが何者なのか、分かるわね?」
ティエラから尋ねられ、ヒルデガルドはようやく答える。
「……………は、はい、分かります。シルフ様にウンディーネ様、そして火蜥蜴サラマンダーです」
「ピンポーン! 大正解! 地の精霊たる私を含め、風の精霊シルフ、水の精霊ウンディーネ、火の精霊サラマンダーが、リオの心へしっかりと触れているのよ」
「リオネル様の心へ!? しっかりと触れている!? そ、それって、まさか!?」
「ピンポーン! ピンポーン! そのまさかよ! リオはね、4大精霊から加護を受け、全ての属性魔法を使いこなす全属性魔法使用者なの!」
「よ、4大精霊から加護を受け、全ての属性魔法を使いこなす!!?? オ、全属性魔法使用者!!??」
「そう! 全属性魔法使用者の希少価値も分かるでしょ? 原初の時代から、現在まで現れた全属性魔法使用者は、ほんのわずか、全部で20人にも満たないのよ」
「…………………………………………」
「そして現在、この世界で唯一の全属性魔法使用者は、リオたったひとりだけ……と言ったら、どのくらい凄いか分かるでしょ?」
「…………………………………………」
「でもね、全属性魔法使用者である事さえも、リオの能力の一端に過ぎない」
「えええ!!?? 全属性魔法使用者さえも!!?? リ、リオネル様の能力の、い、一端に過ぎないのですか!!??」
「うふふ、そうよ。リオの持つ引き出しは他にもいっぱいあるし、奥がすご~く深いの」
「な、成る程」
「今回リオはイェレミアスと契約して、アールヴ族の為に働いてくれるから、まあ、おいおい分かるわ」
「お、おいおい……分かるのですか?」
「ええ、ヒルデガルド。貴女がリオと一緒に仕事をしていくうちにね。さっきの転移魔法の時と同様に、リオの力に圧倒されてしまうと思う」
「私がリオネル様と仕事をしていくうちに……リオネル様の力に圧倒される……転移魔法の時と同様に……」
「うん! 貴女も実は楽しみにしてるでしょ! どきどき、わくわくしてさ!」
「ええっと………は、はい。実は……ティエラ様のおっしゃる通り、私はリオネル様の力を知る事を楽しみにしています。凄くどきどき、わくわくしています」
「うふふ、正直でよろしい! 素直になりなさいって、ヒルデガルド。リオの言う事をよく聞いて、頑張って、一緒に仕事をしてね」
「はっ、はいっ! 分かりましたっ! リオネル様の言う事をよく聞き、一緒に仕事を頑張りますっ!」
ティエラと話していくうちに、どんどん明るくなり、
晴れやかな笑顔となったヒルデガルド。
しまいには、「リオネルとともに働く」と決意を告げたのである。
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そうこうしているうちに……お茶の用意が整った。
緑一面の芝生に、大きく真っ白なテーブルが置かれ、
テーブル上には、ポットとティーカップ。
またお茶うけにと、焼き菓子が置かれた。
準備が完了したのを見届け、ヒルデガルドは言う。
「ティエラ様、精霊の皆様、リオネル様、おじいさま。さあどうぞ、お茶をお楽しみくださいませ。イエーラ自慢のハーブティーですわ。お茶に合う焼き菓子もございます」
しかし、ここでリオネルが挙手。
何か、提案があるらしい。
「あの、ヒルデガルドさん」
「何でしょうか? リオネル様。ちなみに私の事は、ヒルデガルドと呼び捨てにしてくださいませ」
「ええっと、呼び方は一旦保留にして頂いて……それより、この際だから、この場の全員でお茶しませんか? 事務官さんたち、護衛役さんたちの分もご用意していただいて」
お茶の準備が整った後、事務官と護衛役は全員テーブルから少し離れた場所にて、
直立不動で控えていたのだ。
その様子を見たリオネルが、『提案』をしたのである。
これまでのヒルデガルドなら、即座に却下しただろう。
自分に仕える者達と食事やお茶を楽しむという思考が、
ヒルデガルドにはなかったのだ。
しかし、先ほどのティエラとの会話で、ヒルデガルドは決めていた。
素直にリオネルの話を聞き、取り入れてみようと。
「分かりましたわ、リオネル様。ただし、業務に差し障ると困りますから、事務官と護衛役には、交代でお茶をさせるのはいかがでしょう?」
「了解です。申し訳ない、俺の配慮不足でした。確かに何かあった際、対応出来ないと困りますものね」
リオネルの言葉を聞き、ヒルデガルドは嬉しくなった。
圧倒的な力を持っていても、リオネルは自分の思い通りになるようマウントを取り、ヒルデガルドを支配しようとはしない。
それどころか、腰を低くして、敬意を払いつつ、
柔らかくヒルデガルドの意見を受け入れてくれたから。
「うふふふふ♡ では、事務官、護衛役も交代で一緒にお茶をしなさい。すぐ用意を!」
笑顔のヒルデガルドは凛とした声で、改めてお茶の用意を命じたのである。
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