正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

かざみはら まなか

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326.行動を起こすには動機づけ。正義が勝たないデスゲームは、支援団体に追い詰められた人のための?

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詩人の感動は、人の中にいて、まともに会話する相手ではないと人に認識され続け、周りから会話することを拒絶されてきたからこそ、出てきた。

この国に生まれて、この国で生きてきた国民が、生まれた国で人間らしい人生を送ることもできない国になっているのか。

それが、俺の胸に浮かんだ感想だった。

衝撃は、すぐに、気に食わないという感情に置き換わる。

この国の国民として生まれて生きてきた俺にとって。

詩人が、そうなるに至った環境は容認できない。

俺は、自然とそう考えた。

俺は、このとき、国や国民ということを強く意識した。

俺の気に入らない環境が、俺の見える範囲にあることを良しとするほど、俺は弱くない。

俺は、支援団体と戦う気持ちを強めた。

義憤は弱く、自分勝手な欲望が最後には勝つと俺は思う。

俺は、いつだって、誰かのためを掲げるやつらに辟易してきた。

誰かのためとうたいながら、俺を意のままに動かそうとするやつらには蛆虫がわけばいいと俺が考えた人数は、一人や二人ではない。

俺は、俺の気に食わないものを俺の住む国から排除しよう。

俺以外には、俺が不快にならない国にすることができない。

となれば、俺が動けばいい。

俺は、実に清々しい気分になった。

正義が勝たないデスゲームをしていて、今ほど清々しい気分になったことはない。

人生では、二度目の経験。

俺を不快にさせるやつらと関わると俺は不快になる、という気づきを得た日以来の清々しさ。

正義が勝たないデスゲームを脱出してからのやる気がみなぎるのは、俺のやりたいことが、俺のやることと一致したから。

人の行動に動機づけは、大事だ。

メグたんは、ツカサではなく、俺を見ている。

メグたんの、俺が使えるかどうか見極めようとする観察は、山場を迎えたのかもしれない。

「『正義が勝たないデスゲームの外は、生きるための最低限すら取り上げられていた。

正義が勝たないデスゲームに参加しなければ、人としての生を全うすることができなかっただろう。』

詩人は、正義が勝たないデスゲームの参加者になったことに救いを見い出して死んでいった。

詩人にお礼を言われるとは思わなかったね。」
とツカサ。

「裏のない感謝は、素直に受け取ればいい。」

「お礼を言われたことに関してどう感じたかと言うと。

全く悪い気はしなかった。」
とツカサ。

「詩人は他に何か話したか?」

「『己と話をしようとしてくれて、ありがとう。
殺すために来てくれたのなら、殺しに来てくれてありがとう。

己は、己が生きることを許さない世界にいたのに、己で死ぬ踏ん切りもつかなかった。

終わりがなく、底がないと思っていた日々を強制的に終わらせてくれるなら、己はやっと楽になれる。』

そんな風に死ぬことに希望を見い出した詩人は、俺の手でさっさと死んでいったよ。」
とツカサ。

「詩人は、死んでいく苦しみさえも、希望にしかならないほど追い詰められていたわ。」
とメグたん。

「死という終わりがあることによって、希望を持てる瞬間が詩人にはあった。

人生の終わる直前になって、詩人は希望を見つけた。」
とツカサ。

「絶望しかない中で見つけた一瞬のきらめきを追い求め、きらめきに追いついて死ぬ。

正義が勝たないデスゲームは、そういう場所でもある。」
とメグたん。

「正義が勝たないデスゲームは、支援団体によって、人生をどうにもならなくされた人への救済措置になっているのか?

支援団体によって、人生を強制的に終わらせられることが救いになるほどに追い詰められた人達が安楽を得られる場所か。」

「生きていることを罵られて、死ぬことが逃げ道に思えても。

死ぬという逃げ道に進む自由さえ奪われて、踏みつけられ、尊厳を奪われ続けた人にとって。

正義が勝たないデスゲームに参加することは、苦労する人生を生きた褒美と同義。

人として生まれたはずが人としての尊厳を壊されたときに行き着く束の間の人間社会。

人として、死ねる唯一場所。

それが、正義が勝たないデスゲーム。」
とメグたん。

メグたんが、正義が勝たないデスゲームの中で誰を手に掛けることにも怯まないのは。

正義が勝たないデスゲームの参加者全員が対象でなくても、メグたんに殺されることが救いになる参加者がいると知っているからか。

例えば。

ラキちゃんのような参加者が。

「優秀な頭脳は、誰からも目をつけられやすい。

我利我欲の塊は、自己保身に長けている。

無知蒙昧で無思考であるほど、支援団体に使われやすいから、無限に増える。

優秀な頭脳の数が真っ先に減って、我利我欲の塊と無知蒙昧な無思考だけが、支援団体に都合よく使われながら、生き残る国の未来は暗い。」

「そう思うなら、ショウタは、どんな解決策を出せる?」
とメグたん。

きた。
これだ。

メグたんは、ずっと、これを俺に聞きたかったのだと思う。

メグたんとツカサは、タケハヤプロジェクトの参加者として、俺に接しながら、ヒントを与えて観察し続けてきた。

今からが、正念場だ。

俺の答え次第で、俺の算段通りに、俺のやりたいことをやりたいようにできるかが決まる。

決定権は、タケハヤプロジェクトの参加者として、正義が勝たないデスゲームに参加しているメグたんとツカサが持っている。

タケハヤプロジェクトの参加者であるメグたんとツカサは、佐竹ハヤトの遺志を俺が継げるかを観察しているだけだと、思っていた。

メグたんとツカサが見極めたいのは、それだけじゃない。

正義が勝たないデスゲームを脱出した俺は、正義が勝たないデスゲーム内で、これからも変わらずに人を殺し続けるメグたんとツカサに見せてやる。

俺が変える未来を。

さあ、今からは、俺の算段に全員が組み込まれる時間だ。

メグたん、ツカサ。

ラキちゃん。

北白川サナ。

カガネ。

キノ。

俺。

俺の手には、未使用の手榴弾が一つ。
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