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第8章 29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、英雄公爵に溺愛されています。
247.医者と司祭はどうしてますか?元神子様は、ハリセン常備ですか?『この月の裏側を日本の家族が見ていたら、同じ月を見ていると言えるなー。』
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医者と司祭は、大公家の使用人の力を借りながら、二人暮らしを始めた。
権威や階級を考えると、二人が一緒に生活することは難しい。
マウンテン王国のぎりぎり王族の司祭と平民の医者。元神子様カズラ君が、二人の背中を押した。
「恋に生きたいと亡命してきて、王族がどうたらと悩めるなら、そこまでの気持ち、なんだよ。
次の恋に切り替えれば、楽だよ?
同じ階級で恋人を作れば簡単だよ?」
とカズラ君。
司祭は、医者と同じ階級におりた生活を試すことにしたそうだ。
「ダメになる前に、周りに相談すればいいんだよ。
医者と司祭なら、良心的な相談相手が見つかるよ。」
と、カズラ君の身も蓋もない助言から、大公妃のオレが、司祭の相談相手筆頭になっている。
オレも、分からないことが少なくないので、大公家の使用人や大公領の住人の手を借りたり、知恵を借りるようになった。
元神子様カズラ君は、ハリセンを持ち歩いていると知られるようになった。
カズラ君を見ると、
『ぶってください。』という男が現れるようになったらしい。
カズラ君が、ハリセンチョップをすると。
『ありがとうございました。』
と頭を下げて、去っていくそうだ。
『短髪で、精悍な容姿で、筋肉ムキムキなんだよ。』
とカズラ君が、まんざらでもない顔で話している。
新しい恋の予感かな?
日本にいた時。
空に、月があるのは当たり前だった。
当時。
オレは、満月だ、三日月だ、くらいしか、気にしていなかった。
今、オレは、毎晩、月を確認している。
異世界の空。
オレの唯一の伴侶で家族のクロードと並んで、月を見る。
愛する人と共に暮らし、毎日が充実していて、幸せだ。
オレが、日本に思いを馳せない日はない。
ふとした瞬間に思い出す。
あの時、あーだった、こうだった。
あいつが、何か言っていた。
そんな、日常の一瞬。
オレは、年をとって、寝ついたら、クロードの手を握りながら、故郷の家族を呼んでいるかもしれない。
時間が経てば、変わるのかな。
クロードが、心を尽くしてくれても、望郷の念は捨てられないでいるオレ。
一度だけでも、日本に戻っていたら、今頃は、踏ん切りがついていたのかな?
と考えることもある。
愛するクロードを不安定にしてまで、日本に戻るよりも、過去と今をクロードと共有し合って、もっと家族として近くなることを選んだのは、オレ自身なのに。
日本に戻ることを試して、失敗したなら、割り切れていたかなー、なんて、考えてしまう。
今は、せめて、この月の裏側を、日本の家族が見ていたらな、と思いながら、月を見上げている。
クロードは、オレが日本に帰りたいという気持ちを無くしていない、と知っている。
『ヒサツグは、故郷に帰りたい気持ちを我慢しないで、私に話して、感情を発散してほしい。
ヒサツグの故郷への気持ちは、私とヒサツグが、二人で共有する。』
とクロードは、何度も言った。
「ヒサツグは、私の横で一生を終える。
私と一緒にこの土地で。
私は、ヒサツグが抱えている感情ごと、ヒサツグを愛する。
ヒサツグの感情は、ヒサツグ同様、私のものだ。」
クロードの大きな愛は、月に思いを馳せるオレの意識を地上に戻す。
権威や階級を考えると、二人が一緒に生活することは難しい。
マウンテン王国のぎりぎり王族の司祭と平民の医者。元神子様カズラ君が、二人の背中を押した。
「恋に生きたいと亡命してきて、王族がどうたらと悩めるなら、そこまでの気持ち、なんだよ。
次の恋に切り替えれば、楽だよ?
同じ階級で恋人を作れば簡単だよ?」
とカズラ君。
司祭は、医者と同じ階級におりた生活を試すことにしたそうだ。
「ダメになる前に、周りに相談すればいいんだよ。
医者と司祭なら、良心的な相談相手が見つかるよ。」
と、カズラ君の身も蓋もない助言から、大公妃のオレが、司祭の相談相手筆頭になっている。
オレも、分からないことが少なくないので、大公家の使用人や大公領の住人の手を借りたり、知恵を借りるようになった。
元神子様カズラ君は、ハリセンを持ち歩いていると知られるようになった。
カズラ君を見ると、
『ぶってください。』という男が現れるようになったらしい。
カズラ君が、ハリセンチョップをすると。
『ありがとうございました。』
と頭を下げて、去っていくそうだ。
『短髪で、精悍な容姿で、筋肉ムキムキなんだよ。』
とカズラ君が、まんざらでもない顔で話している。
新しい恋の予感かな?
日本にいた時。
空に、月があるのは当たり前だった。
当時。
オレは、満月だ、三日月だ、くらいしか、気にしていなかった。
今、オレは、毎晩、月を確認している。
異世界の空。
オレの唯一の伴侶で家族のクロードと並んで、月を見る。
愛する人と共に暮らし、毎日が充実していて、幸せだ。
オレが、日本に思いを馳せない日はない。
ふとした瞬間に思い出す。
あの時、あーだった、こうだった。
あいつが、何か言っていた。
そんな、日常の一瞬。
オレは、年をとって、寝ついたら、クロードの手を握りながら、故郷の家族を呼んでいるかもしれない。
時間が経てば、変わるのかな。
クロードが、心を尽くしてくれても、望郷の念は捨てられないでいるオレ。
一度だけでも、日本に戻っていたら、今頃は、踏ん切りがついていたのかな?
と考えることもある。
愛するクロードを不安定にしてまで、日本に戻るよりも、過去と今をクロードと共有し合って、もっと家族として近くなることを選んだのは、オレ自身なのに。
日本に戻ることを試して、失敗したなら、割り切れていたかなー、なんて、考えてしまう。
今は、せめて、この月の裏側を、日本の家族が見ていたらな、と思いながら、月を見上げている。
クロードは、オレが日本に帰りたいという気持ちを無くしていない、と知っている。
『ヒサツグは、故郷に帰りたい気持ちを我慢しないで、私に話して、感情を発散してほしい。
ヒサツグの故郷への気持ちは、私とヒサツグが、二人で共有する。』
とクロードは、何度も言った。
「ヒサツグは、私の横で一生を終える。
私と一緒にこの土地で。
私は、ヒサツグが抱えている感情ごと、ヒサツグを愛する。
ヒサツグの感情は、ヒサツグ同様、私のものだ。」
クロードの大きな愛は、月に思いを馳せるオレの意識を地上に戻す。
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