《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

587.女神様の顕現の時間が終わります。

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オレは、聞きたかったことを聞いてみた。

「妾が説明して、そなたが了承すると、そなたは、神子と変わらなくなる。

妾は、神子を増やすのではなく、英雄の伴侶を連れてきたかった。」
と女神様。

女神様が説明すると、自動的に、女神様との契約書が出来上がる仕組みなのかな。

女神様の説明に説明された側が了承すると、契約成立するんだとしたら。

女神様からもらえるヒントが、お告げ扱いされるのも分かる。

お告げ、という女神様が一方的に伝えるという形にすることで、人を縛らないためだったんだなー。

「オレに異世界に来た、という自覚が出るまで、時間がかかったのは、女神様の世界に馴染むまでの時差ボケだったんだな。」

「そなたは、妾が連れてきて暫くの間、ぼんやりしていたわ。

妾の英雄が、英雄の伴侶を探し始めたときに初めて、そなたはこの世界を認識した。」
と女神様。

「英雄の伴侶に変化が起きるときは、英雄が変化の引き金になっていたんだな。」

女神様からの英雄クロードへの愛が徹底している。

「もう。妾の世界に、英雄は生まれない。

妾の英雄は、クロードが最後。

神子は来ない。魔王も生まれない。」
と女神様。

オレは、はっとした。

オレと女神様は、オレの隣で眠るクロードを見る。

「クロードは、神子様が召喚されない、魔王の生まれない世界を望んだ。

女神様は、クロードの望みを叶えたんだな。」

オレは、女神様の行動理由が分かってきた。

女神様の大好きなクロードは、英雄になってからできた望みを叶えるため、苦労することが分かっている未来へと突き進んでいく。

ケレメイン大公国の大公夫妻となったばかりのクロードとオレは、孤立していた。

ケレメイン大公国は、国として四面楚歌状態。

今、思い返してみても。

当時、オレとクロードの二人の味方になってくれる人は、手で数えられるくらいしかいなかった。

オレとクロードは、ケレメイン大公国を興し、大公夫妻になったけれど。

当時の、国を興したままの情勢の中で。

大公夫妻になったばかりのオレとクロードが、興したケレメイン大公国をどれほどの時間、国として維持することができるか、というと。

国内にも、国外にも、味方がほとんどいないオレという伴侶がいる状態のクロードでは、一年も保たなかったかもしれない。

オレとクロードが、ケレメイン大公国を興してから。

女神様が、オレにしてきた妨害行為は、オレに対する嫌がらせの域を超えていることもあったけれど。

女神様は、クロードに悪意が向くような工作をしていない。

女神様がしたかったことは、一つだけ。

「女神様は、クロードの望みを叶えるために、動いていたんだな。」

大好きな英雄クロードの望みを叶えたい女神様は、女神様が当然のように今まで手にしていたものを手放してまで、クロードの望みを叶えさせた。

オレは、女神様のクロードへの愛に、目頭が熱くなった。

女神様は、オレの女神様分析に答えなかった。

「そなたは、妾の力や英雄の持つ何かを、そなた自身のために利用しようとしたことは、ついぞなかった。

そなたは、そなたが身につけた能力で、妾の英雄を守りぬいたわ。」
と女神様。

オレの29年の間に培われたスキルを女神様が褒めているぞ?

しかも。手放しで!

女神様が、オレを認めている!

オレのことを気に入らないと思っていた女神様が!

オレは、胸がじーんとした。

誰かに自慢したいくらいに嬉しい。

「妾は、そなたが、英雄の伴侶として、英雄と真実の愛の合体を果たしたことを見届けたわ。」
と女神様。

女神様。今、それを言う?

オレの感動が、秒速でどっかいったぞ?

「妾の英雄は、英雄の伴侶からやすらぎを得たわ。

妾の英雄は、もう、孤独ではない。」
と女神様。

「真実の愛の合体って言うのは、英雄がやすらげる相手との行為のことなんだな。」

納得した。

「妾は、妾の英雄の伴侶として、そなたを祝福するわ。」
と女神様。

オレは、びっくりしたけど、小躍りしたくなるくらい嬉しかった。

クロードと結婚してから、クロードとの結婚を認めない攻勢にさらされたからさ。

お付き合いを認めてもらって、祝ってもらえるのは、幸せだとしみじみ思うようになった。

「女神様に授かった加護は、女神様にお返ししないとな。
お世話になりました。」

オレは、女神様に深々と頭を下げた。

女神様が、オレの下げた頭に手を乗せる。

オレの頭に乗っていた手の気配が消えたので、頭をあげると、女神様の姿が薄くなっていくところだ。

「女神様。

今日のところは、お別れだな。

女神様の世界だから、女神様は、これからも人のいるところへ好きに出て来たらいいぞ。

オレもクロードも、女神様の世界に知らないことがまだまだある。

お茶を飲みながら話をしたり、そんな付き合いもあるからなー。

またなー。」

オレが声を掛けると。

「また、来るわ。」
と女神様の声がして、女神様の姿は霧散した。
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