次世代最強とうたわれている辺境伯家次男の目覚めは、何もないお隣の領地を治める男爵家の三男。幼馴染な関係の平凡男子な俺でした。[完結]

かざみはら まなか

文字の大きさ
9 / 32

9.家内の権限は与えられないけど、夫婦の寝室のカーテンは好きにしていい。お前と結婚するために俺がしてきたことを勝手に恩に着ようとしないでよ。

しおりを挟む
愛していると抱きたいと結婚しようは、イコールで繋いで良かったんだっけ?

誰でもいいわけじゃなくて。

俺だから抱きたくなるわけで。

愛ある性欲。

俺、今、至極真っ当な愛の告白をされていたりする?

愛の言葉を聞きすぎて、愛に期待しすぎている?

「その件は、次回のピクニックで相談しよう?」

次回、つまり来週。

俺は、一週間の猶予を希望する!

「俺は、お前との結婚をお前に相談したかったわけじゃないよ。」
と幼馴染。

「はい?」

プロポーズしておきながら、何を言っているんだよ?

「お前と結婚することは決めている。」
と幼馴染。

「もしかしてじゃなくても、俺達の結婚は決定事項?」

「お前は俺と一生一緒にいるんだ。」
と幼馴染。

いやいや。だったら。

「プロポーズしたのは何だったんだよ?」

「俺の決意表明だよ。」
と幼馴染。

プロポーズを聞かずに辺境伯家に遊びに行って、寝室から出さないと言われたら。

俺と幼馴染の関係は、完全に壊れていた。

突然のプロポーズは、俺のためだった?

「今後の変更の予定は?」

「俺とお前の夫婦の寝室のカーテンは今あるものにしてあるから、後で好きな柄を選んでほしい。」
と幼馴染。

ん?

「何で今、夫婦の寝室のカーテンの話?」

首を傾げてしまう。

「跡継ぎではない俺の配偶者のお前には、家内の権限がない。」
と幼馴染。

「辺境伯家の家内の権限なんてたいそうなもの、男爵家の俺にはもらえないよ。」

「家内の権限はないが、俺とお前が過ごす部屋の内装は、夫婦二人で決めていいことになった。」
と幼馴染。

夫婦二人って。

ドヤ顔していそうなのが、声で分かる。

「俺とお前は、まだ夫婦じゃないだろう?」

幼馴染のドヤ顔を見たくなって、顔を上げたら。

「夫婦になってから手配するものじゃないんだよ?」
と幼馴染。

俺を見る目が、知らないことは手取り足取り何でも教えてあげようと言っている気がする。

幼馴染は、本気で俺と結婚する準備をしてきたんだ。

「夫婦の寝室のカーテン以外で変更の予定は?」

「変更の予定はないよ。
身一つでうちにくるお前の服は、新しく誂えるから。」
と幼馴染。

領民のお仕事がなくならないようにお仕事を発注するという心構えが、幼馴染を為政者側の人たらしめている。

「お前と会うときの俺の服は、全部、辺境伯家に用意してもらったものだ。

今から、家に置いてある服をとりにいくよ。」

一人になって考える時間がほしくなってきた。

服をとりにいく口実で、一人の時間を作ろう。

「今日までお前に用意してきた服は男爵家仕様の服だから、取りに行かなくていい。」
と幼馴染。

予想外。

「着れる服だよ?」

「俺っぽい服になる。」
と幼馴染。

幼馴染の服と俺の服を見比べる。

「ごめん。服のことは、なんか豪華かなくらいしか分からん。」

「着て、見て、服についてはこれから知っていけばいいよ。」
と幼馴染。

ぐいっと体が持ち上がる。

一瞬で足が浮いていた。

幼馴染が、俺を縦抱きにしている。

辺境伯家の領地へと歩いていく幼馴染。

「待て。ごく自然に俺を連れて行こうとするな。」

「お前は歩かせると、ついてこないから。」
と幼馴染。

「俺が悪いみたいに言うなよ。」

「俺もお前も悪くない。」
と幼馴染。

「でも、俺はお前のプロポーズを断っている。」

俺と幼馴染が政略結婚する理由はない。

だから。

幼馴染が俺と結婚しようとしている理由なんて、俺が好きだからしかない。

今まで幼馴染としか見てこなかった男が、俺と結婚したくて手を回していた。

「お前と結婚するために俺がしてきたことを、勝手に恩に着ようとしないでよ。」
と幼馴染。

ふいに弱気な声を出すなよ。

今なら、確かめられる?

縦抱きにされた俺は、幼馴染を見下ろす体勢になった。

「俺にずっと親切にしてくれていたのは、幼馴染だから面倒を見ていたんじゃなくて。俺のことが好きだったから?」

「お前以外の誰かが同じことをしても、俺はお前にしたようにはしなかったよ。」
と幼馴染。

「お前と出会ってから今日まで、ほぼお前に助けられているような俺と結婚したいって?」

「お前を愛し、お前に愛される仲になりたいから結婚する。」
と幼馴染。

う、ぐ。

愛の言葉を直球でもらうなんて。

「俺は、まだ、はい、とは言っていないから。」

今日は、我が家に帰れそうもない。

幼馴染に縦抱きにされて辺境伯家の城に行く。

まずは、一緒にいたいという幼馴染の希望にそって。

実際に一緒にいる時間を作る。

幼馴染が俺といることに飽きないかどうかも含めて、様子を見てから考えよう。

やっぱり思っていたのと違うから帰って、と幼馴染に言われたら、すぐに帰ればいい。

幼馴染に縦抱きにされて、辺境伯家の領地に入る。

俺は幼馴染に縦抱きにされたまま、幼馴染と護衛と一緒に、体高五メートルほどのドラゴンの背中に乗る。

俺達が体勢を整えるまで動かないで待っていてくれる首長竜。

縦抱きからおろされて、ドラゴンの上に座ると、俺のすぐ後ろに幼馴染が座った。

辺境伯家のドラゴンは、よその人は乗せたがらない。

なぜか、例外的に俺だけは乗せてくれる。

辺境伯家のドラゴンなので、俺が乗るときは幼馴染も一緒。

俺は、ドラゴンに、辺境伯家の子どもと間違われているのかもしれない。

辺境伯家の使用人は、ドラゴンに乗らなかった。

地上を移動するらしい。

ドラゴンの飛翔を見送る使用人の姿が遠のき小さくなっていく。

「辺境伯家の使用人は、馬車移動か?」

辺境伯家のお城に向かって飛ぶドラゴンの背中で幼馴染に聞いてみると。

「馬車で使者をたてるのが正式だから。」
と幼馴染。

「どこに使者をたてるんだ?」

「お前の家に。」
と幼馴染。

「帰りが遅くなると家に連絡してくれるために使用人を残してくれていたんだ。ありがとう。」

気遣いが至れり尽くせり。

「今夜からは俺との夫婦の寝室で寝泊まりすると伝わるから、何も心配することはないよ。」
と幼馴染。

「その言付けを聞いて心配しない親がいる?」

いるなら、顔を見たい。

「今日、お前が家を出る前の段階で、辺境伯家からは使者を出した。」
と幼馴染。

「何の使者?」

「辺境伯のサインが入った、辺境伯家次男の俺とお前の結婚許可証にサインを求める使者だよ。」
と幼馴染。

「俺が不在の間に、なんちゅうもんを。」

「男爵かお兄さんのサインが入れば、俺とお前の婚姻が成立するようにしてある。」
と幼馴染。

「親はともかく、兄でも可なのか?」

「王女の降嫁が話題になるくらい、今は平時ではない、で押し通した。」
と幼馴染。

「平時じゃないから使える特例を使った?」

「うん。お前と結婚するために全部整えてあると言ったのは、嘘じゃない。」
と幼馴染。

「お前と結婚する俺は、お前と何をしたらいい?」

「俺とずっと一緒にいたらいい。」
と幼馴染。

「それは、最低限だろう?それ以外には?」

「抱きたい。」
と幼馴染。

「俺が聞きたいのは、そういうことではなく。」

「好きだ。」
と幼馴染。

耳元にストレートな告白が届く。

幼馴染に背中から抱き込まれているせいか、意識が背中に集中する。

「ありがとう。俺は。」

「好きだから、いつも一緒にいたくて、毎晩おかずにしてきた。」
と幼馴染。

「そうなんだろうけど。」

今、それを言う?

「今日からは、がっつりいただくからそのつもりでいてほしい。さあ、我が家に帰ろう。」
と幼馴染。

食い気味に言葉をかぶせてきた幼馴染のおかげで、俺は冷静さを取り戻した。

空飛ぶドラゴンの背中で。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

【完結】スパダリを目指していたらスパダリに食われた話

紫蘇
BL
給湯室で女の子が話していた。 理想の彼氏はスパダリよ! スパダリ、というやつになったらモテるらしいと分かった俺、安田陽向(ヒナタ)は、スパダリになるべく会社でも有名なスパダリ…長船政景(マサカゲ)課長に弟子入りするのであった。 受:安田陽向 天性の人たらしで、誰からも好かれる人間。 社会人になってからは友人と遊ぶことも減り、独り身の寂しさを噛み締めている。 社内システム開発課という変人どもの集まりの中で唯一まともに一般人と会話できる貴重な存在。 ただ、孤独を脱したいからスパダリになろうという思考はやはり変人のそれである。 攻:長船政景 35歳、大人の雰囲気を漂わせる男前。 いわゆるスパダリ、中身は拗らせ変態。 妹の美咲がモデルをしており、交友関係にキラキラしたものが垣間見える。 サブキャラ 長船美咲:27歳、長船政景の年の離れた妹。 抜群のスタイルを生かし、ランウェイで長らく活躍しているモデル。 兄の恋を応援するつもりがまさかこんなことになるとは。 高田寿也:28歳、美咲の彼氏。 そろそろ美咲と結婚したいなと思っているが、義理の兄がコレになるのかと思うと悩ましい。 義理の兄の恋愛事情に巻き込まれ、事件にだけはならないでくれと祈る日々が始まる…。

目覚めたらヤバそうな男にキスされてたんですが!?

キトー
BL
傭兵として働いていたはずの青年サク。 目覚めるとなぜか廃墟のような城にいた。 そしてかたわらには、伸びっぱなしの黒髪と真っ赤な瞳をもつ男が自分の手を握りしめている。 どうして僕はこんな所に居るんだろう。 それに、どうして僕は、この男にキスをされているんだろうか…… コメディ、ほのぼの、時々シリアスのファンタジーBLです。 【執着が激しい魔王と呼ばれる男×気が弱い巻き込まれた一般人?】 反応いただけるととても喜びます! 匿名希望の方はX(元Twitter)のWaveboxやマシュマロからどうぞ(⁠^⁠^⁠)  

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います

BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生! しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!? モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....? ゆっくり更新です。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

【完結済み】騎士団長は親友に生き写しの隣国の魔術師を溺愛する

兔世夜美(トヨヤミ)
BL
アイゼンベルク帝国の騎士団長ジュリアスは留学してきた隣国ゼレスティア公国の数十年ぶりのビショップ候補、シタンの後見となる。その理由はシタンが十年前に失った親友であり片恋の相手、ラシードにうり二つだから。だが出会ったシタンのラシードとは違う表情や振る舞いに心が惹かれていき…。過去の恋と現在目の前にいる存在。その両方の間で惑うジュリアスの心の行方は。※最終話まで毎日更新。※大柄な体躯の30代黒髪碧眼の騎士団長×細身の20代長髪魔術師のカップリングです。※完結済みの「テンペストの魔女」と若干繋がっていますがそちらを知らなくても読めます。

処理中です...