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閑話(時系列については数字でご確認ください)
3years after*かしまし二人娘(『初恋旅行に出かけます』公開記念)
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毎度恒例の公開記念SSです♪
* * *
『もしもしマーシー?』
十月某日。かかってきた内線に出ると、どことなく笑いを含んだ阿久津の声がした。
「何だよ急に」
俺が言うと、
『お前に電話だ』
「はぁ?」
『福岡にある○中の卒業生だそうだ』
俺は一瞬息を飲んだ。
「……はぁっ!?」
『繋ぐぞー』
ぷつ、と電話が切り替わるや否や、
『あ、あの、もしもしっ?』
緊張した女子の声。
『何、繋がった!?』
『わ、分からんけど、何か違う人に変わってくれた!』
懐かしい方言に、思わず額を押さえる。
「どうかしたんすか?」
隣でこっそりとジョーが聞いてくるのに適当に手で答え、
「……もしかして、ミチとマキか?」
『きゃーーーー!!!!!』
悲鳴のような歓声に、俺は思わず受話器を遠くに離した。おかげで課内の人間全員がこちらを振り向く。
「……す、すみません」
なんで俺が謝らなきゃいけねぇんだよ! ったく。
思いながら、恐る恐る受話器を耳に寄せる。鼓膜を破られでもしたらたまらない。
『神崎さんやん!神崎さん!久しぶり!!』
『今修学旅行で東京来てるんよ!神崎さんどこにおるん!?』
「どこって会社に決まってんだろ」
じゃなかったら電話に出てねぇよ。
呆れ返りながらも、二人の変わらない二人の様子に苦笑する。ヒカルと同じ女子バスケ部に所属していた同級生だ。
最後に会ったのは、彼女らの初めての公式戦に応援に行ったときか。三年は経っている。
『電話かけてみたら、神崎さんってだけじゃ分からんて言うて、でも分かる人がおるかもしれんて営業の方に回してくれたんよ。そしたら、阿久津さん?て人が、多分そうだろうから繋げるって言うてくれて!』
興奮気味に説明するマキの声は、受話器を少し離していてもよく聞こえる。彼女たちにしてみたら、会社に電話すること自体が大冒険なのだろう。
阿久津の笑いを含んだ声はそういうことだったか。また後で何か言われそうだな。
「……で、何だって?修学旅行?」
また懐かしい言葉を言うもんだと思いつつ答えると、そうなんよ!と相槌が返ってきた。
「せっかくやから会えんかなと思って。今日、自由行動やから」
「今日?」
俺は思わず苦笑した。今は午後二時で、昼休みが終わったばかりだ。
「お前らなぁ。そんな私用で外出られるわけないだろ。昼休みならともかく」
『昼休み!?』
何だその食いつき。
『じゃあ、明日の昼休みに来たら会える!?』
「自由行動そんなに多いのかよ」
『先生に頼んでみる!!』
おいおいおい訳分かんねぇこと言うなよ。
「先生困らせんな、諦めて帰れ」
『そんなー!』
『やったら、今から会社に乗り込む!』
『神崎さんの隠し子ですって言う!』
『生き別れた妹ですって言う!』
「盛り上がんな!分かった!分かったから!」
俺は慌てて二人をなだめ、嘆息した。
ったく、女子は複数揃うと暴走しだすから困る。
「分かったよ。じゃあ、明日な。会社の場所分かんのか?」
『うん。スマホで調べた。駅からまっすぐ?』
最寄り駅からはそんなに分かりにくい道ではないが、二人はなにぶん東京に不慣れな女子高生だ。俺はふと不安を感じて頭をかいた。
「……迎え行ってやるから、とりあえず駅で待ってろ。12時過ぎに駅の改札でな」
『やったー!』
「でも先生が駄目だって言ったら諦めて帰れよ!」
『絶対説得するー!』
喜ぶ二人の声を聞きながら、ふと3年前を思い出した。ボールを追いかけて歓声をあげる六人の女子中学生の姿。
そうか、こいつらももう高校生か。
感慨にふけりながら、問われるままに連絡先を教え、電話を切る。
「賑やかでしたね」
「あー」
ジョーが隣で笑っている。俺は気まずさに目を反らした。
「ま、若さだな」
「若さねぇ」
ジョーは笑いながらデスク横のコーヒーを飲んだ。
「そのノリについて行けるマーシーも若いと思うけど」
ついていけてねぇよ。お前のノリにすらついて行けてる自信ねぇし。
思ったが、あえて訂正する気もわかず、目の前の仕事に取り掛かる。
「ジョー。悪いけど明日の昼、ちょっとフライングするわ」
何となく気恥ずかしく思いながらそう言うと、ジョーは笑って、了解と手を挙げた。
***
女子学生の(無駄な)勢いは書いていると楽しいです。
何だかんだ言って(相変わらず?)押しに弱い政人でした。
* * *
『もしもしマーシー?』
十月某日。かかってきた内線に出ると、どことなく笑いを含んだ阿久津の声がした。
「何だよ急に」
俺が言うと、
『お前に電話だ』
「はぁ?」
『福岡にある○中の卒業生だそうだ』
俺は一瞬息を飲んだ。
「……はぁっ!?」
『繋ぐぞー』
ぷつ、と電話が切り替わるや否や、
『あ、あの、もしもしっ?』
緊張した女子の声。
『何、繋がった!?』
『わ、分からんけど、何か違う人に変わってくれた!』
懐かしい方言に、思わず額を押さえる。
「どうかしたんすか?」
隣でこっそりとジョーが聞いてくるのに適当に手で答え、
「……もしかして、ミチとマキか?」
『きゃーーーー!!!!!』
悲鳴のような歓声に、俺は思わず受話器を遠くに離した。おかげで課内の人間全員がこちらを振り向く。
「……す、すみません」
なんで俺が謝らなきゃいけねぇんだよ! ったく。
思いながら、恐る恐る受話器を耳に寄せる。鼓膜を破られでもしたらたまらない。
『神崎さんやん!神崎さん!久しぶり!!』
『今修学旅行で東京来てるんよ!神崎さんどこにおるん!?』
「どこって会社に決まってんだろ」
じゃなかったら電話に出てねぇよ。
呆れ返りながらも、二人の変わらない二人の様子に苦笑する。ヒカルと同じ女子バスケ部に所属していた同級生だ。
最後に会ったのは、彼女らの初めての公式戦に応援に行ったときか。三年は経っている。
『電話かけてみたら、神崎さんってだけじゃ分からんて言うて、でも分かる人がおるかもしれんて営業の方に回してくれたんよ。そしたら、阿久津さん?て人が、多分そうだろうから繋げるって言うてくれて!』
興奮気味に説明するマキの声は、受話器を少し離していてもよく聞こえる。彼女たちにしてみたら、会社に電話すること自体が大冒険なのだろう。
阿久津の笑いを含んだ声はそういうことだったか。また後で何か言われそうだな。
「……で、何だって?修学旅行?」
また懐かしい言葉を言うもんだと思いつつ答えると、そうなんよ!と相槌が返ってきた。
「せっかくやから会えんかなと思って。今日、自由行動やから」
「今日?」
俺は思わず苦笑した。今は午後二時で、昼休みが終わったばかりだ。
「お前らなぁ。そんな私用で外出られるわけないだろ。昼休みならともかく」
『昼休み!?』
何だその食いつき。
『じゃあ、明日の昼休みに来たら会える!?』
「自由行動そんなに多いのかよ」
『先生に頼んでみる!!』
おいおいおい訳分かんねぇこと言うなよ。
「先生困らせんな、諦めて帰れ」
『そんなー!』
『やったら、今から会社に乗り込む!』
『神崎さんの隠し子ですって言う!』
『生き別れた妹ですって言う!』
「盛り上がんな!分かった!分かったから!」
俺は慌てて二人をなだめ、嘆息した。
ったく、女子は複数揃うと暴走しだすから困る。
「分かったよ。じゃあ、明日な。会社の場所分かんのか?」
『うん。スマホで調べた。駅からまっすぐ?』
最寄り駅からはそんなに分かりにくい道ではないが、二人はなにぶん東京に不慣れな女子高生だ。俺はふと不安を感じて頭をかいた。
「……迎え行ってやるから、とりあえず駅で待ってろ。12時過ぎに駅の改札でな」
『やったー!』
「でも先生が駄目だって言ったら諦めて帰れよ!」
『絶対説得するー!』
喜ぶ二人の声を聞きながら、ふと3年前を思い出した。ボールを追いかけて歓声をあげる六人の女子中学生の姿。
そうか、こいつらももう高校生か。
感慨にふけりながら、問われるままに連絡先を教え、電話を切る。
「賑やかでしたね」
「あー」
ジョーが隣で笑っている。俺は気まずさに目を反らした。
「ま、若さだな」
「若さねぇ」
ジョーは笑いながらデスク横のコーヒーを飲んだ。
「そのノリについて行けるマーシーも若いと思うけど」
ついていけてねぇよ。お前のノリにすらついて行けてる自信ねぇし。
思ったが、あえて訂正する気もわかず、目の前の仕事に取り掛かる。
「ジョー。悪いけど明日の昼、ちょっとフライングするわ」
何となく気恥ずかしく思いながらそう言うと、ジョーは笑って、了解と手を挙げた。
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何だかんだ言って(相変わらず?)押しに弱い政人でした。
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