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第二部
エセ関西人
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──明日の午後三時に大楠通りのカフェに来てくださいませんか?
ある晩心からメールが来た。
突然の連絡、しかも待ち合わせ……どうしたんだろうか……。
風呂上がりに◯ームランバーを頬張っていた光田は首をかしげる。
一体どうしたんだろう……。しかも待ちあわせがカフェ……。いつもは外で待ち合わせてデートをする。ある程度歩いていると心の性欲の針が振り切ってしまい路地裏に連れ込まれるのだが……。
当日午後三時──光田はカフェの中にいた。ヤクザだとバレぬように今時の格好をしているので馴染んでいる。ただ、普通の格好をしていると身長の高い塩系顔のイケメンなので周りの女子たちの注目の的になっている。
やばいな……さすがにヤクザやってばれてるんちゃうかな……目を合わさんようにしとこ……追い出されても困るし。
光田は女子の視線の意味に全く気付いていない……まぁ、心に捕まった時点でモテようがどうでもいいだろう。女豹からは逃げられやしないんだから。
社会的にヤクザの世界に生きる者は肩身が狭い。分かってはいたがこういう恋人らしい事をするときは不便さを光田は感じていた。
「お待たせしました」
「おう」
カフェのドアが開き心が店内に入ってくる。珍しくヒョウ柄のチュニックにデニムの短パンを履いている。フワフワのワンピースが多い心にしては派手だ。
店にいた多くの女性が心を見て残念そうな顔をする。心は見た目は可愛らしい女性だ。敵わないと思ったに違いない。
心は店に入るなり光田に熱い視線を使う女に牽制の意味を込めた笑みを浮かべていた。
「もう注文したから」
「では、メニューを失礼しますわ……」
いつもはお嬢様のような服装をしているのに雰囲気がだいぶ違う。ただ、元々が可愛らしいので何を着てもそれなりに似合ってしまう。
「カフェオレで」
心が注文すると光田はある違和感を覚えた……。
今、イントネーションおかしくなかったか?
「……心?」
「な、何なん?」
何なん?……やと!? なんで心が関西弁喋ってんねん。
光田が心を一瞥すると心がニコッと微笑んだ。
「上手く、なったでしょう? 光田様にふさわしくなるために関西弁をマスターしようと思って頑張りましたの……いえ、頑張ってん」
語尾を微調整した。
相当無理があるとおもうが、そんな心が可愛い。きっと、今日の服のヒョウ柄も大阪のおばちゃんを意識したのだろう。光田の出身地は大阪だ。
心が注文したカフェオレが届くと光田が話を切り出した。
「──で? 何があったんや?」
「何もない、わ」
「もしかして……美英ちゃんか?」
少し前に院に遊びに来ていた美英と関西弁でやり取りしていて、そのあと嫉妬に駆られた心に酷い目に合った。
あれを見て、自分も関西弁で話したいと思ったのではないだろうか……。
「ち、違います! そんなこと、絶対ありえませんわ!」
「おーい、関西弁どこいったんや?」
興奮し関西弁をどこかへやってしまう。
どうやら図星らしい。
アホやな、関西弁がええなんて一言も俺言うてないのに……。嫉妬して、寂しかったんか?
「光田様、あんたのことすっきゃねん、ですわ。だから努力して関西弁マスターいたします、わ? わい?」
「おかしいおかしい、全く内容が頭に入ってこうへんわ」
心はやはり通用しないと思いショックを受けたようだ。心の手を握ると光田は笑った。
「アホやな、誰が関西弁がええって言うたんや。心はそのままの言葉使いでええんや」
「……そう、なんですの? なら、いいんです……光田様がそう言ってくださるなら──フフ」
心はようやく穏やかな表情を見せた。カフェでしばらくのんびりした後、光田たちは席を立った。
「ほら、行くで」
「ほな行こか」
「……上手いやないかっ!」
光田と心は笑った。
ある晩心からメールが来た。
突然の連絡、しかも待ち合わせ……どうしたんだろうか……。
風呂上がりに◯ームランバーを頬張っていた光田は首をかしげる。
一体どうしたんだろう……。しかも待ちあわせがカフェ……。いつもは外で待ち合わせてデートをする。ある程度歩いていると心の性欲の針が振り切ってしまい路地裏に連れ込まれるのだが……。
当日午後三時──光田はカフェの中にいた。ヤクザだとバレぬように今時の格好をしているので馴染んでいる。ただ、普通の格好をしていると身長の高い塩系顔のイケメンなので周りの女子たちの注目の的になっている。
やばいな……さすがにヤクザやってばれてるんちゃうかな……目を合わさんようにしとこ……追い出されても困るし。
光田は女子の視線の意味に全く気付いていない……まぁ、心に捕まった時点でモテようがどうでもいいだろう。女豹からは逃げられやしないんだから。
社会的にヤクザの世界に生きる者は肩身が狭い。分かってはいたがこういう恋人らしい事をするときは不便さを光田は感じていた。
「お待たせしました」
「おう」
カフェのドアが開き心が店内に入ってくる。珍しくヒョウ柄のチュニックにデニムの短パンを履いている。フワフワのワンピースが多い心にしては派手だ。
店にいた多くの女性が心を見て残念そうな顔をする。心は見た目は可愛らしい女性だ。敵わないと思ったに違いない。
心は店に入るなり光田に熱い視線を使う女に牽制の意味を込めた笑みを浮かべていた。
「もう注文したから」
「では、メニューを失礼しますわ……」
いつもはお嬢様のような服装をしているのに雰囲気がだいぶ違う。ただ、元々が可愛らしいので何を着てもそれなりに似合ってしまう。
「カフェオレで」
心が注文すると光田はある違和感を覚えた……。
今、イントネーションおかしくなかったか?
「……心?」
「な、何なん?」
何なん?……やと!? なんで心が関西弁喋ってんねん。
光田が心を一瞥すると心がニコッと微笑んだ。
「上手く、なったでしょう? 光田様にふさわしくなるために関西弁をマスターしようと思って頑張りましたの……いえ、頑張ってん」
語尾を微調整した。
相当無理があるとおもうが、そんな心が可愛い。きっと、今日の服のヒョウ柄も大阪のおばちゃんを意識したのだろう。光田の出身地は大阪だ。
心が注文したカフェオレが届くと光田が話を切り出した。
「──で? 何があったんや?」
「何もない、わ」
「もしかして……美英ちゃんか?」
少し前に院に遊びに来ていた美英と関西弁でやり取りしていて、そのあと嫉妬に駆られた心に酷い目に合った。
あれを見て、自分も関西弁で話したいと思ったのではないだろうか……。
「ち、違います! そんなこと、絶対ありえませんわ!」
「おーい、関西弁どこいったんや?」
興奮し関西弁をどこかへやってしまう。
どうやら図星らしい。
アホやな、関西弁がええなんて一言も俺言うてないのに……。嫉妬して、寂しかったんか?
「光田様、あんたのことすっきゃねん、ですわ。だから努力して関西弁マスターいたします、わ? わい?」
「おかしいおかしい、全く内容が頭に入ってこうへんわ」
心はやはり通用しないと思いショックを受けたようだ。心の手を握ると光田は笑った。
「アホやな、誰が関西弁がええって言うたんや。心はそのままの言葉使いでええんや」
「……そう、なんですの? なら、いいんです……光田様がそう言ってくださるなら──フフ」
心はようやく穏やかな表情を見せた。カフェでしばらくのんびりした後、光田たちは席を立った。
「ほら、行くで」
「ほな行こか」
「……上手いやないかっ!」
光田と心は笑った。
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