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第37話
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「やあレベッカ嬢。忙しくしているところちょっといいかな?」
アレン様は穏やかな笑顔を浮かべながらラルフとレベカ・シエンタの方へ歩み寄った。
「なにかしら?」
レベッカ・シエンタが怪訝な顔をした。
「いやなに、ちょっと商談をしたいと思ってね」
「どうも宝石が余っているようだから是非フローラ商会が買い取らせてもらないかと思ってね・・・」
「ふ、ふざけないで。宝石がどれだけあると思ってるのよ!」
「そうだな、ダイヤモンドが5000カラット、エメラルドが6500カラット、サファイアが4000カラット、ルビーが5500カラットってところだろう?」
「何であなたが私たちの宝石の量をそんなに正確に知ってるのよ?!」
「君たちが宝石を買い占めていたのは僕の耳にも入っていた。市場に流通していた量からシエンタ家がどれだけ買い込んだのかは簡単に推測できるよ」
レベッカ・シエンタは驚愕して目を見開いた。
「それで、いくらでお買い上げいただけるんですか?」
ここでラルフが口をはさんできた。
「ちょっとラルフ、商売敵相手に何言ってるのよ!」
「じゃあ、どうやって借金を返すっていうんだレベッカ? 話を聞くくらいなら別にいいだろう」
ラルフがレベッカ・シエンタを制した。
「・・・これくらいでどうかな?」
アレン様は懐から小切手とペンを取り出すとなにごとかを書きつけて渡すとレベッカ・シエンタは戦慄いた。
「うそ、何この金額・・・私たちの仕入れ値の2倍以上じゃない・・・こんな金額だせるわけが・・・」
「そうだね、普通ならこんな金額は出せないだろうね・・・でもフローラ商会にはそれだけの付加価値を持つ宝飾品を造れるノウハウがあるのさ」
アレン様があらためて微笑みかけた。
「誰かさんが宝石を買い占めたせいで、この品評会に出品した品は妥協せざるを得なくてね・・・たとえばルビーを使いたいのをガーネットで代用したり、十分な大きさの宝石がないから小さな宝石をいくつか組み合わせたりね・・・それでも十分な評価は得られたけど、材料がそろえばもっといいものを作って見せるさ・・・どうするの? 嫌ならこの話はなかったことにするけど」
レベッカ・シエンタが観念したような顔で小切手を受け取った。事実上の契約成立だ。
ようやく私は理解した。
これは単なる宝石の取引じゃない・・・ラルフとレベッカ・シエンタに経済的な痛手を負わせないようにしたうえで、フローラ商会の優位を周囲に印象付けるためのパフォーマンスなんだ。
「あらあらアレン・ヴェルファイアさん。なかなか面白いことをおっしゃるのね。今夜お持ちいただいた品はご自身では満足できないものだったのかしら?」
「ええ、恥ずかしながら思うように宝石を集められなかったもので、心から満足できる品は持ってこれませんでした・・・しかし今しがた宝石が手に入りましたのでこれからはもっと良い品をご用意して見せますよ」
「あらあら素敵ね。ぜひ詳しい話を聞かせてくださらない?」
「もちろんですエスクワイア夫人、喜んで」
エスクワイア夫人の申し出にアレン様が笑顔で応じる。
「あの、私にもお話を聞かせてもらないかしら?」
「わしのところにも来てくれんかのう?」
「オーダーメイドっておいくらからになります?」
エスクワイア夫人を皮切りにその場にいた人たちが話を聞きに私たちのところに集まってきた。
アレン様とルークさんが分担して対応にあたり、私はそのサポートにまわる。
ラルフとレベッカ・シエンタの姿はいつのまにか見えなくなっていた。
全ての問い合わせに対応し終わったころには深夜に差し掛かっていて、私たちはあくびを堪えながら宿へと戻ると泥のように眠りについた。
アレン様は穏やかな笑顔を浮かべながらラルフとレベカ・シエンタの方へ歩み寄った。
「なにかしら?」
レベッカ・シエンタが怪訝な顔をした。
「いやなに、ちょっと商談をしたいと思ってね」
「どうも宝石が余っているようだから是非フローラ商会が買い取らせてもらないかと思ってね・・・」
「ふ、ふざけないで。宝石がどれだけあると思ってるのよ!」
「そうだな、ダイヤモンドが5000カラット、エメラルドが6500カラット、サファイアが4000カラット、ルビーが5500カラットってところだろう?」
「何であなたが私たちの宝石の量をそんなに正確に知ってるのよ?!」
「君たちが宝石を買い占めていたのは僕の耳にも入っていた。市場に流通していた量からシエンタ家がどれだけ買い込んだのかは簡単に推測できるよ」
レベッカ・シエンタは驚愕して目を見開いた。
「それで、いくらでお買い上げいただけるんですか?」
ここでラルフが口をはさんできた。
「ちょっとラルフ、商売敵相手に何言ってるのよ!」
「じゃあ、どうやって借金を返すっていうんだレベッカ? 話を聞くくらいなら別にいいだろう」
ラルフがレベッカ・シエンタを制した。
「・・・これくらいでどうかな?」
アレン様は懐から小切手とペンを取り出すとなにごとかを書きつけて渡すとレベッカ・シエンタは戦慄いた。
「うそ、何この金額・・・私たちの仕入れ値の2倍以上じゃない・・・こんな金額だせるわけが・・・」
「そうだね、普通ならこんな金額は出せないだろうね・・・でもフローラ商会にはそれだけの付加価値を持つ宝飾品を造れるノウハウがあるのさ」
アレン様があらためて微笑みかけた。
「誰かさんが宝石を買い占めたせいで、この品評会に出品した品は妥協せざるを得なくてね・・・たとえばルビーを使いたいのをガーネットで代用したり、十分な大きさの宝石がないから小さな宝石をいくつか組み合わせたりね・・・それでも十分な評価は得られたけど、材料がそろえばもっといいものを作って見せるさ・・・どうするの? 嫌ならこの話はなかったことにするけど」
レベッカ・シエンタが観念したような顔で小切手を受け取った。事実上の契約成立だ。
ようやく私は理解した。
これは単なる宝石の取引じゃない・・・ラルフとレベッカ・シエンタに経済的な痛手を負わせないようにしたうえで、フローラ商会の優位を周囲に印象付けるためのパフォーマンスなんだ。
「あらあらアレン・ヴェルファイアさん。なかなか面白いことをおっしゃるのね。今夜お持ちいただいた品はご自身では満足できないものだったのかしら?」
「ええ、恥ずかしながら思うように宝石を集められなかったもので、心から満足できる品は持ってこれませんでした・・・しかし今しがた宝石が手に入りましたのでこれからはもっと良い品をご用意して見せますよ」
「あらあら素敵ね。ぜひ詳しい話を聞かせてくださらない?」
「もちろんですエスクワイア夫人、喜んで」
エスクワイア夫人の申し出にアレン様が笑顔で応じる。
「あの、私にもお話を聞かせてもらないかしら?」
「わしのところにも来てくれんかのう?」
「オーダーメイドっておいくらからになります?」
エスクワイア夫人を皮切りにその場にいた人たちが話を聞きに私たちのところに集まってきた。
アレン様とルークさんが分担して対応にあたり、私はそのサポートにまわる。
ラルフとレベッカ・シエンタの姿はいつのまにか見えなくなっていた。
全ての問い合わせに対応し終わったころには深夜に差し掛かっていて、私たちはあくびを堪えながら宿へと戻ると泥のように眠りについた。
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