元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

少女、加護を得る。

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シェラが箱を開けると巨大な機巧とそれに繋がれたディアに似た機巧少女が現れる。

ただし、その見た目はディアの身体を大きくしたものだった。

背はディアからすると12人分くらい高く、胸は現状の私たちの中で一番大きいシャタルア(指数143)よりも大きかった。

…と言うか、大きいどころじゃなくて、今の私なら胸の中だけで3~4人くらいは中に住んでも余裕がありそうなサイズ感だ。

質感はなんか普通にヒトの肌みたいに柔らかい…

え?なにこれ…巨大な人造人間ホムンクルスですか?

…そういや、ディアも普通のヒトの肌みたいな柔らかい肌?を持ってたね。

機巧少女って言うより、人造人間なのかな?

…いや、本人の意思を尊重するべきか。


ディアが大きな機巧少女を見て言う。

「自分の本体っぽいですね。自分は複製体なのは存じてましたが、まさかほんとに元となるものがあったとは…と言う感じです。」

『いや…デカ過ぎでしょ…』

ティアラが呆れた様子でツッコミを入れる。

「じゃあ…これが機械仕掛けの女神デウス・エクス・マキナって事かな…」

「自分も本体を見た事が無いのでなんとも言えないですね。もしかすると、ディアのオリジナルなだけでデウス・エクス・マキナについては別個体が存在するかもしれませんが…この辺りの機巧とか、自分にピッタリな機巧もありますし…」

そう言ってディアは不思議な形の剣のようなものを手に取る。

「これを…」

そう言って、ディアが突然自身の胸を貫く。

「えぇ?!何やってんの!」

しかし、剣のようなものがディアの中に吸い込まれるように消えたかと思うとディアの中で機械的な何かが動く音と共にディアの身体が光を放つ。

「インストール完了。を獲得しました。」

ディアが機械的な声で言うと私を見る。

「シェラ様、わたくし、ディアは新たな力と共に断片的ながら、記憶を思い出しました。いえ、厳密には記憶と言う名のデータのインストールとなりますが…」

ディアは背中に生成された機械の翼を広げる。

特殊な魔力粒子が浮力を生み出しているのが分かる。

ただし、肝心の魔術回路は不明だった。

「この魔術回路の解析もしたいけど、今は転生の事を調べなくちゃいけないしなぁ…ディア、思い出した記憶ってどんなものなの?」

私が聞くとディアは首を傾げながら言う。

「そうですね…これは輪廻の輪に干渉する方法でしょうか…特殊な魔術…いや、この場合、魔術を超えた力…神業カミワザと呼称しましょうか…魔術で再現しようとすれば確実に不可能な回路がありますね。書き出しましょうか?」

「そうだね。一応、確認させてもらえると助かるかな。」

「了解しました。では、出力しますね。」

ディアはそう言うと複雑で見たことも無い変わった魔法陣を空中に書き出す。

諸々の計算や属性魔力の注ぎ方に加えて詳細不明なエネルギーや神の力を借りないと破綻する様な調律があった。

他にも欠けているところはあるが、それでも理論上はこの力がなければ成り立たないとされるような部分も多く、文字通りに神のみがなせる技だと感じた。

ディアはそれら全てを書き出すと言う。

「今、私の記憶にあるのは、この限りですね。あまりお役に立てなくてごめんなさい…」

「いやいや、私の知識でも成り立っているのが、不思議な回路もあるし、とても有益だったよ!これが断片的だとしても、まず神の力が無ければ成り立たないのがわかっただけで満足さ。後は神が協力した理由を知りたいのだけれど…」

私がそう言うとディアは「う~ん」と首を傾げながら言う。

「これに関しては、私にはアクセス権限が無いですね…ネイアード様と協力してくださった神との契約なのでしょうか…」

「その通りですわ」

ディアの言葉に反応する様に声が聞こえる。

「ど、どこから?!」

ディアと私が警戒して戦闘態勢を整えると声が聞こえる。

「これは失礼…驚かせてしまいましたわね。ちょっと待っててくださいな。」

声の主が少しづつ形を作る。

長く黒い髪に黒い瞳の人間の15歳ほどの大きさの数cmほど宙に浮いた女性の姿が現れる。

背中から白い光が伸びて、鳥のような羽の形を形成し、光が粒子状になると同時に白い翼が露になる。

女性がゆっくりと地に足をつけると言う。

「私は輪廻の神。転生神てんせいしん:オルトティアーデと申しますわ。」

私はその姿に覚えがあった。

「もしかして…の…?」

私がそう言うとオルトティアーデは驚いた表情をする。

「驚きました…まさか、我が母の名を知るものが居たとは…」

「当然だよ。私は今はこんなだけど、中身はあのシェテラエンデだからね!」

私がシェテラエンデの名前を出すとオルトティアーデの表情がほんの僅かに暗くなる。

「左様ですか…」

私は直感的に不味いことをしたかもしれないと感じる。

しかし、オルトティアーデの反応は私の予感とは逆だった。

「あの大賢者のシェテラエンデ様の生まれ変わりでしたら、私には何も出来ませんね。本来なら、輪廻の輪から外れた者は私たちの手で元に戻さなければならないのですが…」

そう言って、オルトティアーデは左手を突き出す。

「待って。輪廻の輪から外れたってどういう事なの?私はアンデッドみたいなやつになったのかしら?」

私はヒトではない?

そうなれば、少なくとも私はアンデッドと言うことになり、ヒトとして暮らすのはヒトへの悪影響が出る可能性が高く、私はヒトから離れなければならなくなる…

「いいえ、貴方は正しく人間であります。ですが、輪廻の輪からは外れた魂なのです。私にも詳しくはわからないのですが…貴方は輪廻の輪から外れているため、寿命が存在せず、理を脅かす獣になる可能性がある危険な存在となってます。」

私はホッと胸を撫で下ろす。


オルトティアーデが言うには、輪廻の輪から外れた魂は放置しておくとやがて否定の獣…ビーストに変化するとの事だ。

ビーストはシェテラエンデの理を破壊する魔法や勇者の力で無いと破壊が出来ないため、ビーストが現れると言うことは、世界が崩壊する危険があるということになり、否定された理はビーストの力でやがて消滅してしまうのだそう。

それが例えどんなものであれ、1つでも欠けてしまえば人理が崩壊し、そこから崩壊の連鎖が起きて世界そのものが崩壊する。

だから、ビーストは世界共通のとなるんだそう。

ただし、神との契約によって、守護者シールダーになったものは別だ。

守護者は勇者と同じ力を持ち、不老不死を得る事になり、神を宿す者…神宿かみやどしとなるため、神としての行動を求められるようになる。

その為、圧倒的な力を持ちながら、自由が無い束縛された者になる。

言ってしまえば、守護者と言う名の神の奴隷である。

シェテラエンデの時代にも守護者がおり、役目を終えた事で消滅させられていたが…


「ですが、シェテラエンデ様なら、獣なんかにはならないと信じています。人の身でありながら、我々の神界もお救いになられたお方なら人理を守護する者として存在してくれましょう…」


人理を守護する者、それは本来はその時代の勇者と守護者が執り行う業務であり、理を脅かす存在から世界を守護する役目を持っている。


「シェテラエンデ様、どうかこの世界を守護する者として、私と契約してくださいませんか?」

オルトティアーデはそう言って右手を出す。

神との契約は守護者になる事と同義である。

シェラから出た言葉は本人ですら、その声が聞こえるまで何を言ったかわからないほどに自然な言葉だった。

「嫌よ。だって、私はただの研究者だからね!」

私は自分でも驚いたが、私は私の道を歩みたいんだと思った。

それが私と言うヒトであり、私と言う生き方なんだと理解している。

「フッ…アハハ!お母様から聞いていた通りだ!」

しばらくの沈黙の後、オルトティアーデはとても愉快そうに笑う。

『研究バカのシェラ様らしい回答ですね。』

「シェラは研究大好きですものね。さすがシェラです!」

今まで黙って聞いていた2人も納得する。

「えっ…私、そんなに研究大好きなイメージなの?」

3人とも頷く。

「まあ、間違っては無いけど…なんかショックだな~…」

言葉とは裏腹に全く気にしてないのは3人にはバレバレであった。

オルトティアーデは私の目の前まで来て白い光を放つ指輪を差し出しながら言う。

「シェテラエンデ様に円環の加護が得られる様に力を込めました。どうか受け取ってくださいませ。」

私は首を振る。

「今の私はシェラ・アルフェルンだからなぁ…シェテラエンデとしては受け取れないよ。」

オルトティアーデはしまったと言う表情をする。

「そうでした…輪廻の輪に居ないものに取って名は魂と同じ価値があるものでしたね。」

オルトティアーデは今度は片膝を着いて先程とは違う翡翠の指輪を差し出して言う。

先程とは違った空気が場に満ちる。

「シェラ様、貴方が円環の加護を得られる様に力を込めました。どうか受け取ってくださいませ。」

私はオルトティアーデの手から指輪を受け取る。

私の身体に正しく加護が与えられたと感じる。

「確かに受け取りましたよ。ありがとうございます。」

私が終わりの言葉を言うと空気が元に戻った感覚がする。

「加護の儀式を行うところなんて初めて見ました。」

ディアは興味津々と言った表情で言う。

『私も…と言うか、私にも加護がついてるのですが…』

ティアラが私の中で言う。

「せっかくなので、シェラ様の中の魔族の方にも加護を与える事にしただけですよ。とは言っても、私の加護ですので、円環の加護よりは力が弱いのですが…」

オルトティアーデは穏やかな口調で言う。

『えっ…シェラ様に与えるなら分かりますが、私に与える理由なんて無いでしょうに…』

「端的に言えば、抑止力ですね。私の力は理を脅かす獣…ヒトの世ではビーストと呼ばれる存在にはとてつもない力を発揮します。シェラ様の中にビーストが現れた際に貴方にビーストを破壊していただきたいのです。」

「あーね。さすがの私も自分の中に居たら気づきにくいからね。」

『サラッとフラグ立てるのやめてください…私、シェラ様に戦いを挑むとか嫌ですからね?』

「アハハ!ティアラなら、私が相手でも勝てるっしょ!」

『や!め!ろ!よ!マ!ジ!で!!!』

ティアラが私の中に居るから表情はわからないが、絶対ブチギレてるなと言う声だった。

ちょっと冗談言ってみただけなのになぁ…

『冗談にならないから言ってるんですけど?』

あ、はい。すんませんでした。

これ以上怒らせるとお説教が始まっちゃう…

『聞こえてますけど!反省の色無しですか?』

…これわりと厄介な呪いだよね。

『呪いとは失礼な!ジャジャウマ娘の手綱を握る役目を負う私の身にもなってくださいねっ!ほんとに!』

「アハハ!お二人は仲が良いですね!」

オルトティアーデは楽しげに笑う。

そんな3人の背後からやってくる者がいた。

「シェラさんっ!」
「シェラちゃん!」
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