元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

白少女と黒少女

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そこには二人の人間がいた。

一人は黒い剣を持っている事からリグレッタだろう。

リグレッタの鎧はしたようだ。

もう一人は全ての光を吸収しているかのような漆黒の短剣を両手に持った少女だ。

少女の姿は白く長い髪、黒い瞳の背が低い姿だ。

少女が倒れたリグレッタを見下して冷たい声で言う。

「こんな雑魚に負けるなんてとんだ恥さらしだねぇ!」

少女はそういうとリグレッタの頭を勢いよく踏みつける。

「グアッ!」

私が驚いて見ていると少女はさらに足を上げて踏みつけるのを繰り返す。

「キャハハハ!お前さぁ…雑魚のくせに偉そうだったからムカつくんだよねぇ!アタシに指図したりしちゃってさぁ!ほんと生意気だったよねぇ!」

少女が足をあげる。

「お前、何をやってるのです?」

「あん?見てわかんねぇのかよ。罰を与えてやってんのっ!こいつが無様に負けちゃったから、アタシが王様の代わりに罰を与えてやってんのよ!」

少女はそう言って動けないリグレッタの頭を踏み続ける。

「そいつは仲間じゃないのですか?」

「はぁ?こんな雑魚が仲間なわけ無いじゃない!たかだか魔族も潰せないようなやつなんかお断りよっ!」

少女が怒りを込めるかのように勢い良く踏んだリグレッタの頭から血が出る。

「おい」

私は自分でも不思議なくらいの怒りを感じる。

「お前、その足、退けろよ。」

「はぁ?」

私が言うと少女がイラッとしたのを表情に出して言う。

「アンタ、今なんて言った?」

「その汚ぇ足を退けろと言った。」

私がそう言うと「キャハハハ!」と愉快な笑い声が聞こえる。

「アンタ、頭おかしいんじゃない?こいつとアンタは敵でしょ!なのに、敵の事を庇っちゃうのなんてばっかじゃないの?今の今まで殺し合いしてた相手を庇うなんて、やっぱり馬鹿な魔族だから人間の事なんてわからないのかしらぁ?」

少女が馬鹿にしたような…と言うか、馬鹿にした表情で私を見る。

「キャハハハ!ぐうの音も出ないとはこの事ね!ほら、なんとか言ってみたらどうなのかしら?」

私が反応を見せないのを見るとさらに馬鹿にしたような声で言う。

「実に哀れだ。」

「はぁ?なにそれ」

私の哀れみの視線に少女が反応する。

一瞬だが、少女の瞳に光が見えたような気がした。

「アンタのその目、生意気ね。アンタのご主人様に躾られなかったのかしら?ま、こんな雑魚の契約者なんて馬鹿に決まってるけど…」

少女が武器を構える。

少女の瞳に宿

「(Comme prévu, Bran viendra sérieusement…)」
(訳:さすがにブランも本気で来るよね…)

少女が何かを呟いた気がしたと同時に一瞬で視界から消える。

「キャハハハ!死んじゃえ!」

私は背後に現れた少女の剣を避ける。

「まだまだもっと早くなるわよぉ!」

さらに速度の上がった少女の剣が背後から迫る。

私は振り返らずにそれを避け、少女の両腕を掴んで拘束する。

「このアタシよりなんて…許さない…!」

何故だか分からないが、どこかぎこちない感覚を感じる。

少女が両足を使って先に毒の塗られた尖った靴を突き刺そうとするが…

「効かないよ。そんなの。」

私は右足でその両足の脛を受け止めることで攻撃を止める。

そしてそのまま少女の足を突き飛ばし、シェラを馬鹿にされた怒りを乗せて腹に蹴りを入れる。

「ガハッ…!」

少女の口から血が出る。

「お前は人間のくせに物分りが悪いようだな。私のご主人様はお前のような愚かな人間とは格が違う。お前程度が気安く評価して良いお方では無い。」

私は勢いよく少女の左腕を引っ張る。

少女の手から

「Votre visage est maintenant très joli…Il a un joli visage, comme celui d’un dirigeant impitoyable!」
(訳:今のアンタの顔はとても素敵よ…まるで無慈悲な支配者のような素敵な顔)

腕がちぎれた少女は聞き慣れない言語をどこか嬉しそうに叫ぶ。

身体を逸らして逃げようとする少女の首を掴む。

「ガ…ア…」

少女が息が出来なくなって苦しそうな声を上げる。

少女の手から離れた短剣はいつの間にかしていた。

私はこのまま首を握り潰して殺そうかと思い、首を握る力を強める。

「ティアラ、やめなさい!」

私はその声に振り返る。

そこにいたのは間違いなく私のご主人様だった。

シェラはもう一度言う。

「ティアラ、すぐに。」

私はシェラのに従って手を離すと重力によって地に叩きつけられた少女が「ケホケホ」と咳をしながら首を押さえていた。

「シェラ様…」

シェラは少女の元まで歩いて行き、腰を屈めて左手を少女の胸に優しく包むようにして当てる。

シェラの手によって小さいながらも胸があるのだとわかる。

「癒しを…ヒール!」

シェラが回復魔法を唱えると少女の身体が完全に再生する。

「アンタ…何をやって…」

少女が驚いた表情でシェラを見る。

「貴方にはこの事件の首謀者のところまで案内もしてもらいます。貴方の罪はそれで清算しましょう。その為に四肢が欠損があっては役に立たちません。まあ、別に私は貴方の脳さえあれば記憶を解析するなんて朝飯前なのだけれどね。」

シェラは少女に魔法陣を刻む。

「これで貴方は私の配下よ。特殊な魔法陣の効果で今後はわ。」

シェラが言ったことは嘘だ。

あれはただの意味の無い魔法陣だ。

暗示効果があるわけでも、なにか特別な効果があるわけでもない。

本当にただの意味の無い印のようなものだ。

少女はその魔法陣を見て言う。

「C'est dommage…せっかく不意打ちでもして殺そうかと思ったのになぁ…」
(訳:残念…)


少女はそう言うと両手を挙げて降参のポーズをとる。

「Ce n'est pas nécessaire…でしょう?」

シェラがニヤリと笑うと少女は少し驚いた顔をして言う。

「ちぇ…全部お見通しか…」

少女とそんなやり取りをして、シェラはリグレッタの元に向かう。

「…」

リグレッタは何も言わなかった。

「ヒール」

シェラの魔法がリグレッタの身体を癒す。

「貴様…我は…」

「怪我してんでしょ。だから、治した。」

シェラは淡々と言う。

「我は貴様らの敵だぞ!西の帝国からモンスターの軍勢を率いて、貴様らの国を滅ぼそうとしたのだぞ!?」

リグレッタが言うことももっともだ。

だが、私はご主人様がどんな人間かをよく知っている。

「うるさいなぁ…アンタも情報提供者として利用するだけ。あの黒い変な術のかかった武具の事とか教えてもらわないと困るの!文句ある?」

「しかし…」

「しかしもクソもねぇよ。私がいる限り、勝手は許さない。例え誰が相手であろうとね!」

シェラは元の姿に戻った私の肩に手を置いて言う。

「それにこっちには私の可愛い娘ティアラもいるし、誰が来ようと負けっこないわ。文字通り天地がひっくり返ってもね」

シェラの微笑みにリグレッタは力無く笑う。

「ははは…これがアーミアの冒険者…か…」

しばらくしてやってきたギルドの自警団によってリグレッタは連行された。

「さってと…」

シェラが私を見る。

「ティアラ」

「は、はいっ!」

シェラがやけに真剣な声で名前を呼ぶので思わず背筋が伸びる。

「まずは根源の姿の解放と新しいスキルの獲得おめでとう!」

「ありがとうございます…」

私はシェラの次の言葉が怖かった。

私はどうなってしまうのか…

シェラとの契約には「人を殺してはならない」があった。

それでも私は怒りに任せて少女を殺そうとした。

当然の事ながら、シェラも怒っているだろう。

いくら、ご主人様を馬鹿にされた怒りで我を忘れていたからとは言え、約束を破ろうとしたのだ。

契約違反による契約の打ち切りが起きてもおかしくない。

一度でも契約違反で契約の打ち切りが起きた魔族は全ての魔力と能力の剥奪、生命力の半分の没収、もしくは存在そのものの消滅まで有り得るのだ。

だが、そんな私の心境なんて気にしないかのようにシェラは言う。

「契約の件なんだけど…」

「申し訳ございませんでした!」

「えぇ!?」

私が土下座をして謝るとシェラはとても驚いた様子だった。

「ちょ、ちょっと待って!ティアラちゃん、顔を上げてよ!そんな責めるつもりは無いんだしさ!」

「いえ、私はシェラ様の下僕としてあるまじき行為をしようとしました。こんな不穏因子なんてk…「ストーップ!」」

シェラが大声を出して私の言葉を遮る。

「ティアラ、勘違いしているようだけど、私、怒ってないからね?!相手が敵対してるなら関係ないし、それにティアラが殺そうとしたのはよ。」

「えっ…」

私は少女を見る。

「あ~あ…アタシ、擬態能力には自信あったんだけどなぁ…」

少女はそう言うと少しだけ魔力を放って真の姿を現す。

背丈は小さく、、黒い瞳、背中には黒い龍の翼がある。

その翼を見て理解した。

「あ、貴方はっ!」

彼女は悪魔龍デビドロンの娘、だと…

私が驚いて指を指すと少女は楽しげに笑って言う。

「キャハハハ!ブランってば、気づくのおそ~い!アンタのご主人様が言った通り、アタシは根源の黒ノワール よ!ブラン、アンタの力は強いわ!でも、アンタは甘ちゃんだから、平常だと無意識に加減をする癖がある。リグレッタにトドメを刺さなかったのが、その証拠よ。だから、わざと怒らせたの。リグレッタの様子を見て、アタシも倒されたら、アタシにもかけられた術式が解けると判断してね。アンタのご主人様がとんでもないやつだって言うのは出会った時からとっくにわかっていたわ。」

ノワールの少女は楽しげに笑う。

「…とは言っても、ティアラの前で私の事を馬鹿呼ばわりしたのは愚かだと言うほか無いわね。後少し私が遅れてたら死んでたわよ?」

シェラがそんな風に毒づくとノワールの少女は頬を掻きながら言う。

「それは…アタシがからで…その…ごめんね?今度、美味しい木の実取ってきてあげるから許して!」

「しょうがないわねぇ…の顔に免じて許しましょう。」

「キャハハハ!アタシに名前なんて与えちゃって良いわけ?裏切っちゃうかもしれないわよ?」

少女が馬鹿にしているかのような表情で言う。

「それは出来ないって、貴方が1番よく知っているはずよ。」

「もうっ!ちょっとくらいノッてくれても良いじゃないのよ。」

「アハハ!気が向いたらね」

こうして根源の黒はフィナと言う名を得ることになり、シェラの配下として契約する事になったのである。

『根源さえ、奴隷のように使役出来る術式…か…』

そんな呟きが聞こえた気がした。

「あ、そうそう。ティアラの契約の変更があるのよ!の部分は敵対してない人限定ね!今回みたいな明らかな敵意のある相手には、むしろ手加減は禁止よ。敵は殺せとは言わないけど、!良いわね?」

「は、はいっ!」

思わず背筋が伸びる私を見てシェラは笑っていた。
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