93 / 101
最終章 最強部長はロードレースでも最強を目指す
第93話 今年最後のレース
しおりを挟む
今日は今年最後のレースの日。
私が海斗君と対決する日だ。
相手の実力は未知数だが、出来るだけの準備は行ってきた。
北見さん、利男、木野さんと一緒にレースの経験を積んだ。
師匠とスプリントの再特訓をした。
そして綾乃とのヒルクライムトレーニング。
長距離レースでの補給戦略については未解決だけど、補給食を沢山用意しておいたから何とかなるだろう。
綾乃と一緒に早めに会場入りして仲間を待つ。
最初に来たのは東尾師匠と北見親子だった。
「おはよう、猛士さん。今日は、今までの成果を発揮しよう」
「頼むから勝ってくれよ。父親の威厳がかかってるんだからなぁ」
「今日もゴールで観戦してます! 陸、悔しがるだろうな」
「おはよう、師匠、北見さんと勇也くん。今日はみんなで楽しく走ろう。私が海斗君に勝つのが目標だけど、みんなの成長も楽しみだからね」
「そうだね、猛士さんがどれだけ上れる様になったか楽しみだし、木野さんの成長も楽しみだ」
「木野君は大丈夫なのか? 中杉君はヒルクライムの鬼が一緒だから心配してねぇけどよぉ」
「誰がヒルクライムの鬼ですって?」
「パパは失礼だね!」
「おはようですよぉー」
遠くから挨拶が聞こえる。木野さんだ。
隣にいるのは、ひまりちゃんと南原さん?!
仲間なので南原さんが観戦に来る事に驚きはしない。
だが、彼はチームジャージを身に纏い、愛車を携えている。
レースを引退した彼が、レースに参加する準備をしてきた事に驚いたのだ。
彼は本当にレースに参加するのだろうか?
「おはようございます。今日は自分がサポートするので宜しくお願いします」
南原さんの挨拶で、彼がレースに参加する事が本当だと分かった。
「おはよう、南原さん。驚いたよ。レースを引退していたから、参加するとは思っていなかった」
「エントリーリストに名前が乗ってるから知ってると思ってましたよ。木野さんとも一緒に走ってますし」
木野さんと一緒に走っている……もしかして?
「僕の師匠なんですよぉ。苦手な平地の高速巡行のトレーニングに付き合ってもらっていたんですよぉ」
私が綾乃とヒルクライムのトレーニングをしていた間、木野さんは南原さんと高速巡行のトレーニングをしていたのだな。
南原さんが鍛えたなら、木野さんも平地で遅れる事はないだろう。
私のヒルクライム能力が向上した事と同じで。
「木野君のレベルアップは分かったけど、南原君自身は大丈夫なんか? 引退してから大分経つだろう?」
「問題ないですよ、北見さん。現役時の実力を取り戻していますから」
「でも、どうして? また堅司と一緒に走れるのは嬉しいけど、一度失ったモチベーションをどうやって取り戻したのかな? やる気を疑ってる訳じゃなくてさ、競技者として興味があるんだ」
北見さんと師匠の疑問は分かる。
私も落車でモチベーションを失った時に、立ち直るのに時間がかかったからな。
「えっ、その、あれですねぇ……」
いつもハッキリ断言する南原さんが口篭もる。
「みんなの為だってハッキリ言いなさいよ。ピンチの時に支え合うのが仲間でしょ! 実力があるんだからシッカリしなさい!」
南原さんに変わって、ひまりちゃんが説明する。
いや、南原さんが現役復帰したのは、元々ひまりちゃんの意志か……
ひまりちゃんが仲間だと思っていてくれる事はとても嬉しい。
だけど……尻に敷かれる南原さんを見たら何も言えない。
それは、北見さん、木野さん、師匠の3人も同じようだ。
救いを求める様に綾乃に視線を移すが、勇也くんと観戦場所についての話で盛り上がっていて何とかしてくれそうもない。
「真打登場! 宮本利男の登場だぁ!」
利男が微妙な空気を打ち壊しながら登場した。
彼のお陰で微妙な空気が払しょくされたので、男性陣4人は同時にほっとした。
しかも宮本か……遅れて来たから名乗ったのだろうけど、本当は佐々木だ。
「あれっ、ツッコミどころが沢山あるのにどうした? もしかして遅くなったから怒ってるか?」
「いや、怒ってはいないさ。流石、利男だと皆で感心していたのさ」
「そうだぜ。ナイスアシスト!」
「利男は凄いですよぉ」
「な、なんだよ。突然絶賛されて良く分からん」
事情を知らないのに絶賛されて利男が戸惑う。
話しているうちにレース開始時刻が迫ったきた。
そろそろ準備を終わらせる必要がある。
「さて、準備を始めよう」
補給食を背中のポケットに入れ、ボトルを愛車に取り付けようとするが……
「猛士さんは手ぶらで行きましょう。これは全部自分が預かります」
南原さんが私の補給食を受け取ろうと、手を差し出す。
「どうして?」
「今日は猛士さんがエースです。ヒルクライムでは少しでも軽い方が良いです。補給食を運ぶのはアシストの役目です」
南原さんの言っている事は分かる。
だが、それはプロのレースで行われる事だ。
私の勝利という目的があっても、ホビーレースでそこまでする事はない。
仕事であれば自分の成績を犠牲にしてエースをアシストするが、趣味でそこまでする必要はない。
だが……
「自分にまかせて下さい。適切な補給のタイミングで補給食をお渡ししますので」
「分かった、お願いするよ」
南原さんの真っすぐな目を見ていたら断れなかった。
負けられない理由が1つ増えたな。
私が海斗君と対決する日だ。
相手の実力は未知数だが、出来るだけの準備は行ってきた。
北見さん、利男、木野さんと一緒にレースの経験を積んだ。
師匠とスプリントの再特訓をした。
そして綾乃とのヒルクライムトレーニング。
長距離レースでの補給戦略については未解決だけど、補給食を沢山用意しておいたから何とかなるだろう。
綾乃と一緒に早めに会場入りして仲間を待つ。
最初に来たのは東尾師匠と北見親子だった。
「おはよう、猛士さん。今日は、今までの成果を発揮しよう」
「頼むから勝ってくれよ。父親の威厳がかかってるんだからなぁ」
「今日もゴールで観戦してます! 陸、悔しがるだろうな」
「おはよう、師匠、北見さんと勇也くん。今日はみんなで楽しく走ろう。私が海斗君に勝つのが目標だけど、みんなの成長も楽しみだからね」
「そうだね、猛士さんがどれだけ上れる様になったか楽しみだし、木野さんの成長も楽しみだ」
「木野君は大丈夫なのか? 中杉君はヒルクライムの鬼が一緒だから心配してねぇけどよぉ」
「誰がヒルクライムの鬼ですって?」
「パパは失礼だね!」
「おはようですよぉー」
遠くから挨拶が聞こえる。木野さんだ。
隣にいるのは、ひまりちゃんと南原さん?!
仲間なので南原さんが観戦に来る事に驚きはしない。
だが、彼はチームジャージを身に纏い、愛車を携えている。
レースを引退した彼が、レースに参加する準備をしてきた事に驚いたのだ。
彼は本当にレースに参加するのだろうか?
「おはようございます。今日は自分がサポートするので宜しくお願いします」
南原さんの挨拶で、彼がレースに参加する事が本当だと分かった。
「おはよう、南原さん。驚いたよ。レースを引退していたから、参加するとは思っていなかった」
「エントリーリストに名前が乗ってるから知ってると思ってましたよ。木野さんとも一緒に走ってますし」
木野さんと一緒に走っている……もしかして?
「僕の師匠なんですよぉ。苦手な平地の高速巡行のトレーニングに付き合ってもらっていたんですよぉ」
私が綾乃とヒルクライムのトレーニングをしていた間、木野さんは南原さんと高速巡行のトレーニングをしていたのだな。
南原さんが鍛えたなら、木野さんも平地で遅れる事はないだろう。
私のヒルクライム能力が向上した事と同じで。
「木野君のレベルアップは分かったけど、南原君自身は大丈夫なんか? 引退してから大分経つだろう?」
「問題ないですよ、北見さん。現役時の実力を取り戻していますから」
「でも、どうして? また堅司と一緒に走れるのは嬉しいけど、一度失ったモチベーションをどうやって取り戻したのかな? やる気を疑ってる訳じゃなくてさ、競技者として興味があるんだ」
北見さんと師匠の疑問は分かる。
私も落車でモチベーションを失った時に、立ち直るのに時間がかかったからな。
「えっ、その、あれですねぇ……」
いつもハッキリ断言する南原さんが口篭もる。
「みんなの為だってハッキリ言いなさいよ。ピンチの時に支え合うのが仲間でしょ! 実力があるんだからシッカリしなさい!」
南原さんに変わって、ひまりちゃんが説明する。
いや、南原さんが現役復帰したのは、元々ひまりちゃんの意志か……
ひまりちゃんが仲間だと思っていてくれる事はとても嬉しい。
だけど……尻に敷かれる南原さんを見たら何も言えない。
それは、北見さん、木野さん、師匠の3人も同じようだ。
救いを求める様に綾乃に視線を移すが、勇也くんと観戦場所についての話で盛り上がっていて何とかしてくれそうもない。
「真打登場! 宮本利男の登場だぁ!」
利男が微妙な空気を打ち壊しながら登場した。
彼のお陰で微妙な空気が払しょくされたので、男性陣4人は同時にほっとした。
しかも宮本か……遅れて来たから名乗ったのだろうけど、本当は佐々木だ。
「あれっ、ツッコミどころが沢山あるのにどうした? もしかして遅くなったから怒ってるか?」
「いや、怒ってはいないさ。流石、利男だと皆で感心していたのさ」
「そうだぜ。ナイスアシスト!」
「利男は凄いですよぉ」
「な、なんだよ。突然絶賛されて良く分からん」
事情を知らないのに絶賛されて利男が戸惑う。
話しているうちにレース開始時刻が迫ったきた。
そろそろ準備を終わらせる必要がある。
「さて、準備を始めよう」
補給食を背中のポケットに入れ、ボトルを愛車に取り付けようとするが……
「猛士さんは手ぶらで行きましょう。これは全部自分が預かります」
南原さんが私の補給食を受け取ろうと、手を差し出す。
「どうして?」
「今日は猛士さんがエースです。ヒルクライムでは少しでも軽い方が良いです。補給食を運ぶのはアシストの役目です」
南原さんの言っている事は分かる。
だが、それはプロのレースで行われる事だ。
私の勝利という目的があっても、ホビーレースでそこまでする事はない。
仕事であれば自分の成績を犠牲にしてエースをアシストするが、趣味でそこまでする必要はない。
だが……
「自分にまかせて下さい。適切な補給のタイミングで補給食をお渡ししますので」
「分かった、お願いするよ」
南原さんの真っすぐな目を見ていたら断れなかった。
負けられない理由が1つ増えたな。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる