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七頁 クレマチスの願い
104話 もはや恒例と化してきた会議
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数日後エヴェイユ殿下に呼ばれ俺たちはもうひとつの生徒会長室にやってきた。なんかもう俺がエヴェイユに呼ばれるのが日常と化して気がするのは俺の気のせいかなぁ……? クラルテが来てから息つく間もなく本編イベントが続々と……もうね心の底からこれっきりにしていただきたいわけですが! 無理だろうな。
「よく来てくださいましたシュヴァリエ公子」
「……お招きくださりありがとう存じます」
本日もお美しいですね我が国のオウジサマは。……それにしてもここに呼んだということは表に出せないお話ってことか。今回の騒動は奇妙な点が多すぎるし王室としても慎重になっているのかな。ゲームでも全容どころか氷山の一角すら明かされていなかった事件だ。俺自身の平穏のためにも情報はほしいところだけど……さて、どこまで教えてくれるやら。
「では早速報告を。アウル公子とシュヴァリエ公子が宿のほうを片してくれている間に密会場所を騎士たちで取り囲みました。主要と思われる人間数名はなんとか取り押さえられましたがその際に……」
おや? エヴェイユのこの反応……ああ、ここはゲーム通りだったんだ。つまりこの章一番の胸糞展開が繰り広げられたということ。
「捕らえた者以外は騎士たちの目の前で奇声を上げながら体が一部砂になったようでして……魔塔主にこの現象をお伺いしたところ土魔法となんらかの無属性が合わさった魔法とのことでしたが、身に着けていたものまで砂になってしまい結局手掛かりはほとんどなくなってしまいました」
「捕らえられた者たちは無事だったのですか?」
「状況を見た騎士がすぐさま私に即達を飛ばし、私が魔塔主に緊急依頼を出しました。彼の対応によってどうにか肉体すべてが砂になるのは防げたようです。こう言ってはなんですが体が砂になったことで気が動転したようでその後の確保は楽に行えたそうです。しかし正気に戻り口を利けるようになるまでは少々時間がかかるでしょう。念のため彼らは魔塔主の監視下に置かれることになりました」
「……背後勢力はよほどこちらに情報が渡るのを危惧しているらしいな。大分むごいことをする」
アウルが嫌悪を隠さず吐き捨てるように言う。それには俺も同感だ。ここまでくるとあの使用人の死に方はまだましだと感じてしまうのだから相当性質が悪い。それにここまで複雑な魔法……背後勢力は魔法もそうだが経済力も馬鹿にならんぞ。
「このことは父上をはじめとする信の置ける者たちには共有済みです。これほど規模が大きいとなると貴族にも奴らの手の者がいる可能性が高まりましたし、下手に動けばツヴィトークだけの問題では収まらなくなります。ですのでこの件は王室の緊急案件として動くことになりました。よってあなた方にはこれ以降手を引いていただきます」
「……承知しました。……それで、そろそろお呼びしては?」
「……気づいていらしたんですね。入ってきていいですよリヒト」
ガチャリと入ってきたのは風車ことリヒトだった。いや~やっぱり感慨深いわ。
「相変わらずこういう嗅覚は鋭いんですねシュヴァリエ様」
「君も拉致されたも同然だというのに随分と元気そうだ。少しはその減らず口が直っていると思っていたが連中は相当間抜けらしい」
「不本意ですがそれには同意しますよ。貴方のご期待に沿えず申し訳ありません」
……お前実は演技の才能あるだろ。こうしているとリヒトとして違和感ないんだもん。普通に生活していたら気づかねえって。
「やはり無事だったか」
「オルニス公子も気づいていたんですね」
「ああ。君が失踪してから少し疑問に感じていたからな。大方殿下の命令であの使用人に連れ出されたふりをして内情を探っていたんだろ?」
「お二人ともさすがですね」
若干肩をすくめながらも口元は楽しそうに歪められている。何がそんなに面白いんだよお前は。
リヒトが着席してようやく面子が揃い話し合い続行。
「以前より不審な動きをしている使用人が何名かおりましてね。彼らを調査し監視していた時にリヒトが失踪したのですがリヒトのほうから内情を記した魔法の手紙が届いたのです。それ以来不定期ではありますが情報のやり取りを行っておりました」
「あれだけ短期間に情報が入ってくれば内通者の存在を疑うよな」
「おかげで思っていた以上に早く動けましたから」
「不審な動きをしていた使用人たちになにか共通点はありますか?」
「すべてムラサキシキブの町出身の者でした」
「ムラサキシキブっていうと」
「はい。レイメイ国から輸入された花がその名の由来になった地域でこの国の中でも独自の文化が築かれている場所です。それと同時に国内最大の花街がある地域でもあります」
レイメイは黎明……夜明けのことだ。現実世界で日の出を意味する国は日本。レイメイ国は日本をモデルにしている国なんだよ! 統治者を皇尊って呼ぶんだけどこれは現代日本でいう天皇陛下のこと。だけどいくらモデルにしているとはいえそのままは不敬だし問題になるから字を変えてゲーム内でもめちゃくちゃ丁寧に扱っているんだよ。尊と命があって『尊』にしたのは日本書紀の『至りて貴きをば尊と曰ふ。他命をば命と曰ふ。』から取っているらしい。服装はなんと着物! 都は平安時代の京都そのまんまなんだって! レイメイ国の重要地域と都を守護する位置には安土桃山時代に築城されたような天守がある。日本がモデルということは当然主食は米! 神社も仏閣もあるとかどんだけだよ! こっちでいう騎士は武士で武器は刀! 特に皇族やそれに近しい者たちに仕える武士を侍って呼ぶ。この情報、全部『はなしゅご』の公式資料集に載ってました! 運営グッジョブ!!!!!
現代だと武士も侍も同じって考えている人いるけど実は違うんだって。わかりやすく言うと武士は騎士で侍は近衛騎士。もっと言うと平安時代の侍は武芸をもって生計を立てる男性である武士の部類ではなく侍従や侍女という貴人の傍仕えという立ち位置だった。時代の変化と共に定義が徐々に変化して現代の認識になったというのが現代日本の武士、侍だという。
めっちゃ行ってみたいっていうかいつか何が何でも行ってやる!
「シュヴァリエ公子大丈夫ですか?」
はっ! 燃え上がって話を聞いていなかった。この中で唯一レイメイ国から何を連想したのか分かったらしいリヒトからはとっても生温い目を頂戴した。なんだよお前だって気になるんだろうが。一瞬目が輝いたの見逃してないからな!
「……失礼しました。それで最大の花街という話題を出したからには不審な動きをしていたという者たちはみなそこの出身ですか?」
「……ええ、その通りです。花街は貴族や豪商は利用する確率の高い場所。ある意味一番上流階級の血が混じりやすい場所とも言えます」
「……殿下が私たちに関わらせないと言った意味が分かりました」
「ふふ、さすがの私も貴族の子息を花街に関わらせるのはどうかと思いましたので」
そりゃそうだ。花街は未成年のお子様が近づいていい場所じゃない。むしろ関われなんて言おうものなら国王陛下に抗議するぞ。
「わかりました。そちらがカモフラージュの可能性もありますからくれぐれもご注意ください」
「ご忠告ありがとうございます。アウル公子もシュヴァリエ公子もリヒトも私たちから指示があるまでは決して動かないでください。特にアウル公子は」
「わかっている」
「言われずともそうしますよ」
「かしこまりました」
話し合いはここで終わった。やはりというかあまり情報はもらえなかった上に踏み込み禁止を言い渡されたか。ゲームでもあったことだし対して期待していなかったから別にいいけど……それよりも問題なのは、さっきから妙に沈んでいる様子のリヒトだ。何かを言いたそうにしては口をつぐみ妙にそわそわしている。
鬱陶しいので何かあるのかと聞こうとしたとき、向こうからものすごい勢いで駆けてくる影があった。
「リヒト~~~!」
まあ、なんというかわかりきったことだよな。リヒトが姿を見せたとなればやってくるよな。人影もといクラルテは涙を流しながら勢いのままリヒトに抱き着いた。
「クラルテ! 心配かけてごめんね」
少々困り顔を作りながらも抱き着いてわんわん泣くクラルテを優しく撫でるリヒト。……こいつ隠れ蓑にちょうどいいとか言ってませんでしたかねぇ? あ~怖い怖い。
「くだらない」
俺があえて吐き捨てるように言い熱い抱擁を交わす二人を置いて歩き出しその後ろに苦笑しながらアウルが続く。リヒトの横を過ぎたとき。
——今日の夜に同じ場所に来てくれ。話がある。
少しばかり低い声でそう言ったリヒトに俺は自分の小指をリヒトの小指に当てることで返事をした。
「よく来てくださいましたシュヴァリエ公子」
「……お招きくださりありがとう存じます」
本日もお美しいですね我が国のオウジサマは。……それにしてもここに呼んだということは表に出せないお話ってことか。今回の騒動は奇妙な点が多すぎるし王室としても慎重になっているのかな。ゲームでも全容どころか氷山の一角すら明かされていなかった事件だ。俺自身の平穏のためにも情報はほしいところだけど……さて、どこまで教えてくれるやら。
「では早速報告を。アウル公子とシュヴァリエ公子が宿のほうを片してくれている間に密会場所を騎士たちで取り囲みました。主要と思われる人間数名はなんとか取り押さえられましたがその際に……」
おや? エヴェイユのこの反応……ああ、ここはゲーム通りだったんだ。つまりこの章一番の胸糞展開が繰り広げられたということ。
「捕らえた者以外は騎士たちの目の前で奇声を上げながら体が一部砂になったようでして……魔塔主にこの現象をお伺いしたところ土魔法となんらかの無属性が合わさった魔法とのことでしたが、身に着けていたものまで砂になってしまい結局手掛かりはほとんどなくなってしまいました」
「捕らえられた者たちは無事だったのですか?」
「状況を見た騎士がすぐさま私に即達を飛ばし、私が魔塔主に緊急依頼を出しました。彼の対応によってどうにか肉体すべてが砂になるのは防げたようです。こう言ってはなんですが体が砂になったことで気が動転したようでその後の確保は楽に行えたそうです。しかし正気に戻り口を利けるようになるまでは少々時間がかかるでしょう。念のため彼らは魔塔主の監視下に置かれることになりました」
「……背後勢力はよほどこちらに情報が渡るのを危惧しているらしいな。大分むごいことをする」
アウルが嫌悪を隠さず吐き捨てるように言う。それには俺も同感だ。ここまでくるとあの使用人の死に方はまだましだと感じてしまうのだから相当性質が悪い。それにここまで複雑な魔法……背後勢力は魔法もそうだが経済力も馬鹿にならんぞ。
「このことは父上をはじめとする信の置ける者たちには共有済みです。これほど規模が大きいとなると貴族にも奴らの手の者がいる可能性が高まりましたし、下手に動けばツヴィトークだけの問題では収まらなくなります。ですのでこの件は王室の緊急案件として動くことになりました。よってあなた方にはこれ以降手を引いていただきます」
「……承知しました。……それで、そろそろお呼びしては?」
「……気づいていらしたんですね。入ってきていいですよリヒト」
ガチャリと入ってきたのは風車ことリヒトだった。いや~やっぱり感慨深いわ。
「相変わらずこういう嗅覚は鋭いんですねシュヴァリエ様」
「君も拉致されたも同然だというのに随分と元気そうだ。少しはその減らず口が直っていると思っていたが連中は相当間抜けらしい」
「不本意ですがそれには同意しますよ。貴方のご期待に沿えず申し訳ありません」
……お前実は演技の才能あるだろ。こうしているとリヒトとして違和感ないんだもん。普通に生活していたら気づかねえって。
「やはり無事だったか」
「オルニス公子も気づいていたんですね」
「ああ。君が失踪してから少し疑問に感じていたからな。大方殿下の命令であの使用人に連れ出されたふりをして内情を探っていたんだろ?」
「お二人ともさすがですね」
若干肩をすくめながらも口元は楽しそうに歪められている。何がそんなに面白いんだよお前は。
リヒトが着席してようやく面子が揃い話し合い続行。
「以前より不審な動きをしている使用人が何名かおりましてね。彼らを調査し監視していた時にリヒトが失踪したのですがリヒトのほうから内情を記した魔法の手紙が届いたのです。それ以来不定期ではありますが情報のやり取りを行っておりました」
「あれだけ短期間に情報が入ってくれば内通者の存在を疑うよな」
「おかげで思っていた以上に早く動けましたから」
「不審な動きをしていた使用人たちになにか共通点はありますか?」
「すべてムラサキシキブの町出身の者でした」
「ムラサキシキブっていうと」
「はい。レイメイ国から輸入された花がその名の由来になった地域でこの国の中でも独自の文化が築かれている場所です。それと同時に国内最大の花街がある地域でもあります」
レイメイは黎明……夜明けのことだ。現実世界で日の出を意味する国は日本。レイメイ国は日本をモデルにしている国なんだよ! 統治者を皇尊って呼ぶんだけどこれは現代日本でいう天皇陛下のこと。だけどいくらモデルにしているとはいえそのままは不敬だし問題になるから字を変えてゲーム内でもめちゃくちゃ丁寧に扱っているんだよ。尊と命があって『尊』にしたのは日本書紀の『至りて貴きをば尊と曰ふ。他命をば命と曰ふ。』から取っているらしい。服装はなんと着物! 都は平安時代の京都そのまんまなんだって! レイメイ国の重要地域と都を守護する位置には安土桃山時代に築城されたような天守がある。日本がモデルということは当然主食は米! 神社も仏閣もあるとかどんだけだよ! こっちでいう騎士は武士で武器は刀! 特に皇族やそれに近しい者たちに仕える武士を侍って呼ぶ。この情報、全部『はなしゅご』の公式資料集に載ってました! 運営グッジョブ!!!!!
現代だと武士も侍も同じって考えている人いるけど実は違うんだって。わかりやすく言うと武士は騎士で侍は近衛騎士。もっと言うと平安時代の侍は武芸をもって生計を立てる男性である武士の部類ではなく侍従や侍女という貴人の傍仕えという立ち位置だった。時代の変化と共に定義が徐々に変化して現代の認識になったというのが現代日本の武士、侍だという。
めっちゃ行ってみたいっていうかいつか何が何でも行ってやる!
「シュヴァリエ公子大丈夫ですか?」
はっ! 燃え上がって話を聞いていなかった。この中で唯一レイメイ国から何を連想したのか分かったらしいリヒトからはとっても生温い目を頂戴した。なんだよお前だって気になるんだろうが。一瞬目が輝いたの見逃してないからな!
「……失礼しました。それで最大の花街という話題を出したからには不審な動きをしていたという者たちはみなそこの出身ですか?」
「……ええ、その通りです。花街は貴族や豪商は利用する確率の高い場所。ある意味一番上流階級の血が混じりやすい場所とも言えます」
「……殿下が私たちに関わらせないと言った意味が分かりました」
「ふふ、さすがの私も貴族の子息を花街に関わらせるのはどうかと思いましたので」
そりゃそうだ。花街は未成年のお子様が近づいていい場所じゃない。むしろ関われなんて言おうものなら国王陛下に抗議するぞ。
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「ご忠告ありがとうございます。アウル公子もシュヴァリエ公子もリヒトも私たちから指示があるまでは決して動かないでください。特にアウル公子は」
「わかっている」
「言われずともそうしますよ」
「かしこまりました」
話し合いはここで終わった。やはりというかあまり情報はもらえなかった上に踏み込み禁止を言い渡されたか。ゲームでもあったことだし対して期待していなかったから別にいいけど……それよりも問題なのは、さっきから妙に沈んでいる様子のリヒトだ。何かを言いたそうにしては口をつぐみ妙にそわそわしている。
鬱陶しいので何かあるのかと聞こうとしたとき、向こうからものすごい勢いで駆けてくる影があった。
「リヒト~~~!」
まあ、なんというかわかりきったことだよな。リヒトが姿を見せたとなればやってくるよな。人影もといクラルテは涙を流しながら勢いのままリヒトに抱き着いた。
「クラルテ! 心配かけてごめんね」
少々困り顔を作りながらも抱き着いてわんわん泣くクラルテを優しく撫でるリヒト。……こいつ隠れ蓑にちょうどいいとか言ってませんでしたかねぇ? あ~怖い怖い。
「くだらない」
俺があえて吐き捨てるように言い熱い抱擁を交わす二人を置いて歩き出しその後ろに苦笑しながらアウルが続く。リヒトの横を過ぎたとき。
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―――
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