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七頁 クレマチスの願い
105話 旅路に祝福を
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ほんとあいつは夜に呼び出すのが好きだよな、なんて思いながらやってきたクレマチスの花畑。前回はリヒトのほうが後から来たけれど今回はリヒトがクレマチスの花束を持って花畑の中央に佇んでいた。
「来てくれてありがとな柊」
「いいよ。花束なんか持ってまた企みごとか?」
「ちげーし。いいから来いよ」
風車に言われるままについていった先、花畑の端っこにぽつんとあったのは——お墓だった。墓石に刻まれた名前はメティ……ってことはここは。
「おい、ここって……」
「ああ。メティの墓だよ」
「……お前が女の人の墓参りねえ?」
「あのなぁ……俺にだってそのくらいの甲斐性はあるぞ。それに俺がもう少しうまく立ち回っていたら助けられたかもしれない。ゲームでは一応命は取り留めたはずだし」
「……それは俺も思った。ゲームで死んだ人間が生きているんだから生きている人間が死ぬことも考えられるよな。お前は助けようとしたわけだ」
「お前は違うのか?」
「ストーリーを知っていたんだからさっさと彼女のいる場所に向かっていれば助けられただろう? だけど俺は……動かなかったんだよ」
「いや、俺でも多分動かなかったよ。俺たちはゲームをやっていたから知っていた。だけどこの世界の人間はそうじゃない。……本来なら俺たちのほうがおかしいんだ。だからお前は動かなかったんじゃなくて動けなかったんだよ」
……だから気にすんな、と言われてちょっとうるっときた。そうだよな。ゲームの知識を持っているからと言ってすべてを救えると思うのは傲慢でしかない。
「……メティはさ、昔からちょっと浮いていたんだ。なんというか……不思議ちゃんみたいなところがあって……でも仕事はできたからメイド長の覚えもいい人だったんだよ。性格自体もなんというかかなりさっぱりしていて城勤めの人たちの中でも結構付き合いやすい人でもあって……やっぱ知り合いが死ぬのは気分が悪いな」
こいつがここまで沈むのは珍しいな。俺はゲームの文面でしか知らないしこの世界でも書類とエヴェイユからの話でしかメティを知らないけどリヒトは実際に関わりを持っている。助けたいと思うのは当然だろう。
ゲームではただの舞台装置のための存在でしかなかったがこの世界では当然メティも生きていて……。俺もリヒトも表面上は平和だった日本に生まれた一般市民だ。少なくともこんな風に命が失われていくことは身近ではなかった。
「……なあ、メティが遺したっていう本に挟まれていた花ってなんだったんだ?」
「なんでそんなものが気になるんだよ」
「あの本は俺があげた本だからな」
「……あっそ。というかエヴェイユから聞いてねえの?」
「聞いてはいる。だけど最後のほうにあった花については教えてくれなかったって言われた」
……ああ、あれか。だけどあれは俺の口から伝えてもいいものじゃない。挟まれていた花はクレマチス、その下にあった文字は——
「クレマチスの花言葉は知っているか?」
「……旅人の喜び、精神の美、美しい心、安全、高潔、清廉な心、企み、策略……後なんかあったっけ?」
「……甘い束縛。色ごとの花言葉はないけど色と花言葉を組み合わせて送ったりする。赤やピンクは恋や情熱、青は友情や安全、紫は高貴、白は清廉……っていう感じだな。……で、最後のほうにあったのはクレマチスの花。色は——ピンクだ」
俺の言葉にリヒトは目を見開いた。
彼女は……メティはリヒトに恋をしていた。だけどそんな思いを人前で明かすほどデリカシー欠如していないつもりです。彼女自身も明かすつもりもなかったんだなって思うけど。リヒトは震えながら何かを取り出した。それは刺繍のされたハンカチ。
「それは?」
「メティが誕生日にくれたんだ。彼女と話すことになってから毎年誕生日に贈ってくれた」
「……そっか」
「……あのさ、少し一人にしてくれね?」
「…………わかった」
俺はリヒトから離れ近くを散歩することにした。メティは多分好きな相手を拐すのは辛かったんだろうな。いつから奴らの仲間だった、あるいは利用されていたのかは知らないけどあの本を遺したのは彼女なりの最期の抵抗だったのかもしれない。それに……
「彼女は……かなり狡猾な方だと思うけどな」
リヒトのあげた本に花を挟んであんな言葉を遺すんだから。彼女は自分の死後リヒトがあの本を受け取ることを期待した。あいつが本を開き最後の言葉に気づいたのなら…………リヒトのことだ。きっと忘れないだろう。授業をスマホで盗撮したり、クラルテを平然と利用したりする奴ではあるけど気に入った人間は一度会っただけの人間でも憶えている。彼女はそれを望んだ……というよりは狙ったんじゃないか? 交流のあった女が死んで昔馴染みのリヒトに託す。そしてその女が実は自分を好いていた、なんて知れば忘れたくても忘れられないんじゃないか。そう考えた上でのものだとしたら…………なんて、ただの妄想だけど。
少し歩いていくと妙に開けた場所に出た。こんなところがあったなんてな。……しかもクレマチスの花が咲き誇り空に浮かぶ満月が湖に映り揺れている。
「こういうの月への階段って言うんだっけ。初めて見たな」
誰が最初に言い出したか知らないけどほんとにその通りだな。
♪廻れ 廻れ 命よ廻れ
芽出づれば実と成りて
雛産まれば玉と成る
実と成り玉成り 天還れば また廻る
生まれ出づれば 天還り
天還たらば またおいで♪
♪廻れ 廻れ 御魂よ廻れ
赤子生まれば大人成りて
若い過ぎれば老いと成る
大人成り老い成り 天還れば また廻る
生まれ出づれば 天還り
天還たらば またおいで♪
♪天から降りたる万物よ
地に誇るるお御魂よ
廻れ 廻れ 廻れ
天降り天還りまたおいで
天還り天降りまたおいで♪
「なんだそれ」
振り返るとそこには目を若干腫らしたリヒトがいた。少しすっきりした顔をしている。
「兄貴が深夜テンションで作った唄だよ」
「お前の兄貴って作詞作曲までするのか?」
「時々な」
「へえ……」
その時、風が吹いてクレマチスの花びらが月の映る湖の上を舞う。
「なあ、お前知っているか? 月の都の話」
「なんだそりゃ」
「月の都は死者の国って言われている。だから今頃メティは向こうで遊んでいるかもな」
「……うわ、お前がそんなロマンチストみたいなこと言うとは……鳥肌立ってきた」
「うっせ。だけど、クレマチスの花言葉は『旅人の喜び』だって言っただろ」
「……ロマンチスト度が増した」
「安心しろ、二度と言わねえ」
♦♦♦♦♦♦♦
リヒトと共にこっそり寮へ帰ってきた翌日、俺はアウルに詰め寄られていた。
「昨日、どこへ行っていた?」
「……君には関係ないだろう」
「ほう? なら……君の後ろにある大量のクレマチスの花は一体なんだ?」
…………目を合わせられません。
寮に帰ってくる前に俺は湖の周辺に咲いていたクレマチスを少し失敬させてもらい帰ってきてから今の今まで押し花づくりに夢中になっておりまして、はい。例のごとく徹夜でございます。いいじゃん別に。今日学園休みだし。
「君は少しは程度というものを身に付けろ。今のような生活を続けていたらそのうち体が壊れるぞ」
それは前世の親に耳にたこができるほど言われました。今世でもおなじことをいわれるようになるなんてぇ……。はあ…………せっかく昨日はいい気分だったのにこの落差はなに。
「……はあ。それでこのクレマチスはなんだ?」
「メティという女の墓がある場所の近くにあった湖の周辺に咲いていたものだ」
「……君がそんな場所へ?」
「……たまたまだ」
少し信じられないものを見る目で俺を見つめるアウル。うん、気持ちはとってもわかるよ。シュヴァリエのキャラならいちメイドのために墓参りなんてしないもんね。だからってリヒトに付き合わされた、なんて言ってみろ。軽くパニック起こすぞ。
「……話すつもりはなさそうだな」
「当然だ」
「わかった。これ以上は突っ込まない。ところで……君が先ほど口ずさんでいた歌はなんだ?」
——ああ、無意識に出ちゃってたか。昨日月への階段を包むようにしてクレマチスの花びらが舞っていたあの光景を見て恋する女性が最後の最期に願いが叶ったことを喜んでいたのかもしれないと思ったからかな。
歌のタイトルは兄貴曰く、
「御魂の旅讃歌」
らしいから。
「来てくれてありがとな柊」
「いいよ。花束なんか持ってまた企みごとか?」
「ちげーし。いいから来いよ」
風車に言われるままについていった先、花畑の端っこにぽつんとあったのは——お墓だった。墓石に刻まれた名前はメティ……ってことはここは。
「おい、ここって……」
「ああ。メティの墓だよ」
「……お前が女の人の墓参りねえ?」
「あのなぁ……俺にだってそのくらいの甲斐性はあるぞ。それに俺がもう少しうまく立ち回っていたら助けられたかもしれない。ゲームでは一応命は取り留めたはずだし」
「……それは俺も思った。ゲームで死んだ人間が生きているんだから生きている人間が死ぬことも考えられるよな。お前は助けようとしたわけだ」
「お前は違うのか?」
「ストーリーを知っていたんだからさっさと彼女のいる場所に向かっていれば助けられただろう? だけど俺は……動かなかったんだよ」
「いや、俺でも多分動かなかったよ。俺たちはゲームをやっていたから知っていた。だけどこの世界の人間はそうじゃない。……本来なら俺たちのほうがおかしいんだ。だからお前は動かなかったんじゃなくて動けなかったんだよ」
……だから気にすんな、と言われてちょっとうるっときた。そうだよな。ゲームの知識を持っているからと言ってすべてを救えると思うのは傲慢でしかない。
「……メティはさ、昔からちょっと浮いていたんだ。なんというか……不思議ちゃんみたいなところがあって……でも仕事はできたからメイド長の覚えもいい人だったんだよ。性格自体もなんというかかなりさっぱりしていて城勤めの人たちの中でも結構付き合いやすい人でもあって……やっぱ知り合いが死ぬのは気分が悪いな」
こいつがここまで沈むのは珍しいな。俺はゲームの文面でしか知らないしこの世界でも書類とエヴェイユからの話でしかメティを知らないけどリヒトは実際に関わりを持っている。助けたいと思うのは当然だろう。
ゲームではただの舞台装置のための存在でしかなかったがこの世界では当然メティも生きていて……。俺もリヒトも表面上は平和だった日本に生まれた一般市民だ。少なくともこんな風に命が失われていくことは身近ではなかった。
「……なあ、メティが遺したっていう本に挟まれていた花ってなんだったんだ?」
「なんでそんなものが気になるんだよ」
「あの本は俺があげた本だからな」
「……あっそ。というかエヴェイユから聞いてねえの?」
「聞いてはいる。だけど最後のほうにあった花については教えてくれなかったって言われた」
……ああ、あれか。だけどあれは俺の口から伝えてもいいものじゃない。挟まれていた花はクレマチス、その下にあった文字は——
「クレマチスの花言葉は知っているか?」
「……旅人の喜び、精神の美、美しい心、安全、高潔、清廉な心、企み、策略……後なんかあったっけ?」
「……甘い束縛。色ごとの花言葉はないけど色と花言葉を組み合わせて送ったりする。赤やピンクは恋や情熱、青は友情や安全、紫は高貴、白は清廉……っていう感じだな。……で、最後のほうにあったのはクレマチスの花。色は——ピンクだ」
俺の言葉にリヒトは目を見開いた。
彼女は……メティはリヒトに恋をしていた。だけどそんな思いを人前で明かすほどデリカシー欠如していないつもりです。彼女自身も明かすつもりもなかったんだなって思うけど。リヒトは震えながら何かを取り出した。それは刺繍のされたハンカチ。
「それは?」
「メティが誕生日にくれたんだ。彼女と話すことになってから毎年誕生日に贈ってくれた」
「……そっか」
「……あのさ、少し一人にしてくれね?」
「…………わかった」
俺はリヒトから離れ近くを散歩することにした。メティは多分好きな相手を拐すのは辛かったんだろうな。いつから奴らの仲間だった、あるいは利用されていたのかは知らないけどあの本を遺したのは彼女なりの最期の抵抗だったのかもしれない。それに……
「彼女は……かなり狡猾な方だと思うけどな」
リヒトのあげた本に花を挟んであんな言葉を遺すんだから。彼女は自分の死後リヒトがあの本を受け取ることを期待した。あいつが本を開き最後の言葉に気づいたのなら…………リヒトのことだ。きっと忘れないだろう。授業をスマホで盗撮したり、クラルテを平然と利用したりする奴ではあるけど気に入った人間は一度会っただけの人間でも憶えている。彼女はそれを望んだ……というよりは狙ったんじゃないか? 交流のあった女が死んで昔馴染みのリヒトに託す。そしてその女が実は自分を好いていた、なんて知れば忘れたくても忘れられないんじゃないか。そう考えた上でのものだとしたら…………なんて、ただの妄想だけど。
少し歩いていくと妙に開けた場所に出た。こんなところがあったなんてな。……しかもクレマチスの花が咲き誇り空に浮かぶ満月が湖に映り揺れている。
「こういうの月への階段って言うんだっけ。初めて見たな」
誰が最初に言い出したか知らないけどほんとにその通りだな。
♪廻れ 廻れ 命よ廻れ
芽出づれば実と成りて
雛産まれば玉と成る
実と成り玉成り 天還れば また廻る
生まれ出づれば 天還り
天還たらば またおいで♪
♪廻れ 廻れ 御魂よ廻れ
赤子生まれば大人成りて
若い過ぎれば老いと成る
大人成り老い成り 天還れば また廻る
生まれ出づれば 天還り
天還たらば またおいで♪
♪天から降りたる万物よ
地に誇るるお御魂よ
廻れ 廻れ 廻れ
天降り天還りまたおいで
天還り天降りまたおいで♪
「なんだそれ」
振り返るとそこには目を若干腫らしたリヒトがいた。少しすっきりした顔をしている。
「兄貴が深夜テンションで作った唄だよ」
「お前の兄貴って作詞作曲までするのか?」
「時々な」
「へえ……」
その時、風が吹いてクレマチスの花びらが月の映る湖の上を舞う。
「なあ、お前知っているか? 月の都の話」
「なんだそりゃ」
「月の都は死者の国って言われている。だから今頃メティは向こうで遊んでいるかもな」
「……うわ、お前がそんなロマンチストみたいなこと言うとは……鳥肌立ってきた」
「うっせ。だけど、クレマチスの花言葉は『旅人の喜び』だって言っただろ」
「……ロマンチスト度が増した」
「安心しろ、二度と言わねえ」
♦♦♦♦♦♦♦
リヒトと共にこっそり寮へ帰ってきた翌日、俺はアウルに詰め寄られていた。
「昨日、どこへ行っていた?」
「……君には関係ないだろう」
「ほう? なら……君の後ろにある大量のクレマチスの花は一体なんだ?」
…………目を合わせられません。
寮に帰ってくる前に俺は湖の周辺に咲いていたクレマチスを少し失敬させてもらい帰ってきてから今の今まで押し花づくりに夢中になっておりまして、はい。例のごとく徹夜でございます。いいじゃん別に。今日学園休みだし。
「君は少しは程度というものを身に付けろ。今のような生活を続けていたらそのうち体が壊れるぞ」
それは前世の親に耳にたこができるほど言われました。今世でもおなじことをいわれるようになるなんてぇ……。はあ…………せっかく昨日はいい気分だったのにこの落差はなに。
「……はあ。それでこのクレマチスはなんだ?」
「メティという女の墓がある場所の近くにあった湖の周辺に咲いていたものだ」
「……君がそんな場所へ?」
「……たまたまだ」
少し信じられないものを見る目で俺を見つめるアウル。うん、気持ちはとってもわかるよ。シュヴァリエのキャラならいちメイドのために墓参りなんてしないもんね。だからってリヒトに付き合わされた、なんて言ってみろ。軽くパニック起こすぞ。
「……話すつもりはなさそうだな」
「当然だ」
「わかった。これ以上は突っ込まない。ところで……君が先ほど口ずさんでいた歌はなんだ?」
——ああ、無意識に出ちゃってたか。昨日月への階段を包むようにしてクレマチスの花びらが舞っていたあの光景を見て恋する女性が最後の最期に願いが叶ったことを喜んでいたのかもしれないと思ったからかな。
歌のタイトルは兄貴曰く、
「御魂の旅讃歌」
らしいから。
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