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第2章 25番目の花嫁
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馬車の揺れが、ようやく落ち着いてきました。
深い森を抜ける細い街道を進むたびに、両脇の樹々がさらさらと葉を鳴らします。
それが、これから向かう公爵領へと続く“境界線”のように感じられて、私は無意識に身をすくめました。
窓から覗く外の景色は、いつもの王都とはまるで違います。
色鮮やかな市場の通りも、香水の匂いのする貴婦人たちの笑い声もありません。ただ、冷たい風の音と、白い空だけ。それなのに、なぜか不思議と心が落ち着くのです。
「……地味な風景、なんて言われたら、ちょっとだけ仲間ができた気がしますね」
自嘲気味につぶやくと、馬車の向かいに座る初老の男性が小さく肩を揺らしました。
「お嬢様、こんな道中で冗談ですか。まったく度胸のある方だ」
グレゴールと名乗ったその執事は、公爵家からわざわざ迎えに来てくれた人です。
歳は五十代後半でしょうか。低い声ですが、ひそかに優しさが滲んでいます。
「冗談でないと、怖くて仕方ないですもの」
「怖い、ですか?」
「ええ。だって、24人の花嫁候補を断った“氷の公爵”ですよ? 次は私で――25番目、です」
思わず笑ってしまいましたが、その笑いは緊張に震えていました。
それでも不思議と、涙はこぼれません。あの日、王都を出るときにもう全部流してしまったからかもしれません。
◇ ◇ ◇
出立の朝のことを思い出しました。
門前に並ぶ使用人たちと家族の姿――母は冷たく「恥をかかせるのではないわね」と釘を刺し、妹のセリーヌは艶やかな笑みを浮かべて手を振りました。
「お姉様、どうかお気をつけて。公爵様は、氷のようにお冷たい方ですわ」
――知っています。あなたたちはもっと冷たいもの。
胸の奥でそうつぶやいても、口には出しませんでした。ただ静かに会釈をして、馬車へ乗り込みました。
それが、エインズワース家の娘としての最後の背中になりました。
◇ ◇ ◇
「……ふむ。25という数字か」
不意にグレゴールがつぶやきました。
「え?」
「いやね、公爵様は縁起の悪い数字がお好きでない。25人目とは、少し気の毒ですな」
「あら、そうなんですか? 私、むしろ嬉しいですよ」
「……嬉しい?」
「ええ。“これで最後にする”って、きっとそう言ってくださる気がして」
グレゴールは一瞬ぽかんと口を開けてから、ぷっと吹き出しました。
「お嬢様、あなたはずいぶん変わったお方だ」
「地味で、変わってるってよく言われますから」
その返しに、彼は「なるほど」と笑いながら帽子のつばを下げました。
沈黙が続いたあと、私は小さくつぶやきます。
「……でも、こうして知らない地に向かうのも、悪くありませんね。王都では息が詰まりそうでしたから」
「そこまでお家で……?」
「ええ。妹が輝いていた分、私の影は濃かっただけです」
そう言うと、グレゴールの表情が少し曇りました。
けれど私は、笑いながら首を振ります。
「でも、知ってますか? 影は光があるからできるんです。妹が光なら、私は影でいいんです」
「……お嬢様」
「ただ、影でもいいから――誰かの役に立てるなら」
その言葉に、グレゴールは黙って頷きました。
そしてその沈黙の中、馬車は山を越え、やがて雪の残る谷を抜けていきました。
◇ ◇ ◇
「到着いたしました」
馬車が止まり、扉が開くと、冷たい風が頬を打ちました。
目の前にそびえる灰白の城――雪に溶け込むその姿はまさしく「氷の城」と呼ぶにふさわしい荘厳さでした。
「すごい……でも、ちょっと怖いかも」
広い石畳の門をくぐると、私の前にずらりと並ぶ使用人たち。
皆無表情で、一糸乱れぬ挨拶をするその光景に、思わず背筋が伸びました。
「ヴァレンティーヌ公爵がお待ちです。どうぞ、こちらに」
侍女長らしき年配の女性の案内を受けて、大広間の扉が開かれます。
半透明の氷柱のようなシャンデリアが吊るされたその空間の奥――静寂を切り裂くように、彼が立っていました。
「……あなたが、25番目の花嫁か」
低く、氷の音を含んだ声。
その瞬間、胸の奥がきゅっと締めつけられました。
黒衣の長身。鋭い美しい横顔。
彼の瞳は冷たい湖のように透きとおり、まるで私の隠しているすべてを見透かしているかのようです。
「リリアーナ・エインズワースと申します。お招きに感謝いたします、公爵様」
「感謝はいらん。これは“契約婚”だ」
「契約……?」
「互いに干渉せず、各々が領地の責務を果たす。それが条件だ」
まるで商談のような調子に、思わず口をつぐみました。
けれど次の言葉が、なぜか心に刺さります。
「お前との婚姻を最後にするつもりだ。これで終わりだ」
「最後、ですか」
「そうだ。25回も繰り返せば、さすがに学ぶ」
皮肉めいたその声に隠された疲労を、私は感じ取りました。
彼もまた、何かを耐えているのだ――ふと、そんな直感が胸をよぎります。
「……分かりました。契約、ですね。約束は大切にします」
「勝手にすればいい」
冷たい声音のまま、彼は背を向けて階段を上がっていきました。
その後ろ姿が、妙に寂しげに見えたのは気のせいでしょうか。
◇ ◇ ◇
案内された部屋は、広くて静かで……そして、驚くほど寒かったです。
「これは……あの、暖炉は?」
「公爵様のご指示で滅多に火を入れませんの。お嬢様、寒さにはお気をつけて」
侍女メアという少女が心配そうに毛布を差し出しました。赤毛の巻き毛が可愛らしい、快活な子です。
「ここの皆さんは、あの方の冷たさに慣れているの?」
「うーん……慣れてるというか、あきらめてるというか」
「そう……」
「でも! お嬢様は違いますねっ! お声が柔らかくて、お顔も穏やかで、なんだか“あったかい”!」
「それは光栄……ですけど、寒さ対策にはなりませんね」
二人で思わず笑ってしまいました。
その瞬間、部屋の空気がほんの少しだけ和らぎます。
◇ ◇ ◇
夜。窓の外では雪が静かに降り始めていました。
私は机の上に並べた薬草標本をひとつひとつ並べ直し、芳香のする乾き葉を指先で撫でます。
「こんな土地にも、ちゃんと草たちが息づいている……」
言葉に出してみると、胸がじんわりと温かくなりました。
見知らぬ土地でも、誰かを癒す力はきっとある。私にも、それを探していける。
そのとき、不意に扉が軋みました。
振り向くと、そこにいたのは――アレクシス・ヴァレンティーヌ公爵。
「……何をしている」
「し、失礼しました、公爵様。薬草の整理をしていて……」
「そんな深夜にか?」
「はい。落ち着くので」
彼は無言で部屋へ一歩踏み入れました。その影が、暖炉のない部屋の床を静かに覆っていきます。
「妙な女だな。普通の花嫁なら、寒いと泣き喚くところだ」
「私は……慣れています。氷より冷たい婚約破棄も経験しましたから」
言ってから、あっ、と口を押さえました。けれど公爵は眉ひとつ動かさず――その唇がほんの一瞬、わずかに緩んだ気がしました。
「……そうか。ならば勝手に凍っていろ」
そう言って踵を返し、出ていこうとしましたが――
その時、机の上の小瓶がカランと音を立て、落ちそうになりました。
「危ないっ!」
思わず手を伸ばした私の手を、先に掴んだのは公爵の手でした。
大きくて、意外にも温かい掌。
指先が触れた瞬間、胸の奥に小さな火花が散ります。
「……っ、ありがとうございます」
少し息が乱れて、私は慌てて手を引きました。
しかしその手に、彼の指の熱が、いつまでも残っていました。
「油断するな。薬草ばかり見ていると、足元を見失うぞ」
「はい……気をつけます、公爵様」
彼の背が扉の向こうに消えたあと、私はそっと頬に触れました。
ほんの少し、熱い気がします。寒い部屋のせい、ではないはずです。
「……25番目でも、いいのかもしれませんね」
勇気を出して口にした小さな独り言が、ほの白くほどけて消えていきました。
深い森を抜ける細い街道を進むたびに、両脇の樹々がさらさらと葉を鳴らします。
それが、これから向かう公爵領へと続く“境界線”のように感じられて、私は無意識に身をすくめました。
窓から覗く外の景色は、いつもの王都とはまるで違います。
色鮮やかな市場の通りも、香水の匂いのする貴婦人たちの笑い声もありません。ただ、冷たい風の音と、白い空だけ。それなのに、なぜか不思議と心が落ち着くのです。
「……地味な風景、なんて言われたら、ちょっとだけ仲間ができた気がしますね」
自嘲気味につぶやくと、馬車の向かいに座る初老の男性が小さく肩を揺らしました。
「お嬢様、こんな道中で冗談ですか。まったく度胸のある方だ」
グレゴールと名乗ったその執事は、公爵家からわざわざ迎えに来てくれた人です。
歳は五十代後半でしょうか。低い声ですが、ひそかに優しさが滲んでいます。
「冗談でないと、怖くて仕方ないですもの」
「怖い、ですか?」
「ええ。だって、24人の花嫁候補を断った“氷の公爵”ですよ? 次は私で――25番目、です」
思わず笑ってしまいましたが、その笑いは緊張に震えていました。
それでも不思議と、涙はこぼれません。あの日、王都を出るときにもう全部流してしまったからかもしれません。
◇ ◇ ◇
出立の朝のことを思い出しました。
門前に並ぶ使用人たちと家族の姿――母は冷たく「恥をかかせるのではないわね」と釘を刺し、妹のセリーヌは艶やかな笑みを浮かべて手を振りました。
「お姉様、どうかお気をつけて。公爵様は、氷のようにお冷たい方ですわ」
――知っています。あなたたちはもっと冷たいもの。
胸の奥でそうつぶやいても、口には出しませんでした。ただ静かに会釈をして、馬車へ乗り込みました。
それが、エインズワース家の娘としての最後の背中になりました。
◇ ◇ ◇
「……ふむ。25という数字か」
不意にグレゴールがつぶやきました。
「え?」
「いやね、公爵様は縁起の悪い数字がお好きでない。25人目とは、少し気の毒ですな」
「あら、そうなんですか? 私、むしろ嬉しいですよ」
「……嬉しい?」
「ええ。“これで最後にする”って、きっとそう言ってくださる気がして」
グレゴールは一瞬ぽかんと口を開けてから、ぷっと吹き出しました。
「お嬢様、あなたはずいぶん変わったお方だ」
「地味で、変わってるってよく言われますから」
その返しに、彼は「なるほど」と笑いながら帽子のつばを下げました。
沈黙が続いたあと、私は小さくつぶやきます。
「……でも、こうして知らない地に向かうのも、悪くありませんね。王都では息が詰まりそうでしたから」
「そこまでお家で……?」
「ええ。妹が輝いていた分、私の影は濃かっただけです」
そう言うと、グレゴールの表情が少し曇りました。
けれど私は、笑いながら首を振ります。
「でも、知ってますか? 影は光があるからできるんです。妹が光なら、私は影でいいんです」
「……お嬢様」
「ただ、影でもいいから――誰かの役に立てるなら」
その言葉に、グレゴールは黙って頷きました。
そしてその沈黙の中、馬車は山を越え、やがて雪の残る谷を抜けていきました。
◇ ◇ ◇
「到着いたしました」
馬車が止まり、扉が開くと、冷たい風が頬を打ちました。
目の前にそびえる灰白の城――雪に溶け込むその姿はまさしく「氷の城」と呼ぶにふさわしい荘厳さでした。
「すごい……でも、ちょっと怖いかも」
広い石畳の門をくぐると、私の前にずらりと並ぶ使用人たち。
皆無表情で、一糸乱れぬ挨拶をするその光景に、思わず背筋が伸びました。
「ヴァレンティーヌ公爵がお待ちです。どうぞ、こちらに」
侍女長らしき年配の女性の案内を受けて、大広間の扉が開かれます。
半透明の氷柱のようなシャンデリアが吊るされたその空間の奥――静寂を切り裂くように、彼が立っていました。
「……あなたが、25番目の花嫁か」
低く、氷の音を含んだ声。
その瞬間、胸の奥がきゅっと締めつけられました。
黒衣の長身。鋭い美しい横顔。
彼の瞳は冷たい湖のように透きとおり、まるで私の隠しているすべてを見透かしているかのようです。
「リリアーナ・エインズワースと申します。お招きに感謝いたします、公爵様」
「感謝はいらん。これは“契約婚”だ」
「契約……?」
「互いに干渉せず、各々が領地の責務を果たす。それが条件だ」
まるで商談のような調子に、思わず口をつぐみました。
けれど次の言葉が、なぜか心に刺さります。
「お前との婚姻を最後にするつもりだ。これで終わりだ」
「最後、ですか」
「そうだ。25回も繰り返せば、さすがに学ぶ」
皮肉めいたその声に隠された疲労を、私は感じ取りました。
彼もまた、何かを耐えているのだ――ふと、そんな直感が胸をよぎります。
「……分かりました。契約、ですね。約束は大切にします」
「勝手にすればいい」
冷たい声音のまま、彼は背を向けて階段を上がっていきました。
その後ろ姿が、妙に寂しげに見えたのは気のせいでしょうか。
◇ ◇ ◇
案内された部屋は、広くて静かで……そして、驚くほど寒かったです。
「これは……あの、暖炉は?」
「公爵様のご指示で滅多に火を入れませんの。お嬢様、寒さにはお気をつけて」
侍女メアという少女が心配そうに毛布を差し出しました。赤毛の巻き毛が可愛らしい、快活な子です。
「ここの皆さんは、あの方の冷たさに慣れているの?」
「うーん……慣れてるというか、あきらめてるというか」
「そう……」
「でも! お嬢様は違いますねっ! お声が柔らかくて、お顔も穏やかで、なんだか“あったかい”!」
「それは光栄……ですけど、寒さ対策にはなりませんね」
二人で思わず笑ってしまいました。
その瞬間、部屋の空気がほんの少しだけ和らぎます。
◇ ◇ ◇
夜。窓の外では雪が静かに降り始めていました。
私は机の上に並べた薬草標本をひとつひとつ並べ直し、芳香のする乾き葉を指先で撫でます。
「こんな土地にも、ちゃんと草たちが息づいている……」
言葉に出してみると、胸がじんわりと温かくなりました。
見知らぬ土地でも、誰かを癒す力はきっとある。私にも、それを探していける。
そのとき、不意に扉が軋みました。
振り向くと、そこにいたのは――アレクシス・ヴァレンティーヌ公爵。
「……何をしている」
「し、失礼しました、公爵様。薬草の整理をしていて……」
「そんな深夜にか?」
「はい。落ち着くので」
彼は無言で部屋へ一歩踏み入れました。その影が、暖炉のない部屋の床を静かに覆っていきます。
「妙な女だな。普通の花嫁なら、寒いと泣き喚くところだ」
「私は……慣れています。氷より冷たい婚約破棄も経験しましたから」
言ってから、あっ、と口を押さえました。けれど公爵は眉ひとつ動かさず――その唇がほんの一瞬、わずかに緩んだ気がしました。
「……そうか。ならば勝手に凍っていろ」
そう言って踵を返し、出ていこうとしましたが――
その時、机の上の小瓶がカランと音を立て、落ちそうになりました。
「危ないっ!」
思わず手を伸ばした私の手を、先に掴んだのは公爵の手でした。
大きくて、意外にも温かい掌。
指先が触れた瞬間、胸の奥に小さな火花が散ります。
「……っ、ありがとうございます」
少し息が乱れて、私は慌てて手を引きました。
しかしその手に、彼の指の熱が、いつまでも残っていました。
「油断するな。薬草ばかり見ていると、足元を見失うぞ」
「はい……気をつけます、公爵様」
彼の背が扉の向こうに消えたあと、私はそっと頬に触れました。
ほんの少し、熱い気がします。寒い部屋のせい、ではないはずです。
「……25番目でも、いいのかもしれませんね」
勇気を出して口にした小さな独り言が、ほの白くほどけて消えていきました。
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