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第6章 薬草園の灯
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春の風というのは、本当に不思議です。
昨日まで凍っていた土も、今朝にはすっかりほぐれて――まるで心まで解けてしまいそうなほどにぬくもりをくれるのです。
「……よし、これで大丈夫」
わたしは膝丈のスカートをそっと押さえ、苗の間に水を引きました。
小さな芽が陽に照らされて、ぱっと光る。どの子も愛しくて、このまま話しかけたくなるくらいです。
「リリア様、また土に座っておられます! そんな格好で泥まみれになったら──」
怒ったような声。案の定、背後には侍女のメアの姿がありました。
真っ赤な頬で両手を腰に当てています。
「ごめんなさい、でもこの場所、日当たりが良くて……。根が呼吸しやすいのですよ」
「根が呼吸……? お、お嬢様は本当に……ああもう、公爵様が見たら卒倒されます!」
思わず笑ってしまいました。
──卒倒、ですか。あの冷静沈着な公爵様が?
「たぶん大丈夫です。アレクシス様は、わたしのことなど……あまり気にもされていませんから」
自然と声が弱まります。契約だけの夫婦ですもの。情があってはならない立場。
……けれど、それでも少し、寂しいと思ってしまうのです。
「ほら、土が呼吸してるって言うなら、リリア様も一緒に休まないと酸欠になりますよ!」
そんな無茶苦茶な理屈を言って笑わせてくるメアに、わたしは噴き出してしまいました。
春の風が吹き、花の香りが混じって広がっていきます。
薬草園の空気はきっと、少しだけ甘いと思うのです。
──だけど、そのときでした。
「何をしている」
背筋がぴん、と伸びました。
ゆっくり振り向くと、少し離れた場所にアレクシス様が立っていらっしゃいました。
濡れた黒髪に陽の光が反射して、氷のような銀色の光を散らしています。
「ご覧のとおり、……薬草園の整備を」
「わかっている。だが、泥まみれの公爵夫人など聞いたことがない」
「草たちが喜ぶなら、それでも構いません」
あ、少し尖った言い方だったかもしれません。
でも、アレクシス様は眉を寄せながらも、すぐには何も言われませんでした。
「……草が喜ぶ、か」
ひそやかに繰り返す声に、どこか柔らかい響きがありました。
わたしがそっと立ち上がろうとしたとき、足首に何か冷たいものが巻きつきました。つる草です。
「わっ──」
とっさに声が漏れた瞬間、金属のように硬い腕がわたしの身体を受け止めていました。
「……まったく、世話の焼ける花嫁だな」
耳元で低く、ため息のような声。
目を上げると、至近距離に公爵様の整った顔が――近い。近すぎます!
「す、すみません! 草に……!」
「言い訳は結構だ」
そういいながらも、アレクシス様の手はまだ離れません。
冷たいと思っていたその手は、驚くほど温かくて。
しばらくそのままの姿勢でいたせいでしょう。
心臓の音がやけに大きく響いて、彼に聞こえてしまうのではないかと不安になるほどでした。
「……もう大丈夫です。ありがとうございます」
やっとの思いで離れると、公爵様は一歩だけ距離を取って、不自然なほどゆっくり咳払いをされました。
「次から気をつけろ。草よりお前の方が折れそうだ」
ふっと耳が熱くなり、答えられませんでした。
それからの日々、薬草園にはいつも人の笑い声が絶えなくなりました。
病から回復した村の子どもたちが遊びに来て、花を摘み、瓶に詰めて持ち帰る。
メアは大忙しですし、執事のグレゴールさんは「庭は遊び場ではない」とぼやいていましたが、どこか嬉しそうに目尻を下げていました。
ある日、庭で子どもたちと遊んでいると、背後から視線を感じます。
振り返れば、テラスの上にアレクシス様が立っていらっしゃいました。
その瞳が、静かにこちらを見つめている。
まるで、ずっと前から見守っていたかのように。
──そして、彼が微かに笑ったように見えたんです。
わたしはその場から動けなくなりました。
胸がどきどきする。
どうしてでしょう、何でもない笑みなのに、涙が出そうなくらい嬉しいのです。
夜。月が高くのぼったころ。
わたしは書斎の机に向かって、昼に摘んだ薬草の整理をしていました。
香りの強い葉を刻むたびに、指先まで草の匂いが染み込んでいくようです。
「……ふう、これで今日は終わり……」
疲れでまぶたが重くなる。けれど、まだ火を消すには惜しくて灯りを見つめていると、コン、と静かなノックが響きました。
「リリアーナ、まだ起きているか」
この屋敷で、わたしの名を呼ぶその声を知っているのは、ただ一人。
「……アレクシス様?」
扉を開けると、予想どおり彼が立っていました。
松明の光が横顔を照らし、優しい影を落としています。
「……香りが外まで漂っていた。寝る前に少し、気になってな」
「香り……あ、すみません、強すぎましたか?」
「いや、嫌な匂いではない」
短く答えたあと、彼は少し逡巡し――机の上に、一つの包みを置かれました。
「これをやる」
包みの中から出てきたのは、手のひらほどの木製のランプでした。
わずかに青い炎が灯り、やわらかな光を放っています。
「この灯りは長持ちする。お前の夜更かしには、ちょうど良いだろう」
「ありがとうございます……! 本当にきれい。まるで春の光みたいです」
わたしが嬉しそうにすると、アレクシス様はわずかに顔をそむけて言いました。
「別に……書類仕事を増やされては困るだけだ」
言葉とは裏腹に、その声はどこか照れくさそうで。
――もしかして、心配してくださったのかもしれません。
気づいた瞬間、胸の奥が甘く震えました。
その夜。ベッドのそばに置いたランプの灯りが、ずっと消えずに揺れていました。
春の光のようにやさしく、心まで照らすようで。
夢の中でわたしは、知らず知らずのうちに彼の名前を呼んでいたかもしれません。
翌朝、薬草園に出ると、アレクシス様の姿がありました。
朝露に濡れる花々の間で黒いマントが揺れて――思わず息を飲みます。
普段は城内でしか見かけない方なのに。
「おはようございます、アレクシス様」
「お前の言う“朝の光が育てる薬草”とやらを、見に来た」
くす、と笑ってしまいました。
「まあ、気にしてくださったんですね」
「誤解するな。ただ……見てみたかっただけだ」
言葉を続けようとする彼の目が、一瞬だけわたしを捉え――すぐに花々へ落ちます。
春風が吹き、マントの裾が揺れました。
「……きれいだな」
「え?」
「この景色も……お前も」
今、確かに彼はそう言った。
小さな声だったけれど、はっきりと。
返す言葉を失っているわたしの頬へ、彼の手が伸びました。
指先がそっと触れて、驚くほどやさしい感触が伝わります。
「少し、泥がついている。……まったく、本当に花嫁らしくない」
叱るように言いながら、指でそっと拭い取ってくださる。
なぜか心臓の音が遠くまで響いた気がしました。
その手を離すことも、視線を逸らすこともできない。
しばらくの沈黙のあと、公爵様の低い声が落ち着いた空気を震わせました。
「お前が来てから、屋敷が……少しだけ静かではなくなった」
「静かでは……なく?」
「鳴いている鳥のようだ。悪くない。……ただ、慣れていない」
照れくさそうに視線を外すその仕草が、ひどく幼く見えて――
思わず笑ってしまいました。
「では、わたしはその鳥として、この庭を賑やかにしてみせます」
「ふ。勝手にしろ」
そう言って背を向けた彼の横顔に、陽の光が差し込みました。
冷たい氷が溶けて滴となり、光に溶けていくように――。
春の光を映す薬草園で、わたしは確かに感じました。
“あの氷の公爵”の心が、今ほんの少しだけ、動いたのだと。
その夜、灯りをともしたランプが、いつよりも強く輝いていました。
窓の外には、月明かりに照らされた花々と、静かに見守る彼の影。
光は優しく混ざり合い、静かな夜を照らしていました。
昨日まで凍っていた土も、今朝にはすっかりほぐれて――まるで心まで解けてしまいそうなほどにぬくもりをくれるのです。
「……よし、これで大丈夫」
わたしは膝丈のスカートをそっと押さえ、苗の間に水を引きました。
小さな芽が陽に照らされて、ぱっと光る。どの子も愛しくて、このまま話しかけたくなるくらいです。
「リリア様、また土に座っておられます! そんな格好で泥まみれになったら──」
怒ったような声。案の定、背後には侍女のメアの姿がありました。
真っ赤な頬で両手を腰に当てています。
「ごめんなさい、でもこの場所、日当たりが良くて……。根が呼吸しやすいのですよ」
「根が呼吸……? お、お嬢様は本当に……ああもう、公爵様が見たら卒倒されます!」
思わず笑ってしまいました。
──卒倒、ですか。あの冷静沈着な公爵様が?
「たぶん大丈夫です。アレクシス様は、わたしのことなど……あまり気にもされていませんから」
自然と声が弱まります。契約だけの夫婦ですもの。情があってはならない立場。
……けれど、それでも少し、寂しいと思ってしまうのです。
「ほら、土が呼吸してるって言うなら、リリア様も一緒に休まないと酸欠になりますよ!」
そんな無茶苦茶な理屈を言って笑わせてくるメアに、わたしは噴き出してしまいました。
春の風が吹き、花の香りが混じって広がっていきます。
薬草園の空気はきっと、少しだけ甘いと思うのです。
──だけど、そのときでした。
「何をしている」
背筋がぴん、と伸びました。
ゆっくり振り向くと、少し離れた場所にアレクシス様が立っていらっしゃいました。
濡れた黒髪に陽の光が反射して、氷のような銀色の光を散らしています。
「ご覧のとおり、……薬草園の整備を」
「わかっている。だが、泥まみれの公爵夫人など聞いたことがない」
「草たちが喜ぶなら、それでも構いません」
あ、少し尖った言い方だったかもしれません。
でも、アレクシス様は眉を寄せながらも、すぐには何も言われませんでした。
「……草が喜ぶ、か」
ひそやかに繰り返す声に、どこか柔らかい響きがありました。
わたしがそっと立ち上がろうとしたとき、足首に何か冷たいものが巻きつきました。つる草です。
「わっ──」
とっさに声が漏れた瞬間、金属のように硬い腕がわたしの身体を受け止めていました。
「……まったく、世話の焼ける花嫁だな」
耳元で低く、ため息のような声。
目を上げると、至近距離に公爵様の整った顔が――近い。近すぎます!
「す、すみません! 草に……!」
「言い訳は結構だ」
そういいながらも、アレクシス様の手はまだ離れません。
冷たいと思っていたその手は、驚くほど温かくて。
しばらくそのままの姿勢でいたせいでしょう。
心臓の音がやけに大きく響いて、彼に聞こえてしまうのではないかと不安になるほどでした。
「……もう大丈夫です。ありがとうございます」
やっとの思いで離れると、公爵様は一歩だけ距離を取って、不自然なほどゆっくり咳払いをされました。
「次から気をつけろ。草よりお前の方が折れそうだ」
ふっと耳が熱くなり、答えられませんでした。
それからの日々、薬草園にはいつも人の笑い声が絶えなくなりました。
病から回復した村の子どもたちが遊びに来て、花を摘み、瓶に詰めて持ち帰る。
メアは大忙しですし、執事のグレゴールさんは「庭は遊び場ではない」とぼやいていましたが、どこか嬉しそうに目尻を下げていました。
ある日、庭で子どもたちと遊んでいると、背後から視線を感じます。
振り返れば、テラスの上にアレクシス様が立っていらっしゃいました。
その瞳が、静かにこちらを見つめている。
まるで、ずっと前から見守っていたかのように。
──そして、彼が微かに笑ったように見えたんです。
わたしはその場から動けなくなりました。
胸がどきどきする。
どうしてでしょう、何でもない笑みなのに、涙が出そうなくらい嬉しいのです。
夜。月が高くのぼったころ。
わたしは書斎の机に向かって、昼に摘んだ薬草の整理をしていました。
香りの強い葉を刻むたびに、指先まで草の匂いが染み込んでいくようです。
「……ふう、これで今日は終わり……」
疲れでまぶたが重くなる。けれど、まだ火を消すには惜しくて灯りを見つめていると、コン、と静かなノックが響きました。
「リリアーナ、まだ起きているか」
この屋敷で、わたしの名を呼ぶその声を知っているのは、ただ一人。
「……アレクシス様?」
扉を開けると、予想どおり彼が立っていました。
松明の光が横顔を照らし、優しい影を落としています。
「……香りが外まで漂っていた。寝る前に少し、気になってな」
「香り……あ、すみません、強すぎましたか?」
「いや、嫌な匂いではない」
短く答えたあと、彼は少し逡巡し――机の上に、一つの包みを置かれました。
「これをやる」
包みの中から出てきたのは、手のひらほどの木製のランプでした。
わずかに青い炎が灯り、やわらかな光を放っています。
「この灯りは長持ちする。お前の夜更かしには、ちょうど良いだろう」
「ありがとうございます……! 本当にきれい。まるで春の光みたいです」
わたしが嬉しそうにすると、アレクシス様はわずかに顔をそむけて言いました。
「別に……書類仕事を増やされては困るだけだ」
言葉とは裏腹に、その声はどこか照れくさそうで。
――もしかして、心配してくださったのかもしれません。
気づいた瞬間、胸の奥が甘く震えました。
その夜。ベッドのそばに置いたランプの灯りが、ずっと消えずに揺れていました。
春の光のようにやさしく、心まで照らすようで。
夢の中でわたしは、知らず知らずのうちに彼の名前を呼んでいたかもしれません。
翌朝、薬草園に出ると、アレクシス様の姿がありました。
朝露に濡れる花々の間で黒いマントが揺れて――思わず息を飲みます。
普段は城内でしか見かけない方なのに。
「おはようございます、アレクシス様」
「お前の言う“朝の光が育てる薬草”とやらを、見に来た」
くす、と笑ってしまいました。
「まあ、気にしてくださったんですね」
「誤解するな。ただ……見てみたかっただけだ」
言葉を続けようとする彼の目が、一瞬だけわたしを捉え――すぐに花々へ落ちます。
春風が吹き、マントの裾が揺れました。
「……きれいだな」
「え?」
「この景色も……お前も」
今、確かに彼はそう言った。
小さな声だったけれど、はっきりと。
返す言葉を失っているわたしの頬へ、彼の手が伸びました。
指先がそっと触れて、驚くほどやさしい感触が伝わります。
「少し、泥がついている。……まったく、本当に花嫁らしくない」
叱るように言いながら、指でそっと拭い取ってくださる。
なぜか心臓の音が遠くまで響いた気がしました。
その手を離すことも、視線を逸らすこともできない。
しばらくの沈黙のあと、公爵様の低い声が落ち着いた空気を震わせました。
「お前が来てから、屋敷が……少しだけ静かではなくなった」
「静かでは……なく?」
「鳴いている鳥のようだ。悪くない。……ただ、慣れていない」
照れくさそうに視線を外すその仕草が、ひどく幼く見えて――
思わず笑ってしまいました。
「では、わたしはその鳥として、この庭を賑やかにしてみせます」
「ふ。勝手にしろ」
そう言って背を向けた彼の横顔に、陽の光が差し込みました。
冷たい氷が溶けて滴となり、光に溶けていくように――。
春の光を映す薬草園で、わたしは確かに感じました。
“あの氷の公爵”の心が、今ほんの少しだけ、動いたのだと。
その夜、灯りをともしたランプが、いつよりも強く輝いていました。
窓の外には、月明かりに照らされた花々と、静かに見守る彼の影。
光は優しく混ざり合い、静かな夜を照らしていました。
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