【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。

朝日みらい

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第4章:使用人たちの信頼

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薬草園での活動がだんだんと評判を呼ぶようになり、私の名前が城内の使用人たちの間で知られるようになった。

最初は少しだけ驚いて、でもとても嬉しい気持ちがこみ上げてきた。

城の中で、私の作った薬を頼んでくれる人たちが増えてきて、みんなに感謝されることが増えてきたのだ。

「リリス様、本当に助かります!おかげで足の痛みが取れました!」

そう言って厨房のクレアがにこっと笑顔を向けてくれる。

「本当に?それは良かったわ。」

私はその笑顔に少し照れながらも、つい嬉しくなってしまった。

「ありがとうございます、リリス様。」

厨房の奥からも、他の使用人たちが顔を出してお礼を言ってくれる。

私は思わず、はにかんだ笑顔を浮かべてしまう。

でも、心の中ではちょっと戸惑っていた。

王太子妃として扱われることが、正直あまり得意じゃない。

だって、私はただの病弱で内気な娘だったはずだから。

でも、みんなが素直に感謝してくれるのは、素直に嬉しいし、心が温かくなる感じがして、少しずつその気持ちに慣れてきていた。

「リリス様、すごいですね。」

クレアが目を輝かせながら言う。

「私たち、こうしてリリス様から薬をもらうと、なんだか元気が出てくるんです。」

「う、うれしいわ…」

私は言葉がうまく出せないけど、その気持ちがちゃんと伝わっていると思って、ちょっとだけ胸が温かくなる。

その日の午後、薬草園で調合をしていると、どこからか視線を感じるようになった。

最初は気のせいだと思っていたけれど、だんだんその視線が気になって、私は何度も振り返ってしまった。

そして、見てしまった。

エドアルドが遠くの方で、私をじっと見つめているのを。

「あれ…?」

私は目を細めて、もう一度彼を見つめる。

エドアルドはすぐに目を逸らして、何事もなかったように歩き始めたけれど、その視線がずっと私の心に残った。

「何だろう、あの視線…?」

心の中でモヤモヤとした気持ちが広がった。

でも、それ以上考えても仕方ないと思って、また薬草に集中することにした。

エドアルドが私のことを見ているなんて、考えすぎだわ…きっと気のせいだ。

それからというもの、エドアルドの姿を見かける度に、どこかで私を見ているような気がして、その度に心臓がドキドキしてしまう。

彼が私の薬草園に来るわけでもなく、直接話しかけてくれるわけでもないけれど、でもその目線に何かが込められているような気がして、なんだか不安定な気持ちが膨らんでいった。

でも、毎日が忙しくて、薬草園での時間が増えるたびに、私は少しずつ周りの人たちともっと仲良くなっていった。

使い古された薬草を使って、効き目が薄くなった薬を新しいレシピで作り直したり、風邪や頭痛に効く薬を調合したりするたびに、みんなが本当に喜んでくれて、それが私にとっての楽しみになっていった。

その日も、私は薬草園で新しい薬を調合していると、見覚えのある足音が近づいてきた。

振り返ると、そこに立っていたのは…

「エドアルド…?」

思わず声が漏れた。

まさか、王子がわざわざ薬草園まで来るなんて、想像もしなかったから、少し驚きとともにドキドキしてしまった。

「リリス、ちょうどいいところに。」

エドアルドは冷静に言うけれど、目を合わせるとなんだか少し照れているような気がした。

あれ、もしかして私を見に来たわけじゃないの?

いや、でもそんなはずはない…!

「何か…用?」

私は少し戸惑いながらも、彼に問いかけた。

「君が作った薬、どうしても試してみたくて。」

エドアルドは真面目な顔で言う。

そう言われると、何だか恥ずかしくなってきて、手元が少し忙しくなってしまった。

「え、ええ、もちろん…」

私はそう言って、エドアルドに向かって少しおかしな笑顔を見せる。

あ、もう何してるの、私!

でも、ちょっと嬉しい。

エドアルドは私が渡した薬を手に取って、じっと見つめてから、ゆっくりと顔を上げた。

「リリス、君って本当にすごいな。」

その言葉に、私は胸がいっぱいになったけれど、それをどうしていいのかわからず、また照れくさい顔をしてしまう。

「そんなことないわ、ただの薬草好きなだけよ。」

「いや、君はすごい。」

エドアルドは、少し照れながらも、でも確かな眼差しで私を見つめた。

私の心は、その温かい眼差しにドキドキして、言葉がうまく出てこなかった。

「ありがとう…エドアルド。」

私は小さく呟いた。

それだけで、何だか温かい気持ちが心に広がって、私たちの間に少しだけ距離が縮まったような気がした。
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