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家出少年
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車の中で話しかける。
「どこに行くつもりだったの?」
「京都」ぶっきらぼうにその子は言った。
「京都は遠いよ。ここは神奈川県で、京都まで歩いたら一週間以上かかるんじゃないかな」
京都まで歩くって、ちょっと無理じゃない?
本当に歩いて行く気だったのか?
「夜道をひとりで歩いていたら、あぶないよ。変な大人もいるし」
「大丈夫だよ」
女の子にしては随分愛想のない子だな。服装もジーンズとパーカーで男の子みたいな服着てさ。
「でも、今、知らない大人の車に乗ってるよね。かなりあぶないんじゃないかな。僕に拾われたからいいもの、変な大人にお持ち帰りされちゃうよ」
「お持ち帰り? ケーキじゃあるまいし。何それ??」
「どうして、あんなとこに倒れてたのかな?」
「転んだ」
顔を見ると、額に青あざができている。頬にも擦り傷。
うわっ、これ、明日腫れるかもな。
「ちょっとデリケートなこと聞いてもいいかな? 不審な大人に変なことされたりしたことある?」
「そんなことあるわけないだろ」
はっきりとした返事が戻ってきた。
よかった。性被害じゃない。言葉も意識もしっかりしてる。
このケースはたぶん家出だ。
このまま警察に届けてもいいけど、ぐしょ濡れで寒そう。あ、震えてる。
いったん家に連れて帰ろう。
シャワーを浴びてもらって、食べ物で釣って、家出の理由を探ってみよう。
「どこに行くつもりだったの?」
「京都」ぶっきらぼうにその子は言った。
「京都は遠いよ。ここは神奈川県で、京都まで歩いたら一週間以上かかるんじゃないかな」
京都まで歩くって、ちょっと無理じゃない?
本当に歩いて行く気だったのか?
「夜道をひとりで歩いていたら、あぶないよ。変な大人もいるし」
「大丈夫だよ」
女の子にしては随分愛想のない子だな。服装もジーンズとパーカーで男の子みたいな服着てさ。
「でも、今、知らない大人の車に乗ってるよね。かなりあぶないんじゃないかな。僕に拾われたからいいもの、変な大人にお持ち帰りされちゃうよ」
「お持ち帰り? ケーキじゃあるまいし。何それ??」
「どうして、あんなとこに倒れてたのかな?」
「転んだ」
顔を見ると、額に青あざができている。頬にも擦り傷。
うわっ、これ、明日腫れるかもな。
「ちょっとデリケートなこと聞いてもいいかな? 不審な大人に変なことされたりしたことある?」
「そんなことあるわけないだろ」
はっきりとした返事が戻ってきた。
よかった。性被害じゃない。言葉も意識もしっかりしてる。
このケースはたぶん家出だ。
このまま警察に届けてもいいけど、ぐしょ濡れで寒そう。あ、震えてる。
いったん家に連れて帰ろう。
シャワーを浴びてもらって、食べ物で釣って、家出の理由を探ってみよう。
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