7 / 11
第7話・幼少
しおりを挟む
幼い頃から、リアムとアマンダは仲が良かった。
良すぎる、と形容してもいいほどに。
「アマンダ!大丈夫?心臓が痛いの?」
「ぅう……大丈夫、きっと私よりも、グレース様の方がつらいんだもん」
「そんなことない!アイツが痛がってるところなんて、僕は一度も見たこと無いよ。さあ、部屋に戻って休もう」
「こんな呪いなんて、なければよかったのに。迷惑かけてごめんね?リアム」
「可愛い君のためなら、僕はなんだってするよ」
3人で庭先の花を見てみた時。突然胸を押さえて痛がり出したアマンダの肩を抱いて、リアムは屋敷へと戻っていった。花を見つめるグレースには目もくれず、去り際意地悪く笑ったアマンダの顔だけが、今でも鮮明に思い出せる。
2人はいつもそうだった。
美しいものが大好きなリアムは、可愛らしいアマンダが大好きで。
リアムが大好きなアマンダも、彼に対しては妹のように甘えて、遊んで。
そして2人とも、醜く皮膚の爛れた、自分のことをバカにしている。リアムに至っては、嫌悪していると言ってもいい。
だからこそ、ロイドはグレースにとっての“特別”だった。
この世でたった1人だけの、グレースの友達。彼はグレースより一歳年下で、柔らかな茶色の髪と落ち着いた茶色の瞳を持つ、華奢で優しい少年だった。身分は違えど幼馴染の彼は、生来の優しさからなのか、生まれた頃からグレースを見ていたからか、侮蔑の視線を向けることも、グレースを遠ざけることもなく、自然体で接してくれた。同年代の子供がグレースを見て気味悪がらないのは、奇跡に近かった。
グレースが8つの頃、庭で泣いている自分に、ロイドはそっと花を差し出してくれた。
「見て、グレース」
涙で滲む視界でも、優しく笑う彼と、その手に持つ白い花は認識できた。
「サンカヨウって言うんだ。水に濡らすと、花びらが透明になるんだって。精霊が、色を持っていっちゃうんだ。だからね、その……」
照れくさそうに、はにかんだ幼い顔。日焼けの跡が鼻の頭を赤く染めていて、差し出す指先の泥も何もかも、グレースとの身分の違いを顕著にしている。
それでもその時、グレースはその笑顔に、指先に、目を奪われた。
「きみの涙も、持っていってくれたらいいって、思ったんだ」
その時からずっと、グレースは、サンカヨウとロイドの優しさに縋って生きている。
良すぎる、と形容してもいいほどに。
「アマンダ!大丈夫?心臓が痛いの?」
「ぅう……大丈夫、きっと私よりも、グレース様の方がつらいんだもん」
「そんなことない!アイツが痛がってるところなんて、僕は一度も見たこと無いよ。さあ、部屋に戻って休もう」
「こんな呪いなんて、なければよかったのに。迷惑かけてごめんね?リアム」
「可愛い君のためなら、僕はなんだってするよ」
3人で庭先の花を見てみた時。突然胸を押さえて痛がり出したアマンダの肩を抱いて、リアムは屋敷へと戻っていった。花を見つめるグレースには目もくれず、去り際意地悪く笑ったアマンダの顔だけが、今でも鮮明に思い出せる。
2人はいつもそうだった。
美しいものが大好きなリアムは、可愛らしいアマンダが大好きで。
リアムが大好きなアマンダも、彼に対しては妹のように甘えて、遊んで。
そして2人とも、醜く皮膚の爛れた、自分のことをバカにしている。リアムに至っては、嫌悪していると言ってもいい。
だからこそ、ロイドはグレースにとっての“特別”だった。
この世でたった1人だけの、グレースの友達。彼はグレースより一歳年下で、柔らかな茶色の髪と落ち着いた茶色の瞳を持つ、華奢で優しい少年だった。身分は違えど幼馴染の彼は、生来の優しさからなのか、生まれた頃からグレースを見ていたからか、侮蔑の視線を向けることも、グレースを遠ざけることもなく、自然体で接してくれた。同年代の子供がグレースを見て気味悪がらないのは、奇跡に近かった。
グレースが8つの頃、庭で泣いている自分に、ロイドはそっと花を差し出してくれた。
「見て、グレース」
涙で滲む視界でも、優しく笑う彼と、その手に持つ白い花は認識できた。
「サンカヨウって言うんだ。水に濡らすと、花びらが透明になるんだって。精霊が、色を持っていっちゃうんだ。だからね、その……」
照れくさそうに、はにかんだ幼い顔。日焼けの跡が鼻の頭を赤く染めていて、差し出す指先の泥も何もかも、グレースとの身分の違いを顕著にしている。
それでもその時、グレースはその笑顔に、指先に、目を奪われた。
「きみの涙も、持っていってくれたらいいって、思ったんだ」
その時からずっと、グレースは、サンカヨウとロイドの優しさに縋って生きている。
25
あなたにおすすめの小説
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
いつまでも甘くないから
朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。
結婚を前提として紹介であることは明白だった。
しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。
この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。
目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・
二人は正反対の反応をした。
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
貴方が要らないと言ったのです
藍田ひびき
恋愛
「アイリス、お前はもう必要ない」
ケヴィン・サージェント伯爵から一方的に離縁を告げられたアイリス。
彼女の実家の資金援助を目当てにした結婚だったため、財政が立て直された今では結婚を続ける意味がなくなったとケヴィンは語る。
屈辱に怒りを覚えながらも、アイリスは離縁に同意した。
しかしアイリスが去った後、伯爵家は次々と困難に見舞われていく――。
※ 他サイトにも投稿しています。
婚約者マウントを取ってくる幼馴染の話をしぶしぶ聞いていたら、あることに気が付いてしまいました
柚木ゆず
恋愛
「ベルティーユ、こうして会うのは3年ぶりかしらっ。ねえ、聞いてくださいまし! わたくし一昨日、隣国の次期侯爵様と婚約しましたのっ!」
久しぶりにお屋敷にやって来た、幼馴染の子爵令嬢レリア。彼女は婚約者を自慢をするためにわざわざ来て、私も婚約をしていると知ったら更に酷いことになってしまう。
自分の婚約者の方がお金持ちだから偉いだとか、自分のエンゲージリングの方が高価だとか。外で口にしてしまえば大問題になる発言を平気で行い、私は幼馴染だから我慢をして聞いていた。
――でも――。そうしていたら、あることに気が付いた。
レリアの婚約者様一家が経営されているという、ルナレーズ商会。そちらって、確か――
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
短編 一人目の婚約者を姉に、二人目の婚約者を妹に取られたので、猫と余生を過ごすことに決めました
朝陽千早
恋愛
二度の婚約破棄を経験し、すべてに疲れ果てた貴族令嬢ミゼリアは、山奥の屋敷に一人籠もることを決める。唯一の話し相手は、偶然出会った傷ついた猫・シエラル。静かな日々の中で、ミゼリアの凍った心は少しずつほぐれていった。
ある日、負傷した青年・セスを屋敷に迎え入れたことから、彼女の生活は少しずつ変化していく。過去に傷ついた二人と一匹の、不器用で温かな共同生活。しかし、セスはある日、何も告げず姿を消す──
「また、大切な人に置いていかれた」
残された手紙と金貨。揺れる感情と決意の中、ミゼリアはもう一度、失ったものを取り戻すため立ち上がる。
これは、孤独と再生、そして静かな愛を描いた物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる