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第四章 幸せにつながる道
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遡ること、キャスティナが攫われる少し前……。
王都でも、一番活気のある区画。空き家の一室で、二人の男が話し合っていた。
「じゃー、兄貴は公爵家のお嬢様の方ね。おれは、王子の方に行くから。しかし、やっとお嬢様が一人で動いたね。待ってたかいがあったー」
くせっ毛で茶色の髪、どこにでも居そうな若い男。どちらかと言うと優しそうな顔立ちで、楽しそうにしゃべっている。
「おい。本当に王子の方で大丈夫なのか?やっぱり、俺が王子の方が安心なんだが?」
兄と呼ばれた男は、どこか心配そうに眉にシワを寄せている。どうやら、二人は双子の様で先にしゃべっていた男と同じ顔をしている。だが、神経質そうな表情で性格が違うのが見て取れる。
「俺がジャンケンで勝ったんだから、もういいっこなしだよ!じゃあ、俺は先に行ってちゃちゃっと終わらせとくから。兄貴は、どさくさに紛れてお嬢様を連れて来ればいいよ。仕事が終わったら、ここに集合してさっさと国を出よう」
弟らしき男は、これから行なう事が楽しみでしょうがないようだ。兄に向かってニコニコしている。
「わかった。絶対に油断するなよ!」
兄が厳しい表情で見送る。
「ああ。じゃあ、また後でね」
そう言うと、弟は静かに扉を開けて出ていった。
********
兄貴と別れた俺は、王宮に向かった。うちの家系が所有している、フォルトゥーナ王国の王宮へ繋がる隠し通路を通って。王宮内に入ってから、目以外を布で覆う。屋敷から持ってきた剣を腰に下げる。
時間は昼前。季節が冬とは言え今日は天気も良く、日が差している場所はぽかぽかと暖かい。向かう先はサディアス殿下の側室の部屋。サディアスの一日の予定を調べた所、様々な公務があるはずだが、最近はもっぱら側室の部屋で一日過ごしているらしい。気が向けば部屋から出てきて、たまに仕事をしている程度。
全くいいご身分だよな……。この国の次期王の癖に。日がな一日、側室の部屋で遊んでるって……。しかも、それを側近達が何も言わないんだからな……。まぁー、だからこそ俺達に仕事が来た訳だけど。側近達が何も言わなくなった事に、何も思う事はないのかね?本当に、噂通りのボンクラ王子達だな……。
王宮と言えど、かなりの広さを誇る。だが、男の頭の中には詳細な地図があるのか、迷うことなく様々な隠し通路を通りながら、目的の場所へとたどり着く。
サディアスの側室の為の離宮で、陛下などが仕事をしている本宮とは少し離れた場所にある。不思議な程、警備の者が少ない。その理由にも男は心当たりがあるのか、自然と笑みが零れている。
天井裏へ忍び込み、気配を断つ。サディアスと側室がいるであろう、部屋の真上に到着する。天井の板をほんの少しずらし、中を窺う。サディアスと側室は、イチャイチャしながらソファーに隣合って座りワインを飲んでいる。服も着ずにガウンを羽織っているだけ。護衛の人数を確認しようと部屋をぐるりと見回す。驚く事に護衛がいない。
もう昼前だって言うのに、何やってるんだか……。護衛まで外させて、ここまで来ると呆れるだけだな。
男は、サディアスの真上に移動する。では、やりますか。サッと天井の板を外し、サディアスの目の前に飛び降りる。サディアスと目が合う。サディアスは、驚き目を剥く。
剣の鞘を抜き、サディアスに向かって剣を振り翳した。驚く事にサディアスは、サディアスにもたれかかっていた側室を咄嗟に盾にした。
「きゃあああああああああーーー」
側室の悲鳴が部屋中にこだました。側室は、右肩から左腰に斜めにざっくり切られる。ガウンが真っ赤に血に染まっていく。
「あんた、最低にもほどがあるぞ」
側室がサディアスの前に崩れ落ち、痛みに呻いている。悲鳴が聞こえた為か、扉がバタンと開けられ護衛が叫ぶ。
「殿下、何が!」
サディアスが立ち上がり、扉に向かって駆け出そうとする所を男は再度切り付けた。まずは、右腕。そして左足。
「うっ」
サディアスは、切りつけられた腕を押えて痛みに悶えている。
護衛が、目に入った光景に目を見張りサディアスに刃を向けた男に向かって突入する。男は、仕事は終わったとばかりに部屋の窓に向かって走る。窓に体当たりして、ガシャンッとガラスが割れた。割れた窓から、男は逃げ出した。
「殿下!」
護衛がサディアスに駆け寄る。
「さっさと、医者を呼べ!あいつを必ず捕まえろ!」
サディアスは、痛みに顔を歪めながら護衛に向かって叫ぶ。
「はっ!」
騒ぎを聞きつけた、他の使用人や護衛が集まって来た。最初にいた護衛が、使用人に医者を呼びに行かせ犯人を追うように他の護衛に指示を出す。
その頃、男は近くにあった隠し通路に身を潜め元来た道を戻る。通路の途中で、顔を覆っていた布を取る。自分の服を見ると、かなりの返り血を浴びている事に気付く。王宮から出る最後の隠し通路で、予め用意していた服に着替える。そこで、一度大きく息を吐く。
無事に仕事を終えて良かった。
さぁー、さっさと兄上と合流して家に帰ろう。男は振り返る事なく、王都の街に消えて行った。
王都でも、一番活気のある区画。空き家の一室で、二人の男が話し合っていた。
「じゃー、兄貴は公爵家のお嬢様の方ね。おれは、王子の方に行くから。しかし、やっとお嬢様が一人で動いたね。待ってたかいがあったー」
くせっ毛で茶色の髪、どこにでも居そうな若い男。どちらかと言うと優しそうな顔立ちで、楽しそうにしゃべっている。
「おい。本当に王子の方で大丈夫なのか?やっぱり、俺が王子の方が安心なんだが?」
兄と呼ばれた男は、どこか心配そうに眉にシワを寄せている。どうやら、二人は双子の様で先にしゃべっていた男と同じ顔をしている。だが、神経質そうな表情で性格が違うのが見て取れる。
「俺がジャンケンで勝ったんだから、もういいっこなしだよ!じゃあ、俺は先に行ってちゃちゃっと終わらせとくから。兄貴は、どさくさに紛れてお嬢様を連れて来ればいいよ。仕事が終わったら、ここに集合してさっさと国を出よう」
弟らしき男は、これから行なう事が楽しみでしょうがないようだ。兄に向かってニコニコしている。
「わかった。絶対に油断するなよ!」
兄が厳しい表情で見送る。
「ああ。じゃあ、また後でね」
そう言うと、弟は静かに扉を開けて出ていった。
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兄貴と別れた俺は、王宮に向かった。うちの家系が所有している、フォルトゥーナ王国の王宮へ繋がる隠し通路を通って。王宮内に入ってから、目以外を布で覆う。屋敷から持ってきた剣を腰に下げる。
時間は昼前。季節が冬とは言え今日は天気も良く、日が差している場所はぽかぽかと暖かい。向かう先はサディアス殿下の側室の部屋。サディアスの一日の予定を調べた所、様々な公務があるはずだが、最近はもっぱら側室の部屋で一日過ごしているらしい。気が向けば部屋から出てきて、たまに仕事をしている程度。
全くいいご身分だよな……。この国の次期王の癖に。日がな一日、側室の部屋で遊んでるって……。しかも、それを側近達が何も言わないんだからな……。まぁー、だからこそ俺達に仕事が来た訳だけど。側近達が何も言わなくなった事に、何も思う事はないのかね?本当に、噂通りのボンクラ王子達だな……。
王宮と言えど、かなりの広さを誇る。だが、男の頭の中には詳細な地図があるのか、迷うことなく様々な隠し通路を通りながら、目的の場所へとたどり着く。
サディアスの側室の為の離宮で、陛下などが仕事をしている本宮とは少し離れた場所にある。不思議な程、警備の者が少ない。その理由にも男は心当たりがあるのか、自然と笑みが零れている。
天井裏へ忍び込み、気配を断つ。サディアスと側室がいるであろう、部屋の真上に到着する。天井の板をほんの少しずらし、中を窺う。サディアスと側室は、イチャイチャしながらソファーに隣合って座りワインを飲んでいる。服も着ずにガウンを羽織っているだけ。護衛の人数を確認しようと部屋をぐるりと見回す。驚く事に護衛がいない。
もう昼前だって言うのに、何やってるんだか……。護衛まで外させて、ここまで来ると呆れるだけだな。
男は、サディアスの真上に移動する。では、やりますか。サッと天井の板を外し、サディアスの目の前に飛び降りる。サディアスと目が合う。サディアスは、驚き目を剥く。
剣の鞘を抜き、サディアスに向かって剣を振り翳した。驚く事にサディアスは、サディアスにもたれかかっていた側室を咄嗟に盾にした。
「きゃあああああああああーーー」
側室の悲鳴が部屋中にこだました。側室は、右肩から左腰に斜めにざっくり切られる。ガウンが真っ赤に血に染まっていく。
「あんた、最低にもほどがあるぞ」
側室がサディアスの前に崩れ落ち、痛みに呻いている。悲鳴が聞こえた為か、扉がバタンと開けられ護衛が叫ぶ。
「殿下、何が!」
サディアスが立ち上がり、扉に向かって駆け出そうとする所を男は再度切り付けた。まずは、右腕。そして左足。
「うっ」
サディアスは、切りつけられた腕を押えて痛みに悶えている。
護衛が、目に入った光景に目を見張りサディアスに刃を向けた男に向かって突入する。男は、仕事は終わったとばかりに部屋の窓に向かって走る。窓に体当たりして、ガシャンッとガラスが割れた。割れた窓から、男は逃げ出した。
「殿下!」
護衛がサディアスに駆け寄る。
「さっさと、医者を呼べ!あいつを必ず捕まえろ!」
サディアスは、痛みに顔を歪めながら護衛に向かって叫ぶ。
「はっ!」
騒ぎを聞きつけた、他の使用人や護衛が集まって来た。最初にいた護衛が、使用人に医者を呼びに行かせ犯人を追うように他の護衛に指示を出す。
その頃、男は近くにあった隠し通路に身を潜め元来た道を戻る。通路の途中で、顔を覆っていた布を取る。自分の服を見ると、かなりの返り血を浴びている事に気付く。王宮から出る最後の隠し通路で、予め用意していた服に着替える。そこで、一度大きく息を吐く。
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