妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】

小平ニコ

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第11話(シャノーラ視点)

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 これまでのことで、心の底から、思い知った。
 お姉様と私の、圧倒的な格の違いを。

 私、もう二度と、お姉様と張り合おうだなんて、思わないわ。
 自分の身の程が、嫌と言うほど、分かったから。

 い、今すぐ、お姉様に帰ってきてもらわないと。

 ……どうやって?

 お姉様のことだから、聖女の役目から解放された嬉しさで、国を出た後、いったいどこまで行ってしまったのか、見当もつかない。

 ああ、せめて、お姉様を追い出すような形じゃなくて、ちゃんとお別れをしておけば、国を出て、どこに向かうつもりかを、教えてくれたかもしれないのに。

 すぐ近くには、港がある。お姉様が定期船に乗り、別の大陸に行ってしまった場合は、もう、どうやったって、見つけ出すことはできないだろう。

 あまり遠くに行かず、隣の国あたりでぶらぶらしてくれていることを祈るしかないが、お姉様が国を出てからもう二日も経っているから、その可能性は低いでしょうね……

 ああああ。

 どうしよう。
 どうしよう。

 もう、どうしようもないかもしれない。

 でも私は、一縷の望みをかけ、衛兵を呼び、お姉様を捜索するように、頼んだ。……姉から聖女の座を奪っておきながら、すぐにギブアップ寸前となり、追い出した姉に泣きつこうとしている私を、衛兵は、これ以上ない蔑みの目で見た。

 恥ずかしかった。
 でも、馬鹿にされても、仕方ないと思った。

 だって、私、馬鹿だもの。

 ごめんなさい、お姉様。

 私、馬鹿だから、やっとわかったわ。いつも、しつこく勝負を挑んで、最後には必ず私が勝てたのは、お姉様が、適当なところで手を抜いてくれたからなのね。

 ふと、子供の頃の記憶が、頭に浮かぶ。

 その日も私は、しつこくお姉様に勝負を挑み、そして、根負けしたお姉様が、困ったような笑顔を浮かべて、こう言ったのだ。

『参った参った、もう降参。私の負けよ。シャノーラは、本当に強いわね~』

 幼い私は、ふんすと胸を張り、小さな体で目いっぱい背伸びをする。
 それから、長身のお姉様を下から睨むようにして、言葉を返した。

『当然よ! 私の方が、お姉様より、ずっと優秀なんだからね!』

 不遜極まる生意気な私の頭を、お姉様はニコニコと微笑んで、撫でた。
 そして、誰よりも優しい声で、『そうね、あなたが一番よ』と言ってくれた。

 うう……
 ううううう。

 ごめんなさい。
 ごめんなさい、お姉様。

 両方の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれる。

 私は、子供のようにぺたんと座り込み、声をあげて泣いた。
 そして、神殿の天窓から、遠い空を眺めて、叫んだ。

「お姉様、ごめんなさい~! 本当の一番は、お姉様よ! だから戻って来て~!」
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