姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】

小平ニコ

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第3話

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 そんなことを思っていると、道の向こうから、何かがこちらにやって来るのが見えた。

 なんだろう?

 凄い土煙を上げて、何かが走って来る。

 男だ。

 二人の男。

 背の高い男と、小さい男。
 どちらも半裸で、逞しい肉体をしている。

 背の高い男の方が、私を指さして、叫んだ。

「うおおおおおおお! やっぱり若い女だああああああああ!!」

 背の低い男は、飛び上がりながら喜びの声をあげる。

「やったね兄ちゃん! 他の連中に見つかる前に、俺たちのテントに連れ込もう!!」

 誰がどう見ても暴漢である。

 いや本当に、どうなってんのよこの国。
 まだ入国して三十分も経ってないのに、こんなのに遭遇するなんて。

 それにしても、なんて足の速い男たちだ。まるで、野生の獣並みである。男たちはあっという間に目の前にまで来ると、華麗なる跳躍で、私に襲い掛かった。

 はぁ。
 めんどくさ。

 私はため息を漏らし、小さく魔法の呪文を唱える。

 それだけで、男たちの首から下は氷漬けになり、ジャンプしたポーズのまま、ドスンと音を立て、地面に落っこちた。背の高い男の方が、何が起こったのか分からないとでも言うように、目を白黒させる。

「お……? おぉっ……? なにこれ……? つめたっ!? 体が動かないし、冷たすぎるっ!?」

 そりゃそうでしょうね。
 頭以外は全部凍ってるんだから。

 背の低い男の方は、寒さに弱いのか、それとも、未知の魔法に驚嘆しているのか、ガタガタと震え、言葉を紡ぐことすらできない様子だった。

 ふむ。
 話をするなら、背の高い男の方がよさそうね。

 私は背の高い男に、質問することにした。

「さて、あなたたちを誘拐の現行犯として、衛兵に突き出したいんだけど、この国の警察機構って、どうなってるのかしら? いろいろと教えてくれたら、ちょっとは刑を軽くしてもらえるように、頼んであげてもいいわよ」

 寒気が顔の方まで上がって来たのか、背の高い男は声を震わせながら答える。

「警察機構なんか存在しねぇよ! もちろん、裁判所もねぇ! トラウゼンは弱肉強食! 完全なる自由の国だ! やりたいこと、やったもん勝ちだぜ!」

 えぇー……
 何それ……

 いや、この国に入ったときから薄々覚悟はしていたが、どうやらトラウゼンは最低レベルの治安も維持されておらず、たった今背の高い男が述べた通り、弱肉強食がルールの、無秩序な国らしい。

 しかし、この世の中には、完全なる無秩序など存在しない。『弱肉強食』も、ある意味では一つの秩序であり、弱者の上に立つ強者――いわゆる『リーダー』が存在しているはずだ。
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