追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ

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第92話

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 ……この前と同じだ。このリリエンヌ・リリアンヌ。突然性格が変わったかのように、立ち振る舞いが豹変する。リリエンヌの言葉を聞いたブレンダは、一気に顔を引き締め、無言で私から距離を取った。

 そして、ちらりとリリエンヌの方を見て、少々呆れたように言う。

「リリエンヌ、そういうことはもっと早く言え」

「ごめんなさい。私もそうすべきだと思ったのですが、リリアンヌが一生懸命自分の言葉で伝えようとしてたから、少し見守ってたんです」

「まったく、二重人格というのは、面倒なものだな」

 二重人格――

 その言葉を聞いた途端、リリエンヌに抱いていた色々な疑問が氷解した。

 小動物のようにオドオドビクビクしているときと、堂々としているときの態度の違いがあまりにも大きいので、何か変だと思っていたが、人格が二つあるのなら納得である。

 リリエンヌは値踏みするような目で私を見て、滔々と語りだした。

「お久しぶりですね、ラディアさん。優秀な魔法使いであるあなたのことですから、いずれは『魔女のお茶会』が開かれる場所に見当をつけ、直接乗り込んでくると予想していましたよ。ですが、まさか、こんなにすぐ再会することになるとは思っていませんでした」

 私は肩をすくめ、微笑と共に言葉を返す。

「私は特に何もしてないけどね。プラチナカードを5枚集めたリーゼルにくっついて来ただけだから」

 その言葉を聞いた途端、リリエンヌの顔が険しくなる。リリエンヌはリーゼルの方に向き直り、硬い声で詰問した。

「リーゼル様、なんという馬鹿なことを。あなたがフェルヴァ様と対立していることは重々分かっていますが、それでも、やっていいことと悪いことがあるはずです。……自分の力でプラチナカードを集めていない者を『魔女のお茶会』に連れてくるのは、重大な会則違反です。あなたもそれくらいは知っているでしょう?」

 リーゼルはリリエンヌの厳しい視線を受け流し、悪びれた様子もなく言う。

「知ってはいるが、俺は『至高なる魔女の会』の会員じゃないからな。くだらない会則とやらをご丁寧に守ってやる義務はないと思うけどね」

「またそんな、粗野な喋り方をして……あなたもフェルヴァ様と同じく、もともとは上流階級の人間でしょう? どうしていつもいつも、チンピラのような振る舞いをするのですか?」
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