二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第69話

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「そういうことですね。で、冒険者志望者が増えすぎたせいで、中には最低限の実力もないような人も、たくさん見受けられるようになってしまいました。そのため、近年では冒険者も資格制となり、筆記試験と戦闘試験をクリアしないと、正式な『有資格冒険者』として、冒険者ギルドから依頼を受けることはできなくなったんです」

「エリスは有資格者だから、その筆記試験と戦闘試験とやらをクリアしたのよね。どうだった? 難しかった?」

「戦闘試験は楽勝でしたが、筆記試験は大変でした。とにかく、暗記しなきゃいけない問題が多くて……でも、冒険者の資格を手に入れれば、父の仇を探す旅に色々と役立つと思って、一生懸命勉強し、なんとか一回の受験で合格することができました」

「暗記かぁ……私、そういうの苦手だわ。あなた、一発で合格できるなんて、けっこう頭いいのね」

「えへへ、私、暗記系は割と得意なんです。……あっ、話を戻しますね。冒険者を資格制にしたことまでは良かったんですが、結局、実力のない冒険者は、あまり減りませんでした。『戦闘試験』と言っても、所詮は模擬戦闘ですし、実際に魔物と命のやり取りをするのは、また別ですからね」

「う~ん、まあ、それはそうかもね」

「そして残念ながら、私が懸命に勉強した『筆記試験』も、それほど意味のある試験ではありませんでした。どんなに難解な試験でも、つまるところただのペーパーテストですから、測ることができるのは受験者の知識だけで、その人の勇気や機転、何より、冒険者にとって最も大切な『異常な事態に対する耐性』があるか、わからないのです」

「異常な事態に対する耐性? 冒険者に、そんなの必要なの?」

 エリスは頷き、はりつけにされた哀れな遺骸にちらりと視線をやってから、口を開く。

「お師匠様、今私たちは、腐乱した遺体の臭いが漂う中、普通に話をしていますよね? ハッキリ言ってこれは『異常な事態』です。こういうのって、駄目なタイプの人は、どんなに我慢しても、一分だって耐えられないんですよ」

「あっ、そうなの。まあ普通は、近くに死体があるだけでも、逃げ出したくなるものなのかもね」

「ええ。でも冒険者って、遭難者の捜索に向かったりすることもありますから、割と死体に遭遇することが多いんです。それも、綺麗な死体じゃなく、あちこち欠損してたり、腐敗が始まってたり、そんな死体がほとんどです。だから、実際に死体に出くわした時、平静を保てないような人は、冒険者に向いてないってことですね」

「ふうん。……で、それが、『冒険者ギルドは、ゴブリンとまともに戦えないレベルの冒険者には、死んでほしいと思っている』って話に、どう繋がるわけ?」
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