20 / 41
元凶を特定します
しおりを挟む
アリッサ達が転移魔法陣に姿を現し、ダンジョンでの経緯をエリンジウム達に話している時、ファルシオン達が戻ってきた。
「師匠」
アリッサが自分のフードの中でスヤスヤ眠るカーバンクルの話をしようと顔を向け、驚いた顔をしてからクスッと笑った。
「師匠、楽しそうですね」
「楽しかったぞ」
2人の会話の意味が解らないエリンジウムは首を傾げたが、モルセラが担ぐアンサシアの根の大きさにランタナ達が狂喜乱舞する。
「これだけあれば大丈夫です」
「何の話だ?」
蚊帳の外に置かれているエリンジウムが眉を顰めると、マロウが簡単な説明をしながらファルシオンの部屋に歩き出した。
「そんなにトラップが……」
「時間は全部1000年後に改ざんしました」
唖然とするエリンジウムにマロウが真面目な顔で対処は終わっている事を告げた。
「それで何を作るの?」
ミモザが初めて見るアンサシアの根を繁々と見ながらランタナに聞けば
「映像や音声を記録できる魔道具ですね」
と、ダンジョンから戻ったばかりのエニシダがすぐに理解し、準備に取り掛かった。
アリッサは人の輪から少し離れ、ファルシオンとカーバンクルと話をしている。
「大地の賢者が情報と引き換えにカーバンクルの復活を願うとはな」
「アンサシアはカーバンクルと共生していますから」
『仲間が殺された。アンサシアが狩り、出来ないと、俺達も困る』
何があったか聞かなくても分かる。
「コレは闇市で、高値で取引されているからな」
カーバンクルの額の赤い石は宝石よりも高価な物として密猟が後を経たない。
密猟によって獲物を誘き寄せるカーバンクルが居なくなっては、アンサシアは狩ができない。
そしてアンサシアの花や蜜が主食のカーバンクルもアンサシアが狩りができないと飢え死にしてしまう。
「で、情報は?」
『元凶に必要ない、って言わせれば呪い、解除される』
「何故?」
『元凶、この鎖使って、時間迷路、遡ってる』
カーバンクルの小さな手がアリッサの左手首に絡み付く鎖を叩く。
「自分で繋いだ鎖を自分で切らせる、と言う事か」
ファルシオンの言葉にカーバンクルが小さく頷いた。
アンサシアは大地に根を張る魔物で、悠久の時を生き、世界中の動きを見ていると言われている。
何処かで元凶がアリッサに呪いを掛けたことを知ったのだろう。
「情報に感謝する」
ファルシオンがそう言って手のひらに乗せていた赤い石に魔力を注ぐと、あっという間にカーバンクルが復活した。
「帰れますか?」
アリッサが腕の中に居る2匹のカーバンクルに声を掛けると
『送って、欲しい』
と、2匹は可愛らしい仕草でお願いしてきた。
「喜んで」
アリッサは2匹を抱えるとファルシオンに送ってくる、と伝え転移魔法陣の方に向かった。
「師匠」
アリッサが自分のフードの中でスヤスヤ眠るカーバンクルの話をしようと顔を向け、驚いた顔をしてからクスッと笑った。
「師匠、楽しそうですね」
「楽しかったぞ」
2人の会話の意味が解らないエリンジウムは首を傾げたが、モルセラが担ぐアンサシアの根の大きさにランタナ達が狂喜乱舞する。
「これだけあれば大丈夫です」
「何の話だ?」
蚊帳の外に置かれているエリンジウムが眉を顰めると、マロウが簡単な説明をしながらファルシオンの部屋に歩き出した。
「そんなにトラップが……」
「時間は全部1000年後に改ざんしました」
唖然とするエリンジウムにマロウが真面目な顔で対処は終わっている事を告げた。
「それで何を作るの?」
ミモザが初めて見るアンサシアの根を繁々と見ながらランタナに聞けば
「映像や音声を記録できる魔道具ですね」
と、ダンジョンから戻ったばかりのエニシダがすぐに理解し、準備に取り掛かった。
アリッサは人の輪から少し離れ、ファルシオンとカーバンクルと話をしている。
「大地の賢者が情報と引き換えにカーバンクルの復活を願うとはな」
「アンサシアはカーバンクルと共生していますから」
『仲間が殺された。アンサシアが狩り、出来ないと、俺達も困る』
何があったか聞かなくても分かる。
「コレは闇市で、高値で取引されているからな」
カーバンクルの額の赤い石は宝石よりも高価な物として密猟が後を経たない。
密猟によって獲物を誘き寄せるカーバンクルが居なくなっては、アンサシアは狩ができない。
そしてアンサシアの花や蜜が主食のカーバンクルもアンサシアが狩りができないと飢え死にしてしまう。
「で、情報は?」
『元凶に必要ない、って言わせれば呪い、解除される』
「何故?」
『元凶、この鎖使って、時間迷路、遡ってる』
カーバンクルの小さな手がアリッサの左手首に絡み付く鎖を叩く。
「自分で繋いだ鎖を自分で切らせる、と言う事か」
ファルシオンの言葉にカーバンクルが小さく頷いた。
アンサシアは大地に根を張る魔物で、悠久の時を生き、世界中の動きを見ていると言われている。
何処かで元凶がアリッサに呪いを掛けたことを知ったのだろう。
「情報に感謝する」
ファルシオンがそう言って手のひらに乗せていた赤い石に魔力を注ぐと、あっという間にカーバンクルが復活した。
「帰れますか?」
アリッサが腕の中に居る2匹のカーバンクルに声を掛けると
『送って、欲しい』
と、2匹は可愛らしい仕草でお願いしてきた。
「喜んで」
アリッサは2匹を抱えるとファルシオンに送ってくる、と伝え転移魔法陣の方に向かった。
293
あなたにおすすめの小説
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…
まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。
お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。
なぜって?
お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。
どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。
でも…。
☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
読んで下さると嬉しいです。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
たいした苦悩じゃないのよね?
ぽんぽこ狸
恋愛
シェリルは、朝の日課である魔力の奉納をおこなった。
潤沢に満ちていた魔力はあっという間に吸い出され、すっからかんになって体が酷く重たくなり、足元はふらつき気分も悪い。
それでもこれはとても重要な役目であり、体にどれだけ負担がかかろうとも唯一無二の人々を守ることができる仕事だった。
けれども婚約者であるアルバートは、体が自由に動かない苦痛もシェリルの気持ちも理解せずに、幼いころからやっているという事実を盾にして「たいしたことない癖に、大袈裟だ」と罵る。
彼の友人は、シェリルの仕事に理解を示してアルバートを窘めようとするが怒鳴り散らして聞く耳を持たない。その様子を見てやっとシェリルは彼の真意に気がついたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる