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切れた鎖と解放された翼
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「1つ聞きたいのですが、私の事要りますか?」
「はあ、アンタみたいなモブなんていらないわよ」
吐き捨てる、と言うより噛み付きそうな顔でアリッサに、いらない、とはっきり言った。
シャラン、と小さい音にアリッサはハッとした。
アリッサ達が、アリッサの左手首を見れば、しがみつく様に巻き付いていた鎖が切れており、手を振れば磨き上げられている床に落ちた。
「どうやら、アリッサは解放された様だな」
「そうみたいですね」
腕に絡まっていた細い鎖が徐々に錆びて、ポロポロと崩れて行く。
さっきデージーが
「アンタなんかいらないわよ」
と、叫んでから切れた鎖が床に落ちた事で更に崩れていく。
錆びて崩れる鎖が、もうアリッサが利用される事のない、完全な自由を取り戻した証となった。
はじめはアリッサは、自分はデージーが時間を巻き戻す際の命綱として使われている、と思っていた。
だが、それだけならば時間を遡る時、アリッサが記憶を継続する必要は無い。
疑問に思ったファルシオンが魔法使いの塔の魔法使い達を動員してトラップやデージーの背後を調べ尽くせば、隣国のきな臭い噂も無く、この世界自体がデージーの思惑に振り回されているのを自浄しようとしていることが判明した。
アリッサは有能である為、その自浄作用に巻き込まれ、デージーにその事を利用されたらしい。
「ですが、疑問があります」
「ん?」
「時間を巻き戻す為に時間を飛ぶ時は同時に、だと思うのですが何故私が10歳迄遡ったのに、この人とは時間差があるのは何故でしょうか?」
この謎がどうしても解けなかったアリッサは正直にファルシオンに尋ねた。
「アリッサはドラゴンの様に、飛ぶ為の助走を必要としない。しかも、出発地点は違っても到着地点は変わらない。故にアレがどれ程必死になっても飛ぶ為の時間が開くんだ」
意味が解りません、と言いたげなアリッサの頭に手を乗せファルシオンが笑った。
「アリッサは10歳のあの日に戻る事を決めていただろ」
「はい。人生をやり直すなら、まだ選択肢が決まっていないあの日が一番良い、と思いましたので」
10歳のアリッサは、まだ人生の選択を迫られていない。だから巻き戻されたくは無いが、また過去に戻るならあの日にしよう、と決めていた。
「複雑だが目印の無い時間迷路で迷わず過去の一点に戻るには強い魔力が必要だが、凡人でも目印があれば戻れる」
ファルシオンも一度時間迷路を遡ったことがある為、ファルシオンの説明にアリッサは納得しているが、エリンジウム達はまだ理解が追いついていない様だ。
「アリッサは自力で同じ地点に戻っているが、この馬鹿はアリッサから伸びる鎖を頼りに、時間迷路を抜けようとしていたが、コイツは魔力が無いうえ、迷路の中の時間は外の時間と違い、恐ろしく速い」
「しかも鎖は元の時間に戻ると消えるから、アイツはいつも戻りたい時間じゃ無く、ギリギリの時間になるんですね」
ランタナがズバッと言う。
「そのまま迷路で永遠に迷ってれば、良かったのに」
「あんな所で迷子になるなんて絶対嫌よ」
マロウは心底呆れた様な顔で絶望感に染まるデージーを見た。
「アリッサの時間が進めば鎖が緩み、撓むから必死に手繰り寄せながら進んでいたんだろうが、な」
無駄な事を、とファルシオンが冷笑を浮かべながら呟いた。
「煩いわね。あんな孤児院や男爵家の貧乏生活に誰が戻りたいなんて思うもんか」
「違いますね。戻らなかったんじゃなく、魔力が無いから戻れなかったんでしょ」
ランタナがズバッと真実を言った。
「私の呪いも解けましたし、学園の幻覚魔法も解けましたので、貴女の味方は1人も居ません」
「幻覚魔法……。なにそれ」
デージーはミモザの話をまったく聞いていなかったようだ。
「気が付きませんでしたか?トラップが失敗したのに、殿下達の好感度が上がってなんてありえないのに」
キョトンとした顔でアリッサがデージーを見ると、デージーの顔色がどんどん悪くなって行く。
「まさか……全部……嘘」
「はい。まるっきり疑わないので、逆に心配になりました」
アリッサが死刑宣告の様な言葉を笑顔で言い切った。
「はあ、アンタみたいなモブなんていらないわよ」
吐き捨てる、と言うより噛み付きそうな顔でアリッサに、いらない、とはっきり言った。
シャラン、と小さい音にアリッサはハッとした。
アリッサ達が、アリッサの左手首を見れば、しがみつく様に巻き付いていた鎖が切れており、手を振れば磨き上げられている床に落ちた。
「どうやら、アリッサは解放された様だな」
「そうみたいですね」
腕に絡まっていた細い鎖が徐々に錆びて、ポロポロと崩れて行く。
さっきデージーが
「アンタなんかいらないわよ」
と、叫んでから切れた鎖が床に落ちた事で更に崩れていく。
錆びて崩れる鎖が、もうアリッサが利用される事のない、完全な自由を取り戻した証となった。
はじめはアリッサは、自分はデージーが時間を巻き戻す際の命綱として使われている、と思っていた。
だが、それだけならば時間を遡る時、アリッサが記憶を継続する必要は無い。
疑問に思ったファルシオンが魔法使いの塔の魔法使い達を動員してトラップやデージーの背後を調べ尽くせば、隣国のきな臭い噂も無く、この世界自体がデージーの思惑に振り回されているのを自浄しようとしていることが判明した。
アリッサは有能である為、その自浄作用に巻き込まれ、デージーにその事を利用されたらしい。
「ですが、疑問があります」
「ん?」
「時間を巻き戻す為に時間を飛ぶ時は同時に、だと思うのですが何故私が10歳迄遡ったのに、この人とは時間差があるのは何故でしょうか?」
この謎がどうしても解けなかったアリッサは正直にファルシオンに尋ねた。
「アリッサはドラゴンの様に、飛ぶ為の助走を必要としない。しかも、出発地点は違っても到着地点は変わらない。故にアレがどれ程必死になっても飛ぶ為の時間が開くんだ」
意味が解りません、と言いたげなアリッサの頭に手を乗せファルシオンが笑った。
「アリッサは10歳のあの日に戻る事を決めていただろ」
「はい。人生をやり直すなら、まだ選択肢が決まっていないあの日が一番良い、と思いましたので」
10歳のアリッサは、まだ人生の選択を迫られていない。だから巻き戻されたくは無いが、また過去に戻るならあの日にしよう、と決めていた。
「複雑だが目印の無い時間迷路で迷わず過去の一点に戻るには強い魔力が必要だが、凡人でも目印があれば戻れる」
ファルシオンも一度時間迷路を遡ったことがある為、ファルシオンの説明にアリッサは納得しているが、エリンジウム達はまだ理解が追いついていない様だ。
「アリッサは自力で同じ地点に戻っているが、この馬鹿はアリッサから伸びる鎖を頼りに、時間迷路を抜けようとしていたが、コイツは魔力が無いうえ、迷路の中の時間は外の時間と違い、恐ろしく速い」
「しかも鎖は元の時間に戻ると消えるから、アイツはいつも戻りたい時間じゃ無く、ギリギリの時間になるんですね」
ランタナがズバッと言う。
「そのまま迷路で永遠に迷ってれば、良かったのに」
「あんな所で迷子になるなんて絶対嫌よ」
マロウは心底呆れた様な顔で絶望感に染まるデージーを見た。
「アリッサの時間が進めば鎖が緩み、撓むから必死に手繰り寄せながら進んでいたんだろうが、な」
無駄な事を、とファルシオンが冷笑を浮かべながら呟いた。
「煩いわね。あんな孤児院や男爵家の貧乏生活に誰が戻りたいなんて思うもんか」
「違いますね。戻らなかったんじゃなく、魔力が無いから戻れなかったんでしょ」
ランタナがズバッと真実を言った。
「私の呪いも解けましたし、学園の幻覚魔法も解けましたので、貴女の味方は1人も居ません」
「幻覚魔法……。なにそれ」
デージーはミモザの話をまったく聞いていなかったようだ。
「気が付きませんでしたか?トラップが失敗したのに、殿下達の好感度が上がってなんてありえないのに」
キョトンとした顔でアリッサがデージーを見ると、デージーの顔色がどんどん悪くなって行く。
「まさか……全部……嘘」
「はい。まるっきり疑わないので、逆に心配になりました」
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