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未来を奪われた者と手に入れた者。
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「アドニスのお陰で、あの愚か者をこの家に入れなくて済みましたわね」
ミルフィリアとゼウリスの婚約が整うと、ローレルがオルセウスに話しかけた。
妻の言いたい事が分かるオルセウスは冷たい笑みを浮かべ、外に目を向けた。
前の時は、8歳のミルフィリアとアルレスの婚約が整った時、トーラス家の後継者として親族から養子を迎えた。
だが、そいつはミルフィリアを大切にするよう命じたのに、アルレス達と一緒にミルフィリアを断罪する側に回り、オルセウスはミルフィリアが投獄された時、そいつを斬り捨てた。
名前も思い出したく無いそいつは、今頃何処からも養子の話などない貧乏子爵の三男として地を這うような生活をしているだろう。
「アルレス殿下や偽聖女はこれからにするが、ミルフィリアを断罪した者達は辛酸を舐めて貰うよ」
義兄予定だった男は既に排除した。
後はアルレスの側近になる男2人。
護衛騎士と宰相令息だ。
「あら、ゼウリス殿下が王太子となられるのですから、あいつらの出番は無いのでは?」
「無くとも潰す」
前の時は王太子となる為、側近も実力のある身分の高い者で固められていたが、今のアルレスは影が薄く王族の、血のスペアと言う立場しかない。
なので、アルレスの側近は、厳選されず既にオルセウスの息が掛かった者が就いている。
「護衛騎士になる予定だった者には、既にオスカーが手を回しております」
オスカー。
幼いミルフィリアに命を救われ、時を巻き戻す時、聖女の杖を教会から盗んで来てミルフィリアのために命を落とした。
平民だが、魔力も強く剣も使える彼をオルセウスは騎士団に送り込んでいた。
「オスカーならば、貴族のプライドばかり強く、剣もたいして使えないアイツを蹴落とすのは造作も無いだろう」
「そんな者が、良く王族の護衛騎士になれたものね」
「騎士団も腐ってたんだよ」
愚か者の伯爵令息はそろそろ騎士団から追放されるに違いない。
「貴様」
「模擬試合で、手を抜けとは笑えますね」
折れた剣を握りながら尻餅をついて自分を睨む男を、オスカーは冷ややかに見下した。
ついさっき、騎士団の昇進試験でもある模擬試合で、貴族の自分に華を持たせろ、と言ってきた阿呆を一切の手心を加えず、叩きのめしていた。
「やれやれ、戦場では貴族だからと言って敵は手加減などしない。むしろ、貴族を討てば褒賞が出るから、率先して狙うだろうに」
立会人として模擬試合を見ていたポセイダスの呆れた声に、地べたに座り込む男は唇を噛んだ。
「ポセイダス王弟殿下の仰る通りだ。お前は一兵士から出直せ」
「そ、そんな……。お慈悲を」
唇を噛んでいた男が青褪めた顔を上げ、震えながら騎士団の指導教官の足にしがみ付いた。
折角、金やコネで騎士団に入れたのに、兵士に戻れば馬鹿にされるし、相当努力しなければ騎士団に戻る事など出来ない。
「教官。騎士団はいつの間に金やコネがものを言う様になった?」
ポセイダスの言葉に、教官達は青褪める。
王弟に賄賂が横行しているなど思われたら、国王の不評を買い、自分達も立場を失う総入れ替えもあり得る。
「お恥ずかしい話ですが、身分のあるもの達の驕りは我らも困っております」
指導教官でも平民出のものに対して、身分のあるもの達は指示を聞かない、と教官達は苦い物を噛んだ様な顔をした。
「やれやれ困ったものだ。剣の強さや騎士としての誇りは身分に準ずるものでは無い。君、名前は?」
「オスカーです。ポセイダス王弟殿下」
抜き身の剣を鞘に戻し、騎士の礼を取るオスカーはまごう事なき、凛々しい騎士の姿。
「まだ荒削りだが、良い腕だ。アルレス殿下が学園在学中は殿下の護衛官となり、殿下が卒業されたら王太子となるゼウリス殿下の護衛官になるがいい」
王族の護衛官は騎士でも花形な役目。
まして王子だけでなく、王太子の護衛官になれば、身分は騎士団の中でも高く、平民出の騎士だけで無く、全ての騎士にとっては憧れの存在だ。
目の前のオスカーはポセイダスからアルレスの護衛官として実績を付けた後、王太子の護衛官になる事を約束された。
平民出身の騎士では、異例の大抜擢である。
「有難きお言葉。これからも精進いたします」
オスカーは、ポセイダスに目だけで頷いた。
時が巻き戻されてから、進む方向が変わり、あの時とは違う日々が着実に進み始めている。
ミルフィリアとゼウリスの婚約が整うと、ローレルがオルセウスに話しかけた。
妻の言いたい事が分かるオルセウスは冷たい笑みを浮かべ、外に目を向けた。
前の時は、8歳のミルフィリアとアルレスの婚約が整った時、トーラス家の後継者として親族から養子を迎えた。
だが、そいつはミルフィリアを大切にするよう命じたのに、アルレス達と一緒にミルフィリアを断罪する側に回り、オルセウスはミルフィリアが投獄された時、そいつを斬り捨てた。
名前も思い出したく無いそいつは、今頃何処からも養子の話などない貧乏子爵の三男として地を這うような生活をしているだろう。
「アルレス殿下や偽聖女はこれからにするが、ミルフィリアを断罪した者達は辛酸を舐めて貰うよ」
義兄予定だった男は既に排除した。
後はアルレスの側近になる男2人。
護衛騎士と宰相令息だ。
「あら、ゼウリス殿下が王太子となられるのですから、あいつらの出番は無いのでは?」
「無くとも潰す」
前の時は王太子となる為、側近も実力のある身分の高い者で固められていたが、今のアルレスは影が薄く王族の、血のスペアと言う立場しかない。
なので、アルレスの側近は、厳選されず既にオルセウスの息が掛かった者が就いている。
「護衛騎士になる予定だった者には、既にオスカーが手を回しております」
オスカー。
幼いミルフィリアに命を救われ、時を巻き戻す時、聖女の杖を教会から盗んで来てミルフィリアのために命を落とした。
平民だが、魔力も強く剣も使える彼をオルセウスは騎士団に送り込んでいた。
「オスカーならば、貴族のプライドばかり強く、剣もたいして使えないアイツを蹴落とすのは造作も無いだろう」
「そんな者が、良く王族の護衛騎士になれたものね」
「騎士団も腐ってたんだよ」
愚か者の伯爵令息はそろそろ騎士団から追放されるに違いない。
「貴様」
「模擬試合で、手を抜けとは笑えますね」
折れた剣を握りながら尻餅をついて自分を睨む男を、オスカーは冷ややかに見下した。
ついさっき、騎士団の昇進試験でもある模擬試合で、貴族の自分に華を持たせろ、と言ってきた阿呆を一切の手心を加えず、叩きのめしていた。
「やれやれ、戦場では貴族だからと言って敵は手加減などしない。むしろ、貴族を討てば褒賞が出るから、率先して狙うだろうに」
立会人として模擬試合を見ていたポセイダスの呆れた声に、地べたに座り込む男は唇を噛んだ。
「ポセイダス王弟殿下の仰る通りだ。お前は一兵士から出直せ」
「そ、そんな……。お慈悲を」
唇を噛んでいた男が青褪めた顔を上げ、震えながら騎士団の指導教官の足にしがみ付いた。
折角、金やコネで騎士団に入れたのに、兵士に戻れば馬鹿にされるし、相当努力しなければ騎士団に戻る事など出来ない。
「教官。騎士団はいつの間に金やコネがものを言う様になった?」
ポセイダスの言葉に、教官達は青褪める。
王弟に賄賂が横行しているなど思われたら、国王の不評を買い、自分達も立場を失う総入れ替えもあり得る。
「お恥ずかしい話ですが、身分のあるもの達の驕りは我らも困っております」
指導教官でも平民出のものに対して、身分のあるもの達は指示を聞かない、と教官達は苦い物を噛んだ様な顔をした。
「やれやれ困ったものだ。剣の強さや騎士としての誇りは身分に準ずるものでは無い。君、名前は?」
「オスカーです。ポセイダス王弟殿下」
抜き身の剣を鞘に戻し、騎士の礼を取るオスカーはまごう事なき、凛々しい騎士の姿。
「まだ荒削りだが、良い腕だ。アルレス殿下が学園在学中は殿下の護衛官となり、殿下が卒業されたら王太子となるゼウリス殿下の護衛官になるがいい」
王族の護衛官は騎士でも花形な役目。
まして王子だけでなく、王太子の護衛官になれば、身分は騎士団の中でも高く、平民出の騎士だけで無く、全ての騎士にとっては憧れの存在だ。
目の前のオスカーはポセイダスからアルレスの護衛官として実績を付けた後、王太子の護衛官になる事を約束された。
平民出身の騎士では、異例の大抜擢である。
「有難きお言葉。これからも精進いたします」
オスカーは、ポセイダスに目だけで頷いた。
時が巻き戻されてから、進む方向が変わり、あの時とは違う日々が着実に進み始めている。
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