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魔族襲来とミルフィリアの実力。
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学園も、新入生歓迎ムードから落ち着きを取り戻し、皆が学生の本分である学業や魔術の会得に研鑽を積んでいる時、騒ぎが起こった。
「ベヒーモスが……」
魔獣のベヒーモスが、学園内に突然現れたのだ。
魔獣ベヒーモスは、苔むした小山の様な魔獣で、見た目とは裏腹な俊敏な動きで獲物を押し潰し、ドロドロに溶かしてしから吸収する。
しかもかなり再生力が強く巨体な為、駆逐するのが厄介だった。
「結界に守られている筈なのに……」
「後ろに魔族の実力者がいる様です」
「しかも、ベヒーモスは魔族の毒に汚染されてます」
次々と学園の護衛官達から状況報告が上がるなか、ミルフィリアは立ち上がりユーリアに後方支援を頼む。
「ユーリア様は怪我人の手当てに行ってください」
「はい。聖女候補生を集めすぐに向かいますわ」
実戦を知らない学生達は負傷した者達を囲み戦々恐々となっているが、ミルフィリアとテーミスそしてアルレスは教師達が抑え込んでいるベヒーモスのもとに走った。
「なんて酷い」
アルレス達はあまりの惨状に愕然とした。
美しかった庭は瘴気に汚染されて草木は枯れ空気さえ澱み、ガゼボや噴水などは瓦礫と化している。
「アルレス殿下」
必死の形相でベヒーモスの侵入を抑える教師達がギョッとした顔でアルレス達を見た。
「ベヒーモスは大地と緑に属する魔獣だ。俺が焼き払う」
剣を抜き、魔力を放出すればベヒーモスが僅かに怯む。
「わたくしは、毒に汚染された大地を浄化しますわ」
テーミスの浄化魔法のおかげで息を吸うのが楽になった教師達は一瞬だけ肩から力が抜けた。
「此処で奴を抹殺する」
「好きになんてさせませんわ」
抜きん出た力を持つ王族2人の力強い言葉に教師達が頷く。
「アルレス殿下、テーミス殿下。ベヒーモスはお任せします。私は、あそこで笑っている魔族を封じます」
ミルフィリアが言うより早く、ベヒーモスの後ろに居る魔族へ、無詠唱で攻撃魔法と封印魔法を掛けた。
3人が現れてもニヤニヤ笑っていた魔族だが、ミルフィリアから放たれた光の槍が腰にぶら下げていた袋を弾き飛ばすと驚いた顔をしてミルフィリアの魔法から逃げようとしたが、雨の様に降り注ぐ光の槍や投網のように広がる力に絡め取られもがいていたが、あっという間に手のひら大の水晶球に封じられてしまった。
「消し炭にしてやる」
ミルフィリアの力に呆気に取られた教師達だが、アルレスは自分の魔力を高め、剣を振り下ろし魔族の防御膜が無くなったベヒーモスを一瞬で焼き払った。
「わたくしは、まだまだですわ」
毒に汚染された大地を浄化しているテーミスがため息をつくが、テーミスの力もかなり強い。
「プルル」
木や土が焼けた匂いは残っているが皆が安堵の顔をした時、可愛い鳴き声が、ミルフィリアの足元から聞こえた。
アルレスがミルフィリアの足元を見ると、赤い目をウルウルさせ、漆黒の毛並みをした子供のグリフォンが袋から這い出し、必死にミルフィリアの足にしがみ付いていた。
「トーラス侯爵令嬢。何故、グリフォンが?」
「おそらく、この水晶球に封じられた方のおやつ予定だったのでは?」
ミルフィリアが水晶球を覗き込むと、中の魔族が物凄く怒っていた。
「グリフォンをおやつ代わりにするなんて……」
あり得ないだろう、と思いつつアルレスが水晶球を覗き込むと、額に手を当て唸った。
「トーラス侯爵令嬢。俺、目が悪くなったか?魔王ルシードの側近、アーモンが見えるんだけど」
「いえ、私もそう見えますので正常だと思います」
もっと弱い魔族だと思って捕まえたミルフィリアも困惑していた。
「オリンシアと魔族の国は敵対していない筈なのに、どうしてベヒーモスで攻撃して来たのでしょう?」
「王宮に連れて行って、父上の判断を聞こう」
捕まえた相手が大物過ぎて、アルレス達では判断出来なかった。
「あと、この子、どうしましょう?」
ミルフィリアはさっきまで自分の足にしがみついてプルルと悲しげに鳴いていたグリフォンの、撫でる手に甘える仕草が不覚にも可愛い、と思ってしまった。
「……それも父上にお聞きしよう」
魔獣とは言え、グリフォンは王家の紋章に使われるほど、神聖な種族。
更に白や茶色の毛並みが多いグリフォンにおいて漆黒の毛並みは希少種。無碍には出来ない。
学園は、ベヒーモス騒ぎで臨時休校になり、アルレス達はアーモンが封じられた水晶球とグリフォンを連れて、そのまま王宮に向かった。
「ベヒーモスが……」
魔獣のベヒーモスが、学園内に突然現れたのだ。
魔獣ベヒーモスは、苔むした小山の様な魔獣で、見た目とは裏腹な俊敏な動きで獲物を押し潰し、ドロドロに溶かしてしから吸収する。
しかもかなり再生力が強く巨体な為、駆逐するのが厄介だった。
「結界に守られている筈なのに……」
「後ろに魔族の実力者がいる様です」
「しかも、ベヒーモスは魔族の毒に汚染されてます」
次々と学園の護衛官達から状況報告が上がるなか、ミルフィリアは立ち上がりユーリアに後方支援を頼む。
「ユーリア様は怪我人の手当てに行ってください」
「はい。聖女候補生を集めすぐに向かいますわ」
実戦を知らない学生達は負傷した者達を囲み戦々恐々となっているが、ミルフィリアとテーミスそしてアルレスは教師達が抑え込んでいるベヒーモスのもとに走った。
「なんて酷い」
アルレス達はあまりの惨状に愕然とした。
美しかった庭は瘴気に汚染されて草木は枯れ空気さえ澱み、ガゼボや噴水などは瓦礫と化している。
「アルレス殿下」
必死の形相でベヒーモスの侵入を抑える教師達がギョッとした顔でアルレス達を見た。
「ベヒーモスは大地と緑に属する魔獣だ。俺が焼き払う」
剣を抜き、魔力を放出すればベヒーモスが僅かに怯む。
「わたくしは、毒に汚染された大地を浄化しますわ」
テーミスの浄化魔法のおかげで息を吸うのが楽になった教師達は一瞬だけ肩から力が抜けた。
「此処で奴を抹殺する」
「好きになんてさせませんわ」
抜きん出た力を持つ王族2人の力強い言葉に教師達が頷く。
「アルレス殿下、テーミス殿下。ベヒーモスはお任せします。私は、あそこで笑っている魔族を封じます」
ミルフィリアが言うより早く、ベヒーモスの後ろに居る魔族へ、無詠唱で攻撃魔法と封印魔法を掛けた。
3人が現れてもニヤニヤ笑っていた魔族だが、ミルフィリアから放たれた光の槍が腰にぶら下げていた袋を弾き飛ばすと驚いた顔をしてミルフィリアの魔法から逃げようとしたが、雨の様に降り注ぐ光の槍や投網のように広がる力に絡め取られもがいていたが、あっという間に手のひら大の水晶球に封じられてしまった。
「消し炭にしてやる」
ミルフィリアの力に呆気に取られた教師達だが、アルレスは自分の魔力を高め、剣を振り下ろし魔族の防御膜が無くなったベヒーモスを一瞬で焼き払った。
「わたくしは、まだまだですわ」
毒に汚染された大地を浄化しているテーミスがため息をつくが、テーミスの力もかなり強い。
「プルル」
木や土が焼けた匂いは残っているが皆が安堵の顔をした時、可愛い鳴き声が、ミルフィリアの足元から聞こえた。
アルレスがミルフィリアの足元を見ると、赤い目をウルウルさせ、漆黒の毛並みをした子供のグリフォンが袋から這い出し、必死にミルフィリアの足にしがみ付いていた。
「トーラス侯爵令嬢。何故、グリフォンが?」
「おそらく、この水晶球に封じられた方のおやつ予定だったのでは?」
ミルフィリアが水晶球を覗き込むと、中の魔族が物凄く怒っていた。
「グリフォンをおやつ代わりにするなんて……」
あり得ないだろう、と思いつつアルレスが水晶球を覗き込むと、額に手を当て唸った。
「トーラス侯爵令嬢。俺、目が悪くなったか?魔王ルシードの側近、アーモンが見えるんだけど」
「いえ、私もそう見えますので正常だと思います」
もっと弱い魔族だと思って捕まえたミルフィリアも困惑していた。
「オリンシアと魔族の国は敵対していない筈なのに、どうしてベヒーモスで攻撃して来たのでしょう?」
「王宮に連れて行って、父上の判断を聞こう」
捕まえた相手が大物過ぎて、アルレス達では判断出来なかった。
「あと、この子、どうしましょう?」
ミルフィリアはさっきまで自分の足にしがみついてプルルと悲しげに鳴いていたグリフォンの、撫でる手に甘える仕草が不覚にも可愛い、と思ってしまった。
「……それも父上にお聞きしよう」
魔獣とは言え、グリフォンは王家の紋章に使われるほど、神聖な種族。
更に白や茶色の毛並みが多いグリフォンにおいて漆黒の毛並みは希少種。無碍には出来ない。
学園は、ベヒーモス騒ぎで臨時休校になり、アルレス達はアーモンが封じられた水晶球とグリフォンを連れて、そのまま王宮に向かった。
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