【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月

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魔女ヒロインと女神アクヤク。

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「物語の内容はかなり似ていて、魔女ヒロインの強欲をアクヤク令嬢が打ち砕くんです」
「アクヤク令嬢!ミルフィリアが呼ばれていた名称だ」

アドンの言葉にオルセウスとミルフィリアが驚いて目を丸くした。

「この物語が1番詳しく書いてあり、女神アクヤクの加護を受けた令嬢、即ち、アクヤク令嬢が魔女ヒロインの邪悪な欲望を打ち砕き、王国と王家に安寧をもたらした、とあります」

アドンが1番古く分厚い本を持ち、熱心に説明をする。

「面白いのは、ほとんどの本に書いてあるけど、この令嬢を見付けられるのが、魔女ヒロインだけなのよ」

メフレスも説明に乗り出してきた。

皆が手近にある本を読めば、確かにどの本もヒロインと呼ばれるものが1人の令嬢を『アクヤク令嬢』だ、と言っている。

「しかも、だいたいアクヤク令嬢は王子の婚約者で、魔女ヒロインは平民出か男爵などの低い爵位のものばかりなんです」

アドンは物語を暗記しているかの様に何冊もの本を持って熱弁をふるっている。

「爵位の低い者が、か。王家の乗っ取りか、国を滅ぼすのが目的の様だな」

オルセウスの思案顔にローレルが本を手に取りながら

「過去、突然王位継承者が変わった国などにも魔女ヒロインの毒牙が……」

過去、幾つもの王国が突然衰退し歴史の波に消えていった。

「あり得るな。平民出や低位の貴族に国の在り方など理解出来るとは思えん」

ポセイダスの言葉に、その場にいる者達は大きく頷いた。

「お父様。私、あの人からアクヤク令嬢だと言われましたが、その時はなんですか?と思いましたが、この国の為に働けると知った今は、誇りにさえ思えます」

ミルフィリアの頬がうっすら赤くなり、キラキラした目には喜びの色が溢れていた。

これからの話は魔女ヒロインことエリスをこのまま泳がせ、決定的な証拠を掴んだ後処罰する事となり、ミルフィリアとローレルは王妃のお茶会に呼ばれ退席し、オルセウスとゼウリス達は仕事に戻った。


「お前達はこれで良いのか?」

王宮の長い廊下で、前を歩くゼウリスの言葉にオルセウス達は唇を噛んだ。

「納得していません。何度、トーラス侯爵令嬢が魔女の罠にかかり、非業の最期を迎えたか、俺は覚えている」

アルレスの血を吐く様な声に、オルセウスも苦いものを噛んだ様な顔をする。

「トーラス侯爵。君も納得しているとは思えないが、気のせいか?」
「いいえ。たった数日で痩せ細りボロボロになって帰ってきたミルフィリアの姿が今も忘れられません」

ボロボロだったミルフィリアの遺体。
親として、今でもどうしようも無い憤りが胸を焼く。

「では、私の行動に手を貸してくれ」

少しだけ振り返り、水色の瞳が氷の様な冷たさで2人を見る。
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