【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月

文字の大きさ
43 / 46

[本編完結] 幸せになる努力が出来る世界。

しおりを挟む
「もう大丈夫だ」

オルセウス達がホッとした顔で暮れていく空を見た。

過去では、早朝にミルフィリアは処刑された。
だが、ミルフィリアが処刑された忌まわしい日が無事に終わる。

「長い日々でしたが、有意義な日々でもありましたね」

ローレルの顔にも安堵の笑みが浮かぶ。

3日前のパーティーで憎いエリスを魔女として断罪し、罪人になった彼女は、今では魔族の国で軟禁されている。

「ミルフィリアだけでなく、多くの方達が幸せを掴みました」

オルセウスが静かに頷く。

死の恐怖に抑えつけられていたゼウリスは健康を取り戻し20歳の誕生日に立太子する事が決まっている。

エリスと望まない結婚をする筈だったアルレスは卒業と同時に軍に入り、ゼウリスの剣になる事を決め、いずれは王籍から臣下に降るらしい。

「そういえば、ノドスがエルフ伯爵領に迎えられる、と聞きましたわ」
「フローラ嬢の伴侶として実績を積む、とか聞いた」
「それとバーニスとリリアン嬢の結婚式は3ヶ月後だったかしら?」

消し去った過去の、憎かった男達の幸せを喜べる事が不思議と嬉しい。

「ユーリア嬢も正式に次期聖女として卒業後教会に入るし、オスカーはゼウリス殿下の護衛官になった」

何もかも違う未来。

「わたくし、あの子はわたくし達に言わないだけで過去の事を覚えていて頑張っているのか、と思ってましたの」

ローレルの言葉にオルセウスも頷く。
だけど、ミルフィリアには記憶はなかった。子供の頃は無意識に、成長するに従って過去の記憶は無いが、ミルフィリアは自分で考え、行動する事でたった1人が満足する世界では無く、多くの者達が幸せになる努力が出来る未来を手繰り寄せた。


数年後

王太子となったゼウリスのエスコートを受けながらミルフィリアが大きくなったお腹を大事そうに手を当て、ゆっくりとソファに腰を下ろした。

去年、ミルフィリアが世継ぎとなる第一子を出産して国はお祭り騒ぎだったのは新しい記憶だ。

「お久しぶりです。ユーリア様」

正式に聖女となったユーリアとの対面は半年振りくらいだ。

「お久しぶりでございます。王太子妃殿下。体調いかがですか?」

堅苦しい口調につい2人とも笑ってしまった。

「公の場では公私を弁えなければなりませんが……」
「難しいわね。それよりユーリア、結婚すると聞きましたわ。おめでとう」

聖女でもあるユーリアの結婚は教会内でも物議を醸し出したが、聖属性の魔力を持った女子が結婚しないで教会に尽くすのはおかしい、とゼウリスだけでなくクロイヤス王も働き掛け、改善された。

「まさかアルレスと結婚するとは思わなかったよ」

騎士団の重鎮になりつつあるアルレスとの結婚にゼウリスも驚いた。
ユーリアは小さく微笑み、小箱をゼウリスに渡した。

「もう、これはゼウリス様に渡すべきだ、とアルレス様が申しておりました」

中身は見なくてもわかる。
それぞれが、それぞれの道を歩み始めたのだから、過去は思い出にすれば良い。

「それは何ですの?」

ミルフィリアが不思議そうにゼウリスを見る。

「これは、アルレスの御守りだったものだ。きっと、生まれてくる私達の子供のために渡してくれたんだよ」

ゼウリスの優しい言葉にミルフィリアは頷いた。
悲しい出来事はあのパーティーの日に終わった。

「お幸せに」
「はい。幸せになる努力をしますわ」

忙しい日々な中、あの日から皆自分の道を歩み始めている。
3人は頷き合い、明るい表情で近況を話し合った。

もう、理不尽な幸せを押し付ける者は居ない。

fin


後書きとお礼
長い話にお付き合い頂き、感謝の言葉もありません。
本当に数ある話の中から見つけ出して下さった皆様に感謝しております。
後日談をいくつか載せて完結しますので、宜しければそちらもお付き合いください。
次の話は設定の為、宝石図鑑を買ったものを始めたい、と思っています。
本当にありがとうございます。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。

パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。 将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。 平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。 根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。 その突然の失踪に、大騒ぎ。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

病弱令嬢…?いいえ私は…

月樹《つき》
恋愛
 アイゼンハルト公爵家の長女クララは生まれた時からずっと病弱で、一日の大半をベッドの上で過ごして来た。対するクララの婚約者で第三皇子のペーターはとても元気な少年で…寝たきりのクララの元を訪ねることもなく、学園生活を満喫していた。そんなクララも15歳となり、何とかペーターと同じ学園に通えることになったのだが…そこで明るく元気な男爵令嬢ハイジと仲睦まじくするペーター皇子の姿を見て…ショックのあまり倒れてしまった…。 (ペーターにハイジって…某アルプスの少女やんか〜い!!) 謎の言葉を頭に思い浮かべながら…。 このお話は他サイトにも投稿しております。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

処理中です...