俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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幼少期編

7.セバスとアリムの思い

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セバスsid

私はセバス。
このバードナー公爵家に代々仕える家系だ。

バードナー家は穏やかな性格とは裏腹にずっと昔から尋問官としての役目を務めていることでも有名である。

代々の当主の中には優しすぎるが故に尋問官と言う重役に耐えきれず心を壊す方もいたとは聞いているが、今代の当主であるアリム・バードナー公爵閣下は大変優秀な方で、心の中でのオンオフが完璧にできる方だ。

それに比べて旦那様のご子息であらせられるイズリル様はとても気が弱く、とても心優しく、尋問官など到底務まるような性格をしていなかったのだが、ある日木から落ちた日を境にガラリと性格が変わられた。

それが良かったのか悪かったのかは分からないのだが、旦那様も奥様もイズリル様のことを溺愛されているので、何も問題はない。

かく言う私もイズリル様が以前よりも自分の意見をはっきり言うようになったり、より活発になったりとした事で何故だがとても安心している。

そんなある日の出来事だった。

いつもより屋敷が騒がしく、何事かと騒動の原因の部屋まで行くと、そこの部屋はこの国の第一王子であるメイル様へ用意した客室だった。

嫌な予感がする。

中を覗くとそこにはイズリル様とその腕の中で震えているメイル様、そしてメイドが倒れていた。

「坊っちゃま、この騒ぎは一体!?」

慌ててそう尋ねると

「セバス、賊が我が家に侵入していたぞ。どう責任を取るつもりだ?」

そう言葉を発するイズリル様、いつものような笑顔はどこにもなく、冷徹な瞳で私を見下ろしながら殺気を放つ姿を見て言葉を詰まらせる。

「っ!」

「この気絶している女を直ちに尋問しろ」

「はっ!直ちに!おい、誰か旦那様に連絡しろ!」

イズリル様の殺気に当てられて動けない使用人たちを無理矢理動かしてこの元凶の女を拘束すると地下にある尋問部屋へと連れて行く。

イズリル様から感じられた絶対的強者の風格に殺気。あの様な冷徹な瞳は旦那様でも真似できない程だと私は思った。

このまま私が動けなければ自分が尋問をしてもいいのだぞと、暗にそう告げていたのだろう、あの様なイズリル様はもう二度と見たくない。

早くいつもの日常に戻さなくては。

この日常を壊した罪はデカイぞ。

「反逆者には鉄槌を」

そう言うと旦那様と合流するまでの間、尋問器具の準備へと取り掛かるのであった。

end




アリム・バードナーsid

その日はいつもの様に王宮に出仕していた。
ついでにこの国の国王で、俺の友人であるフリーデンス・グリムワルトに抗議していた。

「おい、フリーデンス。お前息子に対してどんな接し方をしたらああなるんだ!」

「いや、ほら、それはさぁ、メイルの事は大好きなんだが、本人も心を閉ざしてるからあまり刺激しない方がいいのかなって思って少し距離を置いたら更に関係悪化して悪循環、みたいな?」

「みたいな?じゃない!そんなもんじゃないぞあれは!完全に人間不信だし、全てにおいて絶望してる目だあれは!ウチの天使がいなかったらどうなっていた事か!」

「なに!?聞き捨てならないぞ!うちの子の方が天使だ!」

「そんな事今はどうでもいい!イズは賢い子だがどこか抜けていてな、黒髪が不吉の象徴だと言うことも知らなかったし、しかもその黒髪を綺麗で好きだと言っていたのだぞ!それでどれだけメイル殿下が救われた事か!」

「は...?それは本当かい?」

「ああ、本当だしイズの本心だ。」

ドサリとフリーデンスの執務室にある長椅子に腰掛けると俺は投げやりにそう言った。

「そうか...」

そう言って考え込むフリーデンス。

「それにしても、第二王妃派の過激派の動きが最近ヤケに活発だな」

「ああ、それに関しては俺も心配していてな。アルフレッドの事を王太子にと推してくる。だからメイルのことをアリムに頼もうと思ったのだけれど...」

「第二王妃とその実家のバルツィーニ侯爵は白だな。」

「ああ、それは間違いない。そもそも第二王妃のフランチェスカはその様なことは望んでいないし、第一王妃のジェラーニ・フィルカとは良好な関係だ、むしろ良好すぎる。ヤキモチ妬いちゃう。」

「相変わらず情けないやつめ」

そんな話をしていると何やら廊下が騒がしくなってきた。

バンッ

「し、失礼いたいます!アリム・バードナー公爵閣下、至急屋敷にお戻りください!」

「何があった」

「公爵邸にて賊の侵入を確認!ご子息のイズリル様が拘束したとのことです!」

「なに!?」

ガタンと立ち上がると早急に邸に戻る準備をする。

「フリーデンス、話はまた今度だ。」

「ああ、早く行ってくれ。そしてお仕事頑張ってくれ、

「ぬかせ」

ニヤリと笑うと俺は外に待たせてある馬車に乗り込んだ。





邸に着くとセバスが出迎えた。

「賊は何人だ」

「一人でございます」

「一人だと?舐められたものだな。して、メイル殿下はご無事か?」

「は、過呼吸を起こした様ですが坊ちゃまが宥めておいででした。そして恐らくは坊っちゃまも不吉の象徴の意味を知ったのではないかと...」

「そうか...。」

「旦那様、坊ちゃまはもう我々の知っている様な方ではありません、いつでも尋問官に相応しい精神力と力、両方をかねそろえているかと。」

「ほう、セバスにそこまで言わせるか」

「出来れば私はもう二度とあの様な坊ちゃまは見たくありませんな。」

「そうか。ではそうさせない為にも俺が情報を限界まで吐き出させようではないか。」

「はっ、どこまでもお供いたします。旦那様」

そう言って俺は地下にある尋問部屋へと降りていった。

end
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