【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

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spin-offージェイクと騎士ー

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 エリア様とマヒロの結婚式から早、数ヶ月が経っていた。

 エリア様とはすっかり気の合う友人になり、身分の差も気にしない器の大きさを日々感じている。

 盛大に行われた結婚式も、俺のホテルを貸し切って挙げてくれた。お蔭で良い宣伝にもなり感謝している。

 考えてみればマヒロと出会った時から、俺のような人間に真剣に相談を持ちかけるような方だ。あの人は身分で判断しない。見習うべきだと痛感した。

 きっとマヒロのことも大切にしてくれると信じている。


 俺はというと……、あの頃マヒロに恋をしていた。

 初めは変な子だな……なんて思っていたが、コロコロ変わる表情や誰とでも直ぐ仲良くなる人懐っこさに惹かれるまで、そう時間はかからなかった。

 マヒロは俺の立場も全く分かっていない。
 他の従業員からは、ホテルの後継者として接してくる者が殆どだったが、マヒロだけが普通に接してくれた。

 それに加えて、マヒロのヒート事件。

 あの時、マヒロも俺に抗うのを途中でやめたのには気付いていた。もしあの時、俺が頸を噛んでいれば違う未来があっただろうか。


 でも……あの頃の俺は、どうも上手く恋愛ができないでいた。ホテルの後継者として、父の顔色や、ホテルの将来を担っているという責任感に苛まれていた。

 それなのに、自分よりももっと身分の高い人が最も簡単にマヒロと番になったのだ。

 正直驚いた。

 マヒロは、言わば身寄りのない人間だ。それにも拘らず、何の躊躇もなくあの方はマヒロを『運命の番だ』と言って公爵家に連れて帰った。

 俺に向かって堂々と「マヒロが好きだ」と言って退けた。

 結局のところ、俺には勇気がなかったのだ。

 世間体を気にしていた自分を恥じた。

 もっと素直になればよかったのに。

 今でも時折そんなことを考える。

 勿論、二人には幸せでいてほしいと願っている。最近ではようやく自分自身もそういう相手が欲しいなんて、真剣に思うようになった。

 自惚れではなく、それなりにモテてきた人生ではある。経験がないわけでもないが、マヒロのフェロモンほど甘い香りは未だに嗅いだことがない。

 パーティーに参加しているオメガのお客様がいくら発情しても、それに当てられたことなど一度もなかった。

 マヒロが居なくなった今、平穏な日々が続いている。

 良く言えば平和。悪く言えば……退屈。

 特にトラブルも起こらない、仕事も順調に熟している。

 しかし何かが足りない。心にポッカリと穴が空いたような虚しさを、常に感じているのだ。

 いつかは俺も、エリア様のように一目で番だと言い切れる人と出会うだろうか。


ドアをノックする音が聞こえた。返事をすると、従業員が顔を見せた。

「ジェイクマネージャー、そろそろ集合の時間です」

「分かった、直ぐに向かう」


 副総支配人になっても、まだまだ現場も見ていたい。今でもパーティー会場で他のスタッフと共に働くこともしょっちゅうある。

 どんなパーティーでも、楽しそうに過ごしているお客様の顔が見える。自分は心底パーティーが好きだと言えよう。

 今夜は騎士団のパーティーが開かれる。

 姿見の前で全身をチェックし、部屋を出た。




★⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎

 ジェイクのスピンオフ、始まりました!
不定期更新になりますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
 新作「オオカミ様に仕える巫子はΩの獣人」も連載中です。こちらも宜しくお願いします。
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