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spin-offージェイクと騎士ー
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「ジェイク、新しく入った団員を紹介するよ」
声を掛けてきたのは、馴染みの騎士団員でベルガルドという男だ。ワイルドな見た目に反し優しそうな喋りで、パーティーの度に女性を口説き落としている。
その割に一人に絞らないのは「まだ自由でいたいから』だそうだ。
「ルイ! ルイ、こっちに来て!」
呼ばれたそのルイという騎士団員は、若くて小柄な男性であった。顔立ちも童顔で、赤みの強い茶髪は子供の髪のように艶がある。
騎士団員ならαのハズだが、それを疑ってしまうほどあどけない。
「初めまして、クリマティークホテルのジェイク・アリベールと申します。本日はお越し頂き、ありがとうございます」
「は……初めまして……。ル……ルイ・カレル……」
「こら、ルイ。堂々としてないと騎士団員として箔が付かないといつも言っているだろう? こう見えて剣の腕は良いんだけどな、普段はこの通りなんだ」
「……すみません」
消えそうな声で言った姿が、どうも小動物を思わせる。
きっと人に慣れさせるために連れて来られたのだろう。
「あまりパーティーには慣れていませんか?」
「あの……初めてで……」
初めてのパーティーでこの広い会場なら、そりゃ緊張しても仕方がない。
「ベルガルドさん、慣れるまで私が話していますよ」
「でも、ジェイクも忙しいだろ?」
「気になさらないで。ほら、あの女性がさっきからベルガルドさんばかりに視線を送っていますよ? あまり待たせない方がいいのでは?」
少し離れたところに立っている、二人組の女性。最初からベルガルドさん目当てだったのか、会場に入ってきた時からいい距離を保っていた。
「全く、仕方ないな。ジェイクの見立ては外れたことがない。お蔭で今夜も楽しめそうだ」
じゃあ、ルイを頼むよ。そういうとベルガルドさんは女性を口説きに去って行った。
「ルイさんとお呼びしても?」
「は……はい……」
「ここは目立ちますから、壁際へ移動しましょう」
そっと背中に手を添え、移動を促した。
「あっ!!」
ビクンッ!
オーバーにルイさんが体を離す。男同士だというのに、触られるのが嫌だったか……。
「申し訳ありません」
「い、いえ……僕こそ……すみ……せん……」
どんどん小さくなる声は、すでに聞き取れないほどになっていた。
そんなに緊張しなくても……とは思うが、過度に緊張して数々の失敗を起こしていた人を、もう一人知っている。
「ドリンクでもお持ちしましょうか?」
俯いたまま、コクコクと頷いた。
「シャンパンはお好きですか?」
今度は横に首を振る。
「……水で……」
水……。こんなパーティー会場で、流石に水は準備していない。
ジュースでも大丈夫か? と聞くと、ようやく頷いてくれた。
まさか未成年ではないだろうが……。なかなか読めない人だ。
でも、俺は無意識に楽しんでいた。
久しぶりの感覚だ。
分かりにくい人ほど、仲良くなりたくなってしまう。
彼は、いきなりグイグイ迫られるのは苦手なのだろう。
従業員にジュースの準備を頼みながら、壁際に身を潜めて立っている彼から目が離せないでいた。
このワクワクの正体を、俺はまだ気付いていない。
声を掛けてきたのは、馴染みの騎士団員でベルガルドという男だ。ワイルドな見た目に反し優しそうな喋りで、パーティーの度に女性を口説き落としている。
その割に一人に絞らないのは「まだ自由でいたいから』だそうだ。
「ルイ! ルイ、こっちに来て!」
呼ばれたそのルイという騎士団員は、若くて小柄な男性であった。顔立ちも童顔で、赤みの強い茶髪は子供の髪のように艶がある。
騎士団員ならαのハズだが、それを疑ってしまうほどあどけない。
「初めまして、クリマティークホテルのジェイク・アリベールと申します。本日はお越し頂き、ありがとうございます」
「は……初めまして……。ル……ルイ・カレル……」
「こら、ルイ。堂々としてないと騎士団員として箔が付かないといつも言っているだろう? こう見えて剣の腕は良いんだけどな、普段はこの通りなんだ」
「……すみません」
消えそうな声で言った姿が、どうも小動物を思わせる。
きっと人に慣れさせるために連れて来られたのだろう。
「あまりパーティーには慣れていませんか?」
「あの……初めてで……」
初めてのパーティーでこの広い会場なら、そりゃ緊張しても仕方がない。
「ベルガルドさん、慣れるまで私が話していますよ」
「でも、ジェイクも忙しいだろ?」
「気になさらないで。ほら、あの女性がさっきからベルガルドさんばかりに視線を送っていますよ? あまり待たせない方がいいのでは?」
少し離れたところに立っている、二人組の女性。最初からベルガルドさん目当てだったのか、会場に入ってきた時からいい距離を保っていた。
「全く、仕方ないな。ジェイクの見立ては外れたことがない。お蔭で今夜も楽しめそうだ」
じゃあ、ルイを頼むよ。そういうとベルガルドさんは女性を口説きに去って行った。
「ルイさんとお呼びしても?」
「は……はい……」
「ここは目立ちますから、壁際へ移動しましょう」
そっと背中に手を添え、移動を促した。
「あっ!!」
ビクンッ!
オーバーにルイさんが体を離す。男同士だというのに、触られるのが嫌だったか……。
「申し訳ありません」
「い、いえ……僕こそ……すみ……せん……」
どんどん小さくなる声は、すでに聞き取れないほどになっていた。
そんなに緊張しなくても……とは思うが、過度に緊張して数々の失敗を起こしていた人を、もう一人知っている。
「ドリンクでもお持ちしましょうか?」
俯いたまま、コクコクと頷いた。
「シャンパンはお好きですか?」
今度は横に首を振る。
「……水で……」
水……。こんなパーティー会場で、流石に水は準備していない。
ジュースでも大丈夫か? と聞くと、ようやく頷いてくれた。
まさか未成年ではないだろうが……。なかなか読めない人だ。
でも、俺は無意識に楽しんでいた。
久しぶりの感覚だ。
分かりにくい人ほど、仲良くなりたくなってしまう。
彼は、いきなりグイグイ迫られるのは苦手なのだろう。
従業員にジュースの準備を頼みながら、壁際に身を潜めて立っている彼から目が離せないでいた。
このワクワクの正体を、俺はまだ気付いていない。
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