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spin-offージェイクと騎士ー
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お客様のプライベートを探るような真似は絶対にしないのだが、どうしてもルイさんのことが頭から離れない。
初めはパーティーが苦手なのかと思っていたが、どうやらそうではないような気がしてきた。
ホテルから逃げるように立ち去るルイさんの後ろ姿を思い出しては物思いに耽てしまう。
「騎士団……」
ベルガルドさんが連れてきているのだ。騎士団であることに嘘はない。
でもそれを疑ってしまうほど、己の存在を目立たなくしようと必死なのだ。
騎士団になれたなら、誇らしいはずだ。仮にもパーティーに来て騎士団に入っていることを隠すなど考えられない。
深掘りしてはいけないと自分のに言い聞かせても、やめようとすればするほルイさんが頭を支配する。
「一人のお客様に執着など……。どうかしている。仕事に集中しなければ」
また、ダンスパーティーに来るだろう。ベルガルドさんのお気に入りのようだし、また少しずつ話を聞けばいい。
しかし次のパーティーにもその次にも、ルイさんは来なかった。聞けば体調を崩しているという。
「風邪でも引かれましたか?」
ベルガルドさんに尋ねたところ、そうではないと言った。
「子供の頃から持病があるんだと言っていたよ。時々、薬の副作用で体調を崩すらしい」
αなのに華奢なのはそのせいもあるんじゃないか? と続けて言った。仕事も一週間ほど休んだりしていたとのことだった。
まだ病み上がりなため、夜は出かけず休んでいると言っていた。
「まあ、また息抜きに連れてくるから、そん時はよろしく頼むよ。ジェイクには気を許しているからな」
「勿論です! お大事になさってくださいとお伝えください」
ベルガルドさんがパーティー会場へと入って行った。
早速女性から声を掛けられているのを、背後から見ていた。
(持病……)
もしかして、今までも調子悪い時があったのかもしれない。そうだとすれば、ホテルマンとして失格だ。
客様の異変に気付かないなんて、まだまだ修行が足りない。
執着しないよう自分に言い聞かせたばかりだと言うのに、益々気掛かりになってきた。
お見舞いに行ってもいいか、くらいベルガルドさんに聞けばよかったと、後悔した。
次のパーティーには会えるだろうか……。
ルイさんがいなくても、パーティーはいつも通り盛り上がっている。少し寂しく感じているのは俺くらいなものだろう。
ホテルに来るたびに俺の陰に隠れていたのに……。なんとなく、どこかにひっそりと立っているような気がして、その姿を探してしまう自分がいた。
そもそも、パーティーでしか会えないのが意地らしい。
どうにか会えないものかと考えてしまう。
次のダンスパーティーには来るだろうか。それよりも、プライベートで会う手段があれば良いのに……。
全く、最近の俺は変だ。こんなの、まるでルイさんに恋でもしているみたいじゃないか。
(……恋?)
ドクンと大きく心臓が跳ねた。確信をつかれたかのような衝撃で、思わず会場内で立ち止まる。
「恋……だって……?」
不意に出てきた感情なのに、あまりにもしっくりくる答えのように思えた。
(そうか、俺はルイさんに恋をしているのか)
他人の感情を読み取るのは得意だと自負していたのに、自分のこととなると、こんなにも鈍感だったなんて。
「ふふ……、全く情けない」
今にして思えば、ルイさんと出会ってからはマヒロのことさえ思い出さなくなっていた。そのくらい自分の頭を支配する存在になっていたのにも関わらず、ようやく自分の気持ちを自覚するなんて呆れてしまう。
久しぶりの感覚に、普段の計算高さは通用しないようだ。
初めはパーティーが苦手なのかと思っていたが、どうやらそうではないような気がしてきた。
ホテルから逃げるように立ち去るルイさんの後ろ姿を思い出しては物思いに耽てしまう。
「騎士団……」
ベルガルドさんが連れてきているのだ。騎士団であることに嘘はない。
でもそれを疑ってしまうほど、己の存在を目立たなくしようと必死なのだ。
騎士団になれたなら、誇らしいはずだ。仮にもパーティーに来て騎士団に入っていることを隠すなど考えられない。
深掘りしてはいけないと自分のに言い聞かせても、やめようとすればするほルイさんが頭を支配する。
「一人のお客様に執着など……。どうかしている。仕事に集中しなければ」
また、ダンスパーティーに来るだろう。ベルガルドさんのお気に入りのようだし、また少しずつ話を聞けばいい。
しかし次のパーティーにもその次にも、ルイさんは来なかった。聞けば体調を崩しているという。
「風邪でも引かれましたか?」
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「子供の頃から持病があるんだと言っていたよ。時々、薬の副作用で体調を崩すらしい」
αなのに華奢なのはそのせいもあるんじゃないか? と続けて言った。仕事も一週間ほど休んだりしていたとのことだった。
まだ病み上がりなため、夜は出かけず休んでいると言っていた。
「まあ、また息抜きに連れてくるから、そん時はよろしく頼むよ。ジェイクには気を許しているからな」
「勿論です! お大事になさってくださいとお伝えください」
ベルガルドさんがパーティー会場へと入って行った。
早速女性から声を掛けられているのを、背後から見ていた。
(持病……)
もしかして、今までも調子悪い時があったのかもしれない。そうだとすれば、ホテルマンとして失格だ。
客様の異変に気付かないなんて、まだまだ修行が足りない。
執着しないよう自分に言い聞かせたばかりだと言うのに、益々気掛かりになってきた。
お見舞いに行ってもいいか、くらいベルガルドさんに聞けばよかったと、後悔した。
次のパーティーには会えるだろうか……。
ルイさんがいなくても、パーティーはいつも通り盛り上がっている。少し寂しく感じているのは俺くらいなものだろう。
ホテルに来るたびに俺の陰に隠れていたのに……。なんとなく、どこかにひっそりと立っているような気がして、その姿を探してしまう自分がいた。
そもそも、パーティーでしか会えないのが意地らしい。
どうにか会えないものかと考えてしまう。
次のダンスパーティーには来るだろうか。それよりも、プライベートで会う手段があれば良いのに……。
全く、最近の俺は変だ。こんなの、まるでルイさんに恋でもしているみたいじゃないか。
(……恋?)
ドクンと大きく心臓が跳ねた。確信をつかれたかのような衝撃で、思わず会場内で立ち止まる。
「恋……だって……?」
不意に出てきた感情なのに、あまりにもしっくりくる答えのように思えた。
(そうか、俺はルイさんに恋をしているのか)
他人の感情を読み取るのは得意だと自負していたのに、自分のこととなると、こんなにも鈍感だったなんて。
「ふふ……、全く情けない」
今にして思えば、ルイさんと出会ってからはマヒロのことさえ思い出さなくなっていた。そのくらい自分の頭を支配する存在になっていたのにも関わらず、ようやく自分の気持ちを自覚するなんて呆れてしまう。
久しぶりの感覚に、普段の計算高さは通用しないようだ。
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