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spin-offージェイクと騎士ー
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ルイが目覚めた時、俺の部屋にいたらまた驚いて挙動不審になる気がした。
こんな時は医務室が一番いいだろう。秘密も守ってもらえる。
「おやおや、副支配人になって尚、ここの常連だなんてね」
先生に呆れたように笑われたが、それも仕方ない。
マヒロの時にも随分とお世話になっていたし、その後もホールに立つたびに最低一人は連れて来ている。
「今回は内密でお願いしたく……」
「じゃあ、奥の部屋へ運んでくれるかい?」
先生は初老くらいの女性であるが、とても勇ましいという言葉がピッタリだ。相手が誰だろうと物怖じしない。
それが酔い潰れた騎士団員だろうが副支配人の俺だろうが、発情したオメガだろうが、先生にとってはみんな患者なのだ。
「自分で抑制剤を打って眠りました」
注射器を渡す。どうも強い薬を使っているように思えて仕方がない。
先生が薬の名前を確認すると、その予想はどうやら当たっていた。
「この華奢な体にこれを……。これじゃあ、逆に体が蝕まれるよ」
「そんなに? 彼、どうやらΩを隠して騎士団に入っているんです」
「うーん……。そうれは……環境も、この子自身も危険すぎる。辞めるのが一番いい」
先生は困り果てたように言った。
ベルガルドさんの言葉を思い出す。仕事中のルイは活き活きとしていると。それを他の人にも見せてやりたい。そんな風に言っていた。
きっと誰よりも騎士団の仕事が好きなんだ。だからこんな薬を服用してまで……。
悪いとは思いつつ、ルイの鞄に入っていた錠剤の抑制剤も先生に見せた。
やはりコッチもかなり強い薬のようだ。
先生はテキパキと点滴の準備をしている。
点滴を打っている間は楽に眠れるだろうと説明してくれたので、その間にベルガルドさんに連絡をしに、一度医務室を出た。
ドアを閉めて背中をもたれさせた。
(どうする。どうするべきなんだ……)
思考をフル回転して考える。
騎士団は続けられるよう、根回しはできるだろう。エリア様伝いに、リアム様を頼ればいい。
しかし……、問題は薬だ。
先生が言うには、ルイの体に対して規定の二から三倍の量に値するとのことだった。
そんなの危険すぎる。薬だけはやめさせないと……。
「まさか……持病はオメガのことを言っていたのか……」
それで、薬の副作用で一週間ほど寝込むのであれば、辻褄が合う。
廊下を渡りながら、全てを整理していく。
パーティーが苦手だと言っていた。しかし、休日には騎士団員と交友関係を持っているようだった。
ならば、人嫌いというわけではないのではないのか?
じゃあ、なぜパーティーには参加せず俺の陰に隠れていたのか……。仲の良い騎士団員も参加しているはずであろうに……。
もしかすると、会場で発情するのを恐れていたとすれば……。
俺が初めてルイに触れた時、過剰なまでに驚き怯えていたのも、オメガだとバレると思ったから……?
ずっと香りを感じなかったのは、あの強すぎる薬のせいだろう。
少食のように感じていたが、薬が原因しているとも考えられる。
「あぁ、全部はオメガを隠すためだったのか……」
頭を抱えた。
もっと早く、自分を頼ってほしかった。そうすれば何か少しでも助けてあげられたかもしれないのに。
騎士団にバレないようにしよう。
きっと騎士団はルイの生き甲斐なんだ。
その場所を奪われないように、俺がなんとかする。
「しっかりしろ!! ジェイク!!」
両方の頬を叩いて気合いを入れる。
とにかく、完全に体調が回復するまでは仕事には行かせられない。
オメガのフェロモンに抗うのがどんなに大変かを分かっているから言える。
あれを耐えられるアルファなど早々いない。
ホテルを出た。騎士団の宿舎へ向けて馬車を走らせた。
こんな時は医務室が一番いいだろう。秘密も守ってもらえる。
「おやおや、副支配人になって尚、ここの常連だなんてね」
先生に呆れたように笑われたが、それも仕方ない。
マヒロの時にも随分とお世話になっていたし、その後もホールに立つたびに最低一人は連れて来ている。
「今回は内密でお願いしたく……」
「じゃあ、奥の部屋へ運んでくれるかい?」
先生は初老くらいの女性であるが、とても勇ましいという言葉がピッタリだ。相手が誰だろうと物怖じしない。
それが酔い潰れた騎士団員だろうが副支配人の俺だろうが、発情したオメガだろうが、先生にとってはみんな患者なのだ。
「自分で抑制剤を打って眠りました」
注射器を渡す。どうも強い薬を使っているように思えて仕方がない。
先生が薬の名前を確認すると、その予想はどうやら当たっていた。
「この華奢な体にこれを……。これじゃあ、逆に体が蝕まれるよ」
「そんなに? 彼、どうやらΩを隠して騎士団に入っているんです」
「うーん……。そうれは……環境も、この子自身も危険すぎる。辞めるのが一番いい」
先生は困り果てたように言った。
ベルガルドさんの言葉を思い出す。仕事中のルイは活き活きとしていると。それを他の人にも見せてやりたい。そんな風に言っていた。
きっと誰よりも騎士団の仕事が好きなんだ。だからこんな薬を服用してまで……。
悪いとは思いつつ、ルイの鞄に入っていた錠剤の抑制剤も先生に見せた。
やはりコッチもかなり強い薬のようだ。
先生はテキパキと点滴の準備をしている。
点滴を打っている間は楽に眠れるだろうと説明してくれたので、その間にベルガルドさんに連絡をしに、一度医務室を出た。
ドアを閉めて背中をもたれさせた。
(どうする。どうするべきなんだ……)
思考をフル回転して考える。
騎士団は続けられるよう、根回しはできるだろう。エリア様伝いに、リアム様を頼ればいい。
しかし……、問題は薬だ。
先生が言うには、ルイの体に対して規定の二から三倍の量に値するとのことだった。
そんなの危険すぎる。薬だけはやめさせないと……。
「まさか……持病はオメガのことを言っていたのか……」
それで、薬の副作用で一週間ほど寝込むのであれば、辻褄が合う。
廊下を渡りながら、全てを整理していく。
パーティーが苦手だと言っていた。しかし、休日には騎士団員と交友関係を持っているようだった。
ならば、人嫌いというわけではないのではないのか?
じゃあ、なぜパーティーには参加せず俺の陰に隠れていたのか……。仲の良い騎士団員も参加しているはずであろうに……。
もしかすると、会場で発情するのを恐れていたとすれば……。
俺が初めてルイに触れた時、過剰なまでに驚き怯えていたのも、オメガだとバレると思ったから……?
ずっと香りを感じなかったのは、あの強すぎる薬のせいだろう。
少食のように感じていたが、薬が原因しているとも考えられる。
「あぁ、全部はオメガを隠すためだったのか……」
頭を抱えた。
もっと早く、自分を頼ってほしかった。そうすれば何か少しでも助けてあげられたかもしれないのに。
騎士団にバレないようにしよう。
きっと騎士団はルイの生き甲斐なんだ。
その場所を奪われないように、俺がなんとかする。
「しっかりしろ!! ジェイク!!」
両方の頬を叩いて気合いを入れる。
とにかく、完全に体調が回復するまでは仕事には行かせられない。
オメガのフェロモンに抗うのがどんなに大変かを分かっているから言える。
あれを耐えられるアルファなど早々いない。
ホテルを出た。騎士団の宿舎へ向けて馬車を走らせた。
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