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44.お菓子の園
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嫌がるノアを引っ張って――実際はノアが転移したので彼が自分で来たようなものだけど――パーティーの会場にやってきた。
ドレスは両親がきちんとしたものを持たせてくれていたし、髪は手先の器用なノアがジェイドに通信魔法で指示を受けながらそれらしく仕上げてくれた。
ノアもきちんと髪を撫で付けて――これは私がやってやった。男性の髪型の正解など分からないので見様見真似だ――大魔導師に支給されるローブに身を包んでいる。
ちなみにあのローブ、基本は魔法研究所の研究員に支給されている式典用のものと同じで、ちょっと装飾が増えている程度だ。
前世でどこかにやってしまった時には他の研究員の物を借りて式典に参加したこともあるくらいの違いしかない。
肩にフェリを載せていたら意外とバレなかった。
改めて隣のノアの顔を見上げる。
やっぱり綺麗な顔をしている、と思う。睫毛が長いし、鼻筋がすっと通っている。きちんと着飾るとなおさらだ。
是非ともその外見を遺憾なく発揮して、お嬢さんたちをドカンと落としてしまってほしい。
「大人しくしてなよ」
「はい!」
手を繋いだノアにそう言い聞かせるように言われて元気に返事をしたのも束の間、きらきらのシャンデリアに照らされたシャンパングラスに心を奪われてしまう。
何だか具合のよさそうなワインも振舞われている。さすがに6歳の身体では飲むわけにはいかないけれど、ああ、早く大人になりたい。
気を取り直して、用意された軽食に意識を向ける。招待してくれた年若いお嬢さんのいるお屋敷だからか、色とりどりで可愛らしいサイズのお菓子がたくさん並んでいる。
ベリーが乗ったタルトは絶対に食べるとして、マカロン、シュークリーム、マドレーヌ、フロランタン……これはお腹の容量を効率的に活用しなくては。
「何かジュースと……いや、ジュース2つ」
「大魔導師様!」
ノアが両手にジュースを受け取ったタイミングで、この前家にやってきたお嬢さんが現れた。
つやつやキラキラした生地と装飾品がシャンデリアの光を乱反射してたいへんに輝いていらっしゃる。
髪の毛のセットもばっちり、今日もしっかり着飾っていて、素敵だ。
前世ではこういう会合では毎回指定のローブで楽をさせてもらっていたので、きちんとドレスアップしているお嬢さんを見ると「偉いなぁ!」という気持ちになる。
頑張っていてとっても偉い。私は私にできないことを頑張る人のことを心底尊敬している。
「お越しくださりありがとうございます!」
「……コチラコソ招待アリガトウ」
「父と母もぜひご挨拶をと申していますの。今呼んで参りますわね!」
「え、いや」
「あ、あの、そちらが噂の……」
「黒の大魔導師様?」
ノアが何故か棒読みのカタコトで挨拶していると、あっという間にお嬢さんたちが集まってきた。
十代中頃から二十代前半くらいの、まさに適齢期のお嬢さんたちだ。
どのお嬢さんもばっちり着飾っていて、みんなに平等に拍手を送りたくなる。
すごい。本当にすごい。
今世では私ももうちょっと、興味を持って頑張れるだろうか。
きらきらしたものも綺麗なものも、別に嫌いというわけではないんだし。
ただちょっと、とっつきにくいというか、すぐ壊れたり燃えたりしそうで怖いとか、そういう感じがしていたので――あとそれよりもっと優先していたものがあったので、手を出していなかっただけで。
触れてみたら意外と、楽しめたりするのかな。
お嬢さんに取り囲まれたノアをそこに残して、私は単身、お菓子の園へと出撃する。
まずは軽い口当たりで、甘さが控えめなものから摂取するのが効率的だ。フルーツ系とかいいかもしれない。
ドレスは両親がきちんとしたものを持たせてくれていたし、髪は手先の器用なノアがジェイドに通信魔法で指示を受けながらそれらしく仕上げてくれた。
ノアもきちんと髪を撫で付けて――これは私がやってやった。男性の髪型の正解など分からないので見様見真似だ――大魔導師に支給されるローブに身を包んでいる。
ちなみにあのローブ、基本は魔法研究所の研究員に支給されている式典用のものと同じで、ちょっと装飾が増えている程度だ。
前世でどこかにやってしまった時には他の研究員の物を借りて式典に参加したこともあるくらいの違いしかない。
肩にフェリを載せていたら意外とバレなかった。
改めて隣のノアの顔を見上げる。
やっぱり綺麗な顔をしている、と思う。睫毛が長いし、鼻筋がすっと通っている。きちんと着飾るとなおさらだ。
是非ともその外見を遺憾なく発揮して、お嬢さんたちをドカンと落としてしまってほしい。
「大人しくしてなよ」
「はい!」
手を繋いだノアにそう言い聞かせるように言われて元気に返事をしたのも束の間、きらきらのシャンデリアに照らされたシャンパングラスに心を奪われてしまう。
何だか具合のよさそうなワインも振舞われている。さすがに6歳の身体では飲むわけにはいかないけれど、ああ、早く大人になりたい。
気を取り直して、用意された軽食に意識を向ける。招待してくれた年若いお嬢さんのいるお屋敷だからか、色とりどりで可愛らしいサイズのお菓子がたくさん並んでいる。
ベリーが乗ったタルトは絶対に食べるとして、マカロン、シュークリーム、マドレーヌ、フロランタン……これはお腹の容量を効率的に活用しなくては。
「何かジュースと……いや、ジュース2つ」
「大魔導師様!」
ノアが両手にジュースを受け取ったタイミングで、この前家にやってきたお嬢さんが現れた。
つやつやキラキラした生地と装飾品がシャンデリアの光を乱反射してたいへんに輝いていらっしゃる。
髪の毛のセットもばっちり、今日もしっかり着飾っていて、素敵だ。
前世ではこういう会合では毎回指定のローブで楽をさせてもらっていたので、きちんとドレスアップしているお嬢さんを見ると「偉いなぁ!」という気持ちになる。
頑張っていてとっても偉い。私は私にできないことを頑張る人のことを心底尊敬している。
「お越しくださりありがとうございます!」
「……コチラコソ招待アリガトウ」
「父と母もぜひご挨拶をと申していますの。今呼んで参りますわね!」
「え、いや」
「あ、あの、そちらが噂の……」
「黒の大魔導師様?」
ノアが何故か棒読みのカタコトで挨拶していると、あっという間にお嬢さんたちが集まってきた。
十代中頃から二十代前半くらいの、まさに適齢期のお嬢さんたちだ。
どのお嬢さんもばっちり着飾っていて、みんなに平等に拍手を送りたくなる。
すごい。本当にすごい。
今世では私ももうちょっと、興味を持って頑張れるだろうか。
きらきらしたものも綺麗なものも、別に嫌いというわけではないんだし。
ただちょっと、とっつきにくいというか、すぐ壊れたり燃えたりしそうで怖いとか、そういう感じがしていたので――あとそれよりもっと優先していたものがあったので、手を出していなかっただけで。
触れてみたら意外と、楽しめたりするのかな。
お嬢さんに取り囲まれたノアをそこに残して、私は単身、お菓子の園へと出撃する。
まずは軽い口当たりで、甘さが控えめなものから摂取するのが効率的だ。フルーツ系とかいいかもしれない。
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