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第2章 夏祭りとサマーパーティー
第23話 当て馬
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サマーパーティーまでの一週間を限定して、アリナはシオンの好感度を少し上げることに成功した。
一週間であれば、ポプラの花を使って【時戻り】の魔法を使うことができる。リシェリアからはできる限り魔法は使わないようにと言われているけれどアリナはいざという時は使うつもりだ。
(まあ、シオンのドレス獲得は余裕だったけどね)
あとはこのサマーパーティーでシオンの婚約者である、クラリッサ・オルサに接触するだけなのだけれど……。
アリナはすこし後悔していた。
何よりもシオンと一緒にパーティー会場に足を踏み入れたことを。
シオンの姿を見つけると「貴公子様ぁ~」と黄色い歓声を上げながら、令嬢たちが近寄ってくる。「貴公子」と呼ばれてシオンが一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに愛想笑いに戻っている。
シオンが【アンぺルラの貴公子】と呼ばれるのは、代々騎士の家系であるアンぺルラ侯爵家の中で、一番騎士らしくないと思われているからだ。多くの人はシオンの騎士としての実力を認めているが、多くの人がシオンが騎士として致命的な欠陥を持っていることを知っている。
だから令嬢たちの多くは、シオンを騎士ではなく「貴公子」と呼んだ。
ゲームではヒロインと関わることによって、シオンは貴公子と呼び名を徐々に受け入れていくことになるのだけれど、現段階はそうではない。
(う、女子の圧が)
シオンを見て色めき立っていた令嬢たちは、一緒にいるアリナに「なによこの女」という視線を向けてくる。その圧を受けて、アリナは後悔していた。
(リシェリア、助けてぇ)
先ほどリシェリアと顔を見合わせて、お互い頷き合ったばかりだというのに、アリナはさっそく逃げ出したかった。
(元引きこもりには、つらい)
「アリナさん、どうされましたか? 浮かない顔をしているようですが」
「あ、リシェリア……様の姿が見えないなって」
「ああ、オゼリエ令嬢ですが。……二人は仲が良いんですね」
「はい! 大親友ですから」
「……そうですか。羨ましいです」
「シオン様は、仲の良い方はいないのですか?」
ちょうど親友の話になったから、シオンに話題を振ってみる。
シオンは少し悩む素振りを見せながらも、口を開いた。
「幼馴染みが一人います。昔から、私が騎士になることを応援してくれていて」
「良い方なんですね」
「……ええ、彼女は婚約者でもありますから。とても愛らしく、一途に私のことを信じてくれているのです」
目を伏せながらシオンが語ったのは、シオンの幼馴染みにして婚約者のクラリッサ・オルサのことだった。
アンぺルラ家とオルサ家は、昔から繋がりがあり、シオンとクラリッサは幼い頃から交流があった。
【シオン、わたくしは応援しているのよ。あなたが騎士になることを】
これはゲームにおけるクラリッサの台詞だっただろうか。
クラリッサはシオンの騎士としての道を応援していて、常にシオンに寄り添おうとしていた。
だが、クラリッサは少し夢見がちな少女だった。
シオンに理想の騎士像を重ねていて、シオンはそれを重みに感じている。
そんな彼女の夢見がちな瞳が、さらにシオンを不安にさせて、シオンはクラリッサから無意識の内に距離を置いてしまった。
(でもそれは少し勘違いなんだよね。クラリッサが求めているのはただの騎士像ではなくて、シオン自身の……)
「シオン」
ゲームのシナリオのことを思い出していると、小鳥が鳴くような愛らしい声が親し気にシオンを呼んだ。
ふわふわと柔らかそうなブロンドの髪に、穢れを知らなそうな澄んだ碧い瞳。
シオンの幼馴染みにして婚約者のクラリッサ・オルサだ。
「シオン、久しぶりね。夏休みに入ってからずっと会えていなかったから、少し寂しかったのだわ」
「クラリッサ……。すみません。護衛の仕事がありまして。手紙でも伝えたと思うのですが」
「ええ、知ってるわ。そちらにいらっしゃるのが、アリナさんよね? 特別な能力を持っているって聞いたのだけれど、どんな魔法を持っているのかしら?」
キラキラと好奇心の塊のような瞳に見つめられて、アリナはたじろぎそうになった。
なんというか陰の要素が少しもなく、陽の圧が凄い。
「能力については秘匿事項となっています」
「まあ、そうなのね。わたくしったら何も知らなくて、困らせてしまったわ。ごめんなさい、アリナさん」
「いえ、気にしてないので、大丈夫です」
「お優しい方なのね! お友達になれそうだわ」
感動するように碧い瞳をキラキラとさせている姿は、まだ幼い子供のようにも思える。しかもこれは嘘偽りのない素だから困ったものだ。
近づいてきたクラリッサが、アリナの手を取る。
「お友達になってくださらない?」
「はい、もちろんです」
(よし。これでクラリッサと仲良くなれば、シオンのメンヘラエンドを阻止できるはず……!)
そっとクラリッサがアリナの耳に口を寄せてくる。
「その、このあと余裕があればお話しできないかしら? シオンの仕事中の姿とか……そういう話が聞きたいの」
「……ええ、もちろんです。私に、お任せください。恋バナしましょう」
「恋バナ?」
「はい、女の子だけで恋のお話をするんです」
「恋……恋だなんて……」
ポッとクラリッサの白い肌が赤く染まる。恋をする乙女そのものの姿に、アリナはにやけそうになる口許を隠した。
ゲームのクラリッサはシオンに心の底からの好意をよせていた。その好意は、理想の騎士像のシオンに向けられたものでない。シオン自身に向けられていたものだ。
だけどほとんどのシナリオで、そんなクラリッサがシオンと結ばれることはない。
なぜならクラリッサは途中で気づいてしまうのだ。自分の気持ちが先走りすぎていることに。そして自ら身を引いて、クラリッサはシオンの弟と婚約を結び直す。それがシオンをさらに不安にさせることになるとは知らずに。
二人はただすれ違っているだけ。
(ゲームでは選択権しかなかったから二人の仲を取り持つのに難儀したけど、いまは選択権なんかなくても話せるからいけるはず!)
アリナはギュッと拳を握りしめる。
(いまから私は、ヒロインではなくって当て馬よ!)
そう心意気を新たにすると、アリナはクラリッサと共にシオンの傍を離れた。
シオンが護衛としてついてこようとしてきたが、「女子会なので男子はNGです」ときっぱり断ると、少し寂しそうな顔をしながらも許してくれた。それでも話が届かない範囲で見守っていると言っていたけれど。
「恋バナ……いい、響きね。わたくし、楽しみなのだわ」
「ふふ、あっちの方で話しましょうねぇ~」
人のいないテラスに出る。
テラスの扉は開けたままで、アリナたちはコソコソと内緒話をするように恋の話で盛り上がるのだった。
一週間であれば、ポプラの花を使って【時戻り】の魔法を使うことができる。リシェリアからはできる限り魔法は使わないようにと言われているけれどアリナはいざという時は使うつもりだ。
(まあ、シオンのドレス獲得は余裕だったけどね)
あとはこのサマーパーティーでシオンの婚約者である、クラリッサ・オルサに接触するだけなのだけれど……。
アリナはすこし後悔していた。
何よりもシオンと一緒にパーティー会場に足を踏み入れたことを。
シオンの姿を見つけると「貴公子様ぁ~」と黄色い歓声を上げながら、令嬢たちが近寄ってくる。「貴公子」と呼ばれてシオンが一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに愛想笑いに戻っている。
シオンが【アンぺルラの貴公子】と呼ばれるのは、代々騎士の家系であるアンぺルラ侯爵家の中で、一番騎士らしくないと思われているからだ。多くの人はシオンの騎士としての実力を認めているが、多くの人がシオンが騎士として致命的な欠陥を持っていることを知っている。
だから令嬢たちの多くは、シオンを騎士ではなく「貴公子」と呼んだ。
ゲームではヒロインと関わることによって、シオンは貴公子と呼び名を徐々に受け入れていくことになるのだけれど、現段階はそうではない。
(う、女子の圧が)
シオンを見て色めき立っていた令嬢たちは、一緒にいるアリナに「なによこの女」という視線を向けてくる。その圧を受けて、アリナは後悔していた。
(リシェリア、助けてぇ)
先ほどリシェリアと顔を見合わせて、お互い頷き合ったばかりだというのに、アリナはさっそく逃げ出したかった。
(元引きこもりには、つらい)
「アリナさん、どうされましたか? 浮かない顔をしているようですが」
「あ、リシェリア……様の姿が見えないなって」
「ああ、オゼリエ令嬢ですが。……二人は仲が良いんですね」
「はい! 大親友ですから」
「……そうですか。羨ましいです」
「シオン様は、仲の良い方はいないのですか?」
ちょうど親友の話になったから、シオンに話題を振ってみる。
シオンは少し悩む素振りを見せながらも、口を開いた。
「幼馴染みが一人います。昔から、私が騎士になることを応援してくれていて」
「良い方なんですね」
「……ええ、彼女は婚約者でもありますから。とても愛らしく、一途に私のことを信じてくれているのです」
目を伏せながらシオンが語ったのは、シオンの幼馴染みにして婚約者のクラリッサ・オルサのことだった。
アンぺルラ家とオルサ家は、昔から繋がりがあり、シオンとクラリッサは幼い頃から交流があった。
【シオン、わたくしは応援しているのよ。あなたが騎士になることを】
これはゲームにおけるクラリッサの台詞だっただろうか。
クラリッサはシオンの騎士としての道を応援していて、常にシオンに寄り添おうとしていた。
だが、クラリッサは少し夢見がちな少女だった。
シオンに理想の騎士像を重ねていて、シオンはそれを重みに感じている。
そんな彼女の夢見がちな瞳が、さらにシオンを不安にさせて、シオンはクラリッサから無意識の内に距離を置いてしまった。
(でもそれは少し勘違いなんだよね。クラリッサが求めているのはただの騎士像ではなくて、シオン自身の……)
「シオン」
ゲームのシナリオのことを思い出していると、小鳥が鳴くような愛らしい声が親し気にシオンを呼んだ。
ふわふわと柔らかそうなブロンドの髪に、穢れを知らなそうな澄んだ碧い瞳。
シオンの幼馴染みにして婚約者のクラリッサ・オルサだ。
「シオン、久しぶりね。夏休みに入ってからずっと会えていなかったから、少し寂しかったのだわ」
「クラリッサ……。すみません。護衛の仕事がありまして。手紙でも伝えたと思うのですが」
「ええ、知ってるわ。そちらにいらっしゃるのが、アリナさんよね? 特別な能力を持っているって聞いたのだけれど、どんな魔法を持っているのかしら?」
キラキラと好奇心の塊のような瞳に見つめられて、アリナはたじろぎそうになった。
なんというか陰の要素が少しもなく、陽の圧が凄い。
「能力については秘匿事項となっています」
「まあ、そうなのね。わたくしったら何も知らなくて、困らせてしまったわ。ごめんなさい、アリナさん」
「いえ、気にしてないので、大丈夫です」
「お優しい方なのね! お友達になれそうだわ」
感動するように碧い瞳をキラキラとさせている姿は、まだ幼い子供のようにも思える。しかもこれは嘘偽りのない素だから困ったものだ。
近づいてきたクラリッサが、アリナの手を取る。
「お友達になってくださらない?」
「はい、もちろんです」
(よし。これでクラリッサと仲良くなれば、シオンのメンヘラエンドを阻止できるはず……!)
そっとクラリッサがアリナの耳に口を寄せてくる。
「その、このあと余裕があればお話しできないかしら? シオンの仕事中の姿とか……そういう話が聞きたいの」
「……ええ、もちろんです。私に、お任せください。恋バナしましょう」
「恋バナ?」
「はい、女の子だけで恋のお話をするんです」
「恋……恋だなんて……」
ポッとクラリッサの白い肌が赤く染まる。恋をする乙女そのものの姿に、アリナはにやけそうになる口許を隠した。
ゲームのクラリッサはシオンに心の底からの好意をよせていた。その好意は、理想の騎士像のシオンに向けられたものでない。シオン自身に向けられていたものだ。
だけどほとんどのシナリオで、そんなクラリッサがシオンと結ばれることはない。
なぜならクラリッサは途中で気づいてしまうのだ。自分の気持ちが先走りすぎていることに。そして自ら身を引いて、クラリッサはシオンの弟と婚約を結び直す。それがシオンをさらに不安にさせることになるとは知らずに。
二人はただすれ違っているだけ。
(ゲームでは選択権しかなかったから二人の仲を取り持つのに難儀したけど、いまは選択権なんかなくても話せるからいけるはず!)
アリナはギュッと拳を握りしめる。
(いまから私は、ヒロインではなくって当て馬よ!)
そう心意気を新たにすると、アリナはクラリッサと共にシオンの傍を離れた。
シオンが護衛としてついてこようとしてきたが、「女子会なので男子はNGです」ときっぱり断ると、少し寂しそうな顔をしながらも許してくれた。それでも話が届かない範囲で見守っていると言っていたけれど。
「恋バナ……いい、響きね。わたくし、楽しみなのだわ」
「ふふ、あっちの方で話しましょうねぇ~」
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