いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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三十限目 後輩

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 おねショタとは、主に漫画作品のジャンルにおいて、年上の女性(おねえさん)と年端も行かない少年(ショタ)とのカップリングを指す俗語。
 ショタコンに代表する少年性愛や、もしくは年の差カップルなどのカテゴリ内に属する細分化されたジャンルである。
「但し、この説明は今回のお話とあまり関係がないかも知れないしあるかも知れないのだわ」
「おいろっちゃん。解説枠をちっちゃんに取られてるぞ!それでいいのか!?」
 
 <三十限目 後輩>
 
「いやぁ今回で『いろはにほへとちりになれ!』も三十話かー!めでたいなぁ!」
 それはいつもの下校時の事だった。いつも通り補習を行い、いつも通り現れた本能寺を波留がボコボコにし、いつも通り帰る途中。いつも通りじゃなかったのは。
「あ、あの!」
 小柄な少年に声をかけられた事だ。
「おん?誰?」
「む?知らない子だ」
「何でしょう?ワタクシ達に何か御用ですか?」
 小柄な少年に六花が要件を尋ねると少年は勇気を振り絞る様に唇を強く噛み締め、言葉を放った。
「一目惚れしました!ボクと付き合って下さい!!!」
 ・・・三人に沈黙が流れた。
「「「誰に!?」」」
 暫くの沈黙が流れた後、三人は一斉に同じ言葉を放った。少年は三人いる状態で公開告白をしたのだ。
「あの、そちらの方です」
 少年が恥ずかしそうに指で特定の人物を指す。その人物とは。
「む?・・・む?」
 指刺された波留が暫く疑問符を浮かべながらいろはと六花を見て、指の方向を再度確認する。
「む!!?私!??」
「は、はい」
 顔を真っ赤に染めた少年を見るに、どうやら間違いない様だ。
「マジかよ!!この中なら私が一番可愛い自覚あるのに!!」
「そういうところがモテないんですよ」
「でも一目惚れって言ってたぞ。つまり内面は関係ない訳だ」
 六花の説得力のある言葉にいろはは今回のみ有効な一手を繰り出す。今回に限った話なら確かにいろはが正しい。
「そうですね、ワタクシ達が彼の名前を知らない様に、彼もワタクシを知らないんですね」
「は、はい。お恥ずかしながら」
 名前も知らない女性によくもまあ告白が出来たものだといろはは感心しながら少年を見ていた。
「んじゃお前の名前は?」
「はい。ボクの名前は六道莉里斗(りくどうりりと)。中学の一年です」
 つまりいろは達の二個下の後輩という訳だ。同じ制服を着ているのでそこは間違えようがない。
「私は石森いろは。こっちはろっちゃんとはっちゃんだ」
「その説明では分かりませんよ。ワタクシは六谷六花。こちらは橋本波留さんです」
「む、よろしく」
 自己紹介を終えると莉里斗は明るい表情で笑う。
「波留先輩ですか!とっても可愛い名前ですね!ボク、ますます好きになっちゃいました!」
「む!?名前で好かれたのは初めて」
「なあ、私たちの名前は無視か?いろは先輩だぞー?」
「勿論聞いていましたよ。いろは先輩、六花先輩」
 莉里斗はいろはと六花の名前を言って人懐っこい笑顔を見せる。その破壊力は凄くショタコンなら一発で恋に堕ちる程の可愛らしさだった。
「・・・こいつ、自分の顔が可愛い事自覚してんだろ」
「えっと、それは。・・・えへ」
「自覚してるぞ!はっちゃん気をつけろ!こいつ危険だぞ!」
 目を泳がせて舌を出してウインクする莉里斗にいろはが波留を庇う様に隠す。
「何してるんですかあなたは」
「む、ろーは分かってない。この子、なかなか強いぞ」
「おや、その反応は脈ありですか!?末長くよろしくお願いします。結婚式は様式がいいですか?和式がいいですか?」
「いい奴っぽいけどやっぱこの作品に出てくるだけはあるぜ!!!こいつも変人枠だ!!!」
 初対面の人間に変人と言ってのけるいろはに莉里斗は笑顔を崩さない。内心でキレているという様子もないので本当に何とも思っていないのだろう。
「それで、どうですか?ボクと付き合ってくれますか?」
 莉里斗が片膝をついて波留の手を握る。そして上目遣いで波留に告白の答えを聞く。その動きは紳士的な動きを迷子の子猫の様な瞳で行う事で最後までギャップたっぷりだった。が、ショタ好きの人間にとっては致命傷となる一撃だった。
「む、むむむ」
「はっちゃん!?付き合うのか!?付き合っちまうのか!?」
「はわわわわわ!」
 随分と外野がうるさい告白だが、それはまあ今更だ。波留はその辺は気にしない。だが。
「む、私の事を好きって言ってくれるのは嬉しい」
「じゃあ!」
「でも、私はあなたの事をよく知らないし、あなたも私の事をよく知らないでしょ?だから、友達から始めよう」
「・・・それは、遠回しの拒否ですか?」
 莉里斗が悲しそうな瞳で今にも泣きそうになるが、波留は静かに頭を横に振った。
「む、違う。本当に友達になりたいと思っている。私は未だに恋とかした事ないからあなたの事を好きになれるかは分からないけど、まずはお互いの事を知る為に友達から始めちゃだめかな?」
「なんかはっちゃんがいい事言ってる様でそうでもない様な気がしてくる」
「しー!静かにして下さいいーさん!今いいとこなんですから!」
「む、外野がうるさい」
 せっかくいい感じに締めようとしたのに外野のせいで綺麗に決められなかったが、莉里斗は理解した様だ。
「分かりました。ではまずはお友達からで」
「む、よろしく」
 こうして三人は後輩の男の子六道莉里斗と友達になった。
「ちなみにいつはっちゃんに惚れたんだ?」
「今日の六時くらいです。ボクは帰宅部なので普段は授業が終わったらすぐ帰るのですが、今日は図書館で読書をしてまして。帰ろうかと思ったら先輩の教室から楽しそうな声が聞こえてきたので少し覗いた時に」
 莉里斗は思い出す様に目を閉じて話す。そして少し頬が赤みを帯びていく。
「おお!もしかして莉里斗君はこれが初恋ですか!?」
「お恥ずかしながら。あ、よろしければボクの事も愛称で呼んでください。皆さんそうなんですよね?」
 恋に恋する六花も莉里斗の会話は盛り上がっていた。今まで身内の恋の話だと本能寺とかいうドヘンタイと透という最低の遊び人くらいしかなかったので六花としては実に嬉しい話し相手ができたのだろう。
「ん?六時ごろ?」
「む、どうかした?」
 そんな二人を見ながら、いろはは少し首を傾げた。何か違和感を感じたのだ。
「いや、なんか引っかかるというか。納得出来ないというか。きしかんがある?」
「む、違和感?」
「それそれ」
 暫くいろはは「むむむむ」と波留の様に唸るがその違和感には気づくことが出来ない。
「波留先輩!今度の週末空いてますか!?お互いを知る為にデートしましょう!デート!」
「デート!いいですねデート!!はーさん!デートですよ!!」
「む、ろーうるさい」
 デートに誘っている莉里斗よりもうるさい程デートと叫ぶ六花に一言注意して波留は少し考える。波留は男が嫌いという訳ではないが、別段男友達もいないのでデートで何をすればいいのか分からない。それに褒められてもいないのでいきなり二人きりでの外出は難易度が高い。
「む、いーとろーも一緒なら行ってもいい」
「何で私らを巻き込むんだよ」
「む、緊張するから」
 表情を一才変えることなく緊張すると言う波留にいろはは少し嫌そうな顔を見せた。
「緊張する波留先輩も可愛いですねぇ。お二人がいいならボクは構いませんよ」
「む、サラッと可愛いとか言うの禁止」
「照れてます?そんな波留先輩も可愛いですよ」
 照れる波留に更に追い打ちをかける莉里斗に波留が視線を逸らした。すると莉里斗が少し離れて「すみません、からかい過ぎましたね」と言う。そのやりとりはまるでカップルのそれの様だ。
「いーさん!この二人のやりとりを身近でみるチャンスです!デートについて行きましょう」
「んー。まあいいか。なんか気になるしな」
 次回!波留と莉里斗のデート(二人の邪魔者付き)開幕!
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