いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

文字の大きさ
29 / 57

二十九限目 ロッカの伝説<莫迦共のトライフォース>

しおりを挟む
 トライフォースとは、任⚪︎堂のゲーム「ゼル⚪︎の伝説」シリーズに登場する秘宝であり、3つの三角形で構成された黄金の紋章です。それぞれ「力」「知恵」「勇気」を表し、この3つが揃うことで「神の力」が宿るとされています。
「尚、この解説は今回のお話に何の関与もしないのだわ。その事をよく理解した上で本編に進んでね」
「流石ちっちゃん!今回出番ないのに解説の為だけに来てくれてありがとな!」
 
 <二十九限目 ロッカの伝説 莫迦共のトライフォース>
 
「やっぱゼ⚪︎ダといえばトライフォースだよな」
「む?何の話?」
 最早見慣れつつあるリスポーン地点の草原にて最早慣れたしに戻りをしたいろはは楽しげに笑っていた。
「ざけんなコラァ!おいさっさとデスウサギ倒しにいくぞ!私を四回も殺しやがって!徹底的にぶちのめしてやる!」
 否。怒っていた。
「ぶるるるるるぅやっぱぁぁぁ!!」
「ウィンドウ展開!コマンド戦う!妖精のサポート発動!」
「む、動きが手慣れてきてる」
 数歩歩くとやはり敵に遭遇した。そしてやはりその遭遇した敵というのはちい⚪︎わのう⚪︎ぎにそっくりだが凶悪な鳴き声を放つデスウサギ(いろは命名)だった。
 [英語で書け! コーヒー]
「コーヒーだぁ?今これを書いてる作者が偶然目に入ったコ⚪︎ダ珈琲の看板から問題出題してんじゃねえよ!!」
 うるせぇ!問題思いつかないんだからしゃーないでしょうが!というかイライラし過ぎだ!昨日一時間半電車遅延してイライラしてた俺よりイライラしてるじゃないか!!
「む、たかがゲームでイライラするなんてみっともない」
「良いから早くヒントだせよぉ!」
 そんな事を言いながらも妖精のサポートは発動しているので次々と単語が浮かんでくる。
「む、一応言っておくけど。妖精のサポートは万全じゃない」
「分かってる。最後の一文字が出て書いてちゃ遅いんだろ」
 いろはは妖精のサポートが発動し、単語が浮かんでくるたびに一文字ずつ英単語を書き込んでいく。これならば最後の一文字が出て直ぐに英単語を書き込み、解答を叩きつける事が出来る。
「来たっ!!これだぁぁぁぁ!!」
 coffee
 [お見事!]
「ぶるぅぅぅぅぅぅばっはぁぁぁ!!」
 [いろはのしょうり!]
 遂にデスウサギに勝利したいろはが全力でガッツポーズをしてみせた。
「む、ようやく一勝か」
「うおおおおおおおおおおお!!」
 ガッツポーズだけでは喜びが足りなかったのかそのまま雄叫びまであげた。たかが序盤の敵を倒しただけなのだが。
 [いろはは十八ルピィを手に入れた]
「ルピィって、金か?」
「む、そう。そのルピィで防具を買えば一問くらい間違えても死ななくなるかもね」
「最高じゃねえか!とりあえずセーブだけする!」
 一問解いた結果が消えない様にまずはセーブ。これでこの一勝は永遠に消えないものとなった。
「む、見えた。あれが始まりの街」
 それから歩く事十分程度。三十八匹のデスウサギを制限時間ギリギリで倒してきたいろははようやく始まりの街へと辿り着いた。
「エンカ率高すぎるだろ」
 いろはは渋い顔をしてハーにそう言った。
「む?」
「エンカウント率が高すぎるだろ!ちょっと歩いたらすぐぶぅぅぅぅぅるぅやっばぁぁ!!だよ!!しかも街が遠い!まじ遠い!歩いて十分ってこれ戦闘時間計測してないからね!?戦闘抜きで十分!!!」
「む、着いたんだから良いじゃん」
「良くねえよクソッタレ!やっぱ中古で三百八十円はクソゲーだろ」
 ぶつぶつと言いながらもいろはとハーは始まりの街へと足を踏み入れ
「待ったー!誰か忘れちゃいませんかってんだー!!」
 る前に誰かに引き留められた。
「いや知るかよ。忘れるも何も会ってすらいないだろ」
「え!?なんか冷たい!」
 普段のいろはからは中々感じられない苛立ちを感じた相手が少し怯む。その相手とは。
「なら名乗ろう!私はサクシャー様の子分の一人!デイフラワーだ!」
「にっちゃんじゃねえか」
 いろはに声をかけて街に入るのを阻止したのは新田日華と同じ顔をした人物、デイフラワーだった。
「む、日をデイ。華でフラワーか。シンプルな名前」
「サンフラワーも考えたんだけどそれじゃあ違う意味になるからこっちにしたの!!」
 サクシャーの子分を名乗っている割に随分と親しげに話しかけてくるデイフラワーをいろははただ眺める。本来なら警戒くらいするべきなのだろうが、急に戦闘になった所でこちらのやる事は変わらないので大した問題ではない。
「さあ!私達は敵同士だ!ならやる事は一つだよねぇ!!?」
「上等だぁ!かかってこいやぁぁ!!」
 こうしてワールド一(恐らく)のボス、デイフラワーとの戦闘が始まった!
「私の攻撃、受けてみろ!!」
 [ぼうえいせん! 英語で書け! 八月]
 デイフラワーが勢い良く戦闘を挑んできたと思ったら即座に問題を出してくる。それ自体は問題ないが、その問題の前の言葉が気になる。
「何だ防衛戦って?」
「む。防衛戦とはその名の通り相手の攻撃をひたすらガードする時間」
「何だそりゃクソゲーだな!」
 そんな文句を言いながらいろはは妖精のサポートを発動し八月の英単語を書き込む。
「ほほーう。流石勇者!一筋縄では行かないみたいだね!」
「はっ!当たり前だろ!!」
 サポートを発動し、尚且つ時間ギリギリで答えを出しておきながらいろはは不適な笑みをしてデイフラワーに言葉を返す。これは一種の才能なのだろう。
「まだまだぁ!」
 [ぼうえいせん! 英語で書け! 月曜日]
「うわぁぁ!月曜日が近づいてくる!怖すぎるだろ!!何て恐ろしい技だ!!!」
 別に技自体は何も恐ろしくないが、いろはの言い分を考えると確かにこの攻撃は恐ろしい。月曜日がじわじわと近づいてくるなど、社会人、学生、全ての人への精神的攻撃となってしまう。
「む、ニートとおじいちゃんおばあちゃんは平気」
「今はそんな事言ってる場合じゃねえだろ!!」
 月曜日という恐怖が襲ってきているがいろははしっかりと妖精のサポートは発動させている。故に既に答えはうっすらと見えているのだ。それならばこのゲームにおける月曜日は怖くない。
「おらぁぁ!」
「くっ!この攻撃も防ぐとは!」
 二回目のデイフラワーの攻撃から身を守ると空中にウィンドウが開いた。
「よっしゃ、反撃タイムだな!!」
 その理由を即座に理解したいろははそのままタッチペンを出現させ、迷う事なく戦うを選択。そして現れる問題に妖精のサポートを発動させ・・・
「・・・ん?」
 何故か妖精のサポートが出なかったので、もう一度妖精のサポートを発動し・・・
「・・・発動しない!?どういう事だ!?」
「む?ボス戦は妖精のサポートでないよ?」
「クソゲーじゃねぇかァァァ!!」
 [ざんねん!]
「隙を見せたな!覚悟ぉぉ!」
 [いろははしんでしまった]
 
  ◇
「って事で、ボス戦で完全に詰んだからあのゲームやめるわ」
 いろはは笑いながらそう言い放った。場所はいつもの教室。目の前にいるのはロッカ姫、ではなく六花と妖精のハー、ではなく波留だ。
「む、ゲームならいーも勉強出来るかと思ったけど。甘かった」
「そこで勉強しようと思ってくれれば良かったんですけれどね」
 そう。別にいろはは異世界転生した訳でもなければゲームの世界に迷い込んだ訳でもない。ただ勉強をメインとしたゲームをやりながら自分がもしこの世界の主人公だったら、という妄想に浸っていただけである!!!
「それにしても魔王サクシャーって。むふふふふ」
「はっちゃんって笑うとスケベみたいに聞こえるよな」
 両手を口元に持ってきてポ⚪︎モンのミ⚪︎ウみたいに笑う波留に失礼な事を口走る。波留の言葉通り魔王サクシャーなど存在しない。そのゲームの魔王には当然違う名前がついていたが、いろはが勝手にそう命名したのだ。ハーもロッカ姫もデイフラワーと同じ。デスウサギだけはゲームと全く同じ笑い方や登場の仕方だったが。
「でもなあ楽しかったぜ。お陰で三話も書けたしな」
「む、それは良かった。エンカ率とか一回攻撃を喰らったら死ぬとか結構クソゲー感あったけど、楽しかったならそれでいい」
「今度はみんなでやれるゲームやろうなー!!」
 こうして全く身にはならなかったがそれなりに楽しかったロッカの伝説(いろはの中では)は幕を閉じた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...