いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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三十二限目 分かっているけれど

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 テスト期間とは、学校や大学で定期的に行われる試験を受けるための期間のことである。
「何だ何だ!?珍しくこの作品の原点に立ち返るのか!?」
 
 <三十二限目 勉強しなくちゃいけないのは分かってるけれど・・・>
 
「と、言う訳で。今日から試験期間なのだわ!だけれど、この部活は活動するのね」
「はい。わたくし達は文化部ですし、勉強をする為の部活ですからね」
 いろは達の通う学校は本日から一週間テスト週間に入る。そのテスト週間中は部活は休みになり普段忙しそうに部活をしている生徒達は次々に学校から帰宅していく。
「勉強なんてしなくてもいいじゃんかよー。折角のテスト週間なんだしあそぼーぜー」
「む。いーに同意。こんな時こそ遊ぶべき。テスト週間は学生の時にしか出来ない貴重な時間」
「そーだそーだ!青春を謳歌しようよー!!」
 テスト週間というテストの為だけにある一週間に遊ぼうと提案するバカどもが三人。いろはと波留、そしてテスト週間で暇している日華である。
「甘えた事を言わないで下さい。へーさんからも何か言ってやって下さい!」
「我か?そう言われても、実を言うと我もテスト週間にそれほど必死に勉強はしていないんだ」
「勝った!ほれみろろっちゃん!と言う訳で遊ぼうぜ!」
「テスト週間は予習の時間を復習に回すくらいだな」
「・・・ヨシュウ?」
 何を隠そう舳螺は毎回学年成績一桁の努力家である。その実力は普段からの勉学により磨かれているのだ。
「普段から一分も勉強していないいーさん。テスト週間くらいは真面目に勉強しましょう」
「何だよー!ろっちゃんも数学赤点の癖にー!」
「だから勉強するんですよ!!」
 カウンターを食わらせたつもりがそのカウンターを完全に回避されカウンター返しを喰らった。ぐうの音も出ない正論だ。
「作者ぁぁぁぁ!作者も学生時代テスト週間に勉強なんてしなかっただろぉぉぉ!!!でも今就職してそこそこに暮らしてんじゃん!だから私らも大丈夫だって!!」
 急に作者に振るんじゃない。それに作者は中学時代勉強しなかった事後悔してるぞ。あの時勉強の癖を付けておけば、今資格取得の為の試験一週間前なのに一ミリも勉強する気が起きないという現実になってなったかも知れないから。
「む、私達の産みの親がこれなんだし。私達が勉強する気にならないのも仕方ない」
「ほら!メタ発言で現実逃避しようとしても無駄ですよ!ペン取る!ノートを開く!テキストも教科書も開いて下さい!」
「なんかいつになく六花厳しくない?何かあったの?」
 日華の問いかけに一同が頷く。どうやら皆同じ事を思っていた様だ。今までの六花ならなんだかんだ言いながら最終的にはいろは達に流されていたと言うのに。
「何かも何もわたくし達は受験生ですよ!?焦るのは当然です!」
「でもこの作品はサザエさん形式だぞ?最終回で卒業はするけど」
「む?今回はメタ発言会なの?」
 六花の正論にあの手この手で争ういろはだが今回の六花は本気で勉強をさせるつもりだ。六花は大体押しに弱いもののこれと決めた事は決して譲らない頑固な一面も持ち合わせている。その頑固さが表に現れる事は少ないが、今回は頑固モードに入っている様だ。無言でテキストを押し付けてくる。
「わーったよ!勉強するよ!私も勉強しなきゃいけないなーとは思うからな!」
 勉強をしなければいけない事は分かっている。だが、ガチでやる気が出ないのだ。やり初めてもボーッとしてしまったり、他ごとを気にし出したり。
「急に部屋の埃が気になったりするのだわ。分かる。分かるのだわ」
 智奈ちゃんよ。理解を示してくれるのはありがたいが作者はその辺は気にならないな。スマホを捨てて勉強しようとすると本棚の漫画に目が行くわ。
「そ、そう。まあ気が散ってしまうというのは一緒なのだわ!」
 そうだね。智奈ちゃんもこっち側だもんね。
「そのこっち側って何か悪意を感じる言い方なのだわ。こっち側イコール勉強出来ない組って括りだったりしない?」
 ははは。まさかまさか。
「ほら。わたくし達も勉強するので作者さんも黙って勉強してください」
 はい。ナレーターの仕事に戻ります。
 こほん。こうして新生補習部は勉強を始めた。
「えーっと。この問題は」
「む、この問題は教科書のここに書いてある公式で解く」
「なるほど!つまり答えは六ですね!?」
「む、違う」
 六花と波留は数学の勉強を始めた。六花は基本真面目でやる気はあるのだが理数系がてんでダメでどれだけ勉強しても一人では永遠に解けないので理数系は完璧レベルの波留に勉強を教わる。この後は逆に六花は完璧レベルだが波留が壊滅的な現代文の勉強を予定している。
「白血球の中で一番多いのは好中球だ!私は『はたらく⚪︎胞』を見たから分かるぞ!」
「おお!やるじゃーん!これで理科は完璧だね!」
「そんな訳無いだろう。ほら、早く次の問題に移るんだ」
 いろは全ての教科がダメなので選択問題が多い理科と社会から始める事にした。特に苦手分野がない舳螺と特に得意分野がない日華もそれに便乗して勉強をしていた。
「こうやって聞くとへっちゃんとにっちゃんって似て非なる存在だよな。苦手分野がないのも得意分野がないのも大体同じ事なのにまるで違う」
「失礼な事言うねーぇ。得意分野が無いのと苦手分野が何のは大分違うよ!?だって舳螺は全てが得意分野と言ってもいいんだ!!でも私は全てが普通!得意でも無ければ別段苦手って訳でもない!つまり!私は舳螺の完全劣化版!!!」
「・・・聞いていて悲しくなる自虐は辞めてくれないか」
 他愛のない会話もちょこちょこ織り交ぜながら彼女達の勉強会は進んでいく。無論五人中三人がバカな為勉強の効率は実に悪かったり同じ問題で何度も間違えたりはするものの、しっかり真面目に取り組んでいる為か少しずつだが問題が解ける様になっていた。
「いいなぁ」
 そんな彼女達を見て智奈はポツリと独り言を溢した。
「・・・ちっちゃん。嫌味か?普通に考えて勉強をする事の何がいい事になるんだよぶっ飛ばすぞ」
「ごっ!ごめんなさい!?今のは口に出すつもりはなかったと言うか、別に勉強の事を言った訳ではないというか!」
 智奈も一年前までは学生だったのだ。勉強の大変さ、というか怠さと言うか面倒くささというかは充分に理解している。智奈が羨んだのは勉強ではなく勉強会である。
「む、そっか。ちーは友達いなかったんだっけ?」
「別にいなかった訳じゃないのだわ!!?朝の挨拶をしたり委員会で話したりはしたのだし」
「智奈ちゃん先生。それは友達じゃないよ」
 日華の鋭すぎる言葉が智奈の心臓を抉る。その状態からの応急処置を求めいろは達を見るがいろは、六花、波留はそれぞれが日華に同意する様に頷く。笑顔で、憐れみの表情で、無表情で。
「蛇塚さん!!!」
「・・・」
 唯一頷かなかった舳螺に智奈は救いを求めた。が、舳螺は何とも言えない表情を浮かべていた。
「気持ちは分かる。我も暫く前までは友人がいなかったからな」
「蛇塚さんが?何か意外なのだわ」
 知っての通り舳螺は勤勉で運動神経が良くて実に美人だ。正確も良く何がとは言わないが非常にデカい。これで中学生は嘘だろ。そんな蛇塚に友人がいなかった理由をいろは達は知っていたが智奈は知らなかったのだ。
「む、言うべき?」
「いえ、ここで言ったら恐らく智奈先生は蛇に睨まれた蛙になりますよ」
「あー。これが蛙化現象ってやつだね!私初めて見るかも!」
「まじか!?ちっちゃんが蛙に!?何の魔法だそりゃ!!!ここはファンタジー世界じゃねぇぞ!!!」
 四人が智奈に聞こえない様に小さな声で話していたがいろはの大声で智奈の耳に会話が届いとしまった。
「何の話してるのだわ?」
 しかし智奈は呆れた様な視線を送ってくるだけだった。まあ舳螺の両親がどんな人なのかは口にしていないし話が大きく逸れた故に問題もなかった。
「あ、あと一応言っておきますが。蛇に睨まれた蛙と蛙化現象はまるで違うものですからね」
「分かってるって。私をこの子達と一緒にしないでよ」
「あぁん!?誰がバカだって!?」
「む!?誰がアホだって!?」
 喧嘩を売られた(?)いろはと波留が何処からともなくカードゲームのデッキを取り出す。
「売られた喧嘩は買うのが決まり!決着付けようじゃねぇか!」
「む!決着は勝敗で決める!」
「望む所!!」
「「「スタンド⚪︎ップ!ヴァ⚪︎ガード!!!」」
 こうして三人でのヴァンガ⚪︎ド対決が始まった。ちなみに作者はヴ⚪︎ンガードのルール知らないので対戦の様子はご想像にお任せします。
「しまったのだわ。せっかくやる気になっていたのに変な事言って勉強を止めてしまったのだわ」
「いえ、お気になさらず。どのみちいーさん達の集中力は切れてきてましたので」
 慌てる智奈を六花が優しく嗜める。
「智奈先生。よろしければ、試験が終わったらわたくし達と遊びに出かけませんか?お友達と楽しく遊ぶのは今からでも間に合う筈です」
「我らは先生の友人ではないが、思い出を共有する事なら出来るだろう?」
「ろ、六谷さん。蛇塚さん!」
 智奈は半泣きになりながら二人のお誘いに同意した。六花、舳螺、智奈の絆レベルが上がった!
「あ、これ。私の負けか」
 そしてヴァンガー⚪︎が一番弱いのはいろはだった。
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