いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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五十三限目 道は険しければ険しい程見える景色は美しい

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 一匹縛りとは。特定のキャラクター一匹でそのゲームをクリアするという所謂縛りプレイの一種である。
「嗚呼!波留先輩!ボクに縛りプレイをしてくだるのですね!!?」
「む!?近寄るなキモい!!」
「ありがとうございます!!!」
 
 <五十三限目 道は険しければ険しい程見える景色は素晴らしい>
 
「と、言う訳で。ポ⚪︎モン新作で一匹縛りをするぞ」
 本日は土曜日。時刻は朝の九時。日華の家でいろははその様な事を口走った。寝ている日華の耳元で。
「ん、んんっ」
「まだ寝るか!?起きろ来客だ!!!」
 いろはから離れてもう一度寝ようとした日華の布団を勢い良く剥ぎ取る。すると日華にとてつもない寒さが襲いかかった。
「寒っ!ちょっとぉ。せっかく人が気持ち良く寝てるって言うのにぃ。ふぁぁ」
「折角の休日に寝るやつがあるか!!?休日は!遊ぶ為にある!!!」
「はぁぁ。仕方ないなぁ。・・・何で私の部屋にいる訳?」
「にっちゃんの父ちゃんが入れてくれた」
「お父さんめぇー!」
 恨み言を言いながら一旦パジャマから私服に着替えてリビングに行く。父に恨み言を言う為と、朝食を食べる為だ。
「お父さん!勝手にいろは家に上げないでよ!」
「む!おかわり!」
 リビングを開け放ちながら文句を言った日華の声はリビングで高らかにおかわりを宣言した声にかき消される。誰かは皆さんお分かりの筈なので敢えて言わないが、波留である。
「言ってんじゃねえか」
 言っちまった。
「はは。そう焦らなくても良い。食事は逃げたりしないからな」
「む。けれど時間は有限。にーが起きるまでに食べ終わっておきたい」
「何自然に朝ごはん食べてるの!?」
 目の前の光景に驚いた日華に波留は無言で手を上げて挨拶をし、日華の父、新田障は「おはよう、よく眠れたか?」と声をかけてきた。
「よく寝るつもりだったのにお父さんのせいで起こされたの!!」
「はは、すまない。それより日華も座るといい。今日の朝食はフレンチトーストだぞ」
「ぬぐぐ!フレンチトーストに罪はないから食べるけど、お父さんとは暫く口聞かないから!」
「ならばフレンチトーストは没収だな」
「ああもう!分かった!許すからちょうだい!」
「私にも寄越せぇぇ!!」
 こうして新田家のメンバーと来客達は朝食を共にした。
「今日にっちゃんの母ちゃんは?」
「遊びに行ってる」
「友人とランチだそうだ。まあランチとは名ばかりの談笑会と言った所だろう」
「ふーん。そんなんよりトレカの方がおもろいのに」
 いろはも友人と話すのは好きだが談笑する時間があるならトレカをやりたい。そういう生き物である。
「ってすっかりのんびりしちまったじゃねえか!!さっさと一匹縛りするぞ!!」
 ゆっくり朝食を食べ終えた瞬間思い出した様にいろはが椅子から飛び上がり日華の部屋へと駆けていく。
「にっちゃんの父ちゃん!洗い物よろしく!!」
「む。なんて失礼な。朝食をご馳走になった挙句洗い物を依頼するとは」
「構わないさ。元よりそのつもりだ。ほら、二人も行ってくるといい。あまり長い時間ゲームをし過ぎない様にな」
「む!ドロン!」
 その言葉を待ってましたとばかりに障の言葉を聞くと波留は漫画の様な走り方で日華の部屋へ駆けて行った。
「失礼な奴らだなぁ」
「いい友人を持ったな」
「あれが!?」
 確かに失礼極まりないが、子供なんてそんなものである。それより朝早くから日華を遊びに誘ってくれる友人がいる事の方が障としては嬉しかったのだ。
「はぁ。まあいっか」
 そんなこんなで日華は自身の部屋に入ると既にテレビとゲーム機の連携が完了していた。
「よし!一匹縛りするから二人は見ててな」
「しかも一緒にやるやつじゃないの!?いろはのプレイを見てるだけって!?暇じゃん!!」
「む?誰かがゲームしてるのを見るのって楽しくない?」
 こればかりは価値観の問題である。例えば作者は誰かがゲームをしているのを見るのは好きだ。リアクションとか楽しいし、苦戦してる様子とか見てるとそれはそれで楽しい。しかしただ見ているだけでは退屈なのも分かる。
「だから二人は他ごとしながら実況解説してくれや。一人じゃ悲しいからな」
「身勝手だなぁ」
「む。じゃあナルシオの探索やろ。こないだ全然やってないって言ってたやつ」
「ああ!手伝ってくれるなら助かるー!」
 こうして三人のゲーム会が始まった。
「オープニングムービーはスキップな。もう見た」
「む、初見プレイじゃないのがミソ。初見プレイじゃないからどんなポケ⚪︎ンがどこに出るのか分かる」
「そーいやどのポケモ⚪︎で一匹旅するの?」
「スター⚪︎ー」
 なぞの⚪︎ケモンと分類されるそのポ⚪︎モンで今回は旅をする。理由は簡単、話題になったからだ。
「だからヒトデ⚪︎ンを捕まえるまでは普通にやるぞ。ゲットしてからが本番な」
 そうしてプレイを始めて、目当てのポケ⚪︎ンが出る場所が見つけた。
「あった!あそこだ!!」
 そうしてプレイキャラがそこへ向かおうとすると。
 <そっちじゃないだろ。今はあっちに行こうぜ>
 ゲーム内のキャラが行く場所を制限してきた。
「私こいつ嫌い!!行き場を制限してくるし!常にこっちを監視してるし!借金してるし!弱いくせに粋がってて嫌い!」
「む、あくまで個人の感想です」
 仕方がないのでそのまま進めて遂にその場所へ。
「よっしゃ探すぞ!!」
「む、でもヒト⚪︎マンって夜にしか出なくない?」
「へ?」
「夜にするには暫くストーリー進めないとじゃない?」
「へ?」
 まずヒトデマ⚪︎ンを捕まえるのにかなりの時間がかかった。しかし、遂にゲットを果たした!
「よっしゃ!今日からお前の名前は『サイキョウ』だ!天下取ろうぜサイキョウ!!」
「む、安直な名前。でも、悪くない」
「ええー。何そのノリ」
 今まで使っていた手持ちをボックスに収納し、いろははサイキョウと一人で旅に出る。目標は当然頂点!
「早速初陣行くぞぉぉ!」
「え!?進化させないの!?」
 サイキョウはレベルアップで進化ではなくアイテムで進化する。そして、そのアイテムは今作では割と序盤に手に入る。その為日華はてっきり直ぐ進化させるものだと思っていたが、いろはは進化前のまま初陣へ駆け出した。
「いやな、進化させてもいいけどな?いきなり進化させたらつまらないだろ?そんなことしたら無双旅になっちまう」
「そうかなぁ?」
 まず一匹で戦う時点で大分不利だし、お世辞にもサイキョウとの名を与えられたモンスターは強くない。本当にいろはが危惧する様な事が起きるのだろうか。
「いや、でもまあ。序盤では確かに無双しちゃうかもか」
「ラスボス戦も余裕だぜ?」
「む、じゃあレベルアップも控えめにするの?」
「無闇にあげるつもりはねえけど、別に制限するつもりもねえかな。ユーチューバーじゃねえんだし、緩く行こうぜ年末ブッ⚪︎オフ」
 年末にしかしないCMやないか。知ってる人バカみたいに限られてくるだろ。
「行くぜ初陣!」
 そんなこんな話している間に初陣の相手であるトレーナーと会ったらしい。しっかりと名前のある強いトレーナーだ。
「行くぜサイキョウ!!!」
 相手のポ⚪︎モンは三匹。こちらは一匹。当然不利なこの戦い、制したのは!!
「え?」
 当然相手だ。なんなら相手を一匹も倒せずにサイキョウは散った。
「「「・・・」」」
「行くぞ」
「ん?」
「ウォーターストーン買いに行くぞぉぉぉぉ!!!」
 序盤無双の不安は消え、遂にサイキョウは頂点の姿へ。
「いや!まだだ!サイキョウは進化を超える!!まだ出来ねえけど。待ってろよ遥か高み!!!」
 いろはのサイキョウの冒険は!まだ始まったばかりだ!!!
 
 
「む、ポ⚪︎モン楽し過ぎて小説なんて書いてられない」
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