274 / 310
生徒会長の依頼
しおりを挟む
階下から響く不穏な物音、そして痛々しい悲鳴。真っ先に昇降機を降りたシャルロットは、すぐに騒ぎの原因を発見する。
「あら、生徒会長ですの」
「ぐふぅ……」
どうやら悲鳴の主はハインリヒだった模様、教室塔の正面にグッテリと倒れている。両足を揃え天に向けた、稀に見る間抜けな格好だ。
《部外者を排除いたしました》
「これは……なるほどですわ、受付ゴーレムに追い出されてしまったのですわね」
教室塔の一階には、部外者を排除する女性型の受付ゴーレムが設置されている。下級クラスに属さないハインリヒは、部外者と判断され排除されてしまったのだ。
「くっ、あの暴力人形は一体なんだ……」
「あれは受付ゴーレムですわ、部外者を排除してくれますのよ」
「部外者!? 私は生徒会長なのに、部外者扱いされたのか?」
悲しい事実にハインリヒは、ションボリと落ち込んでしまう。全身ボロボロでガックリ項垂れ、なんとも哀れみを誘う姿だ。
「ところ生徒会長、ワタクシ達に何か用事ですの?」
「そうだった、他ならぬシャルロット様へのこ依頼ですよ」
「……ワタクシへの依頼ですの?」
シャルロットの視線は冷たい、下級クラスへの嫌がらせを警戒しているのだ。しかしハインリヒに悪意はないらしく、一息つくと丁寧に頭を下げる。
「来週の卒業式、シャルロット様に在校生代表の挨拶をお願いしたいのです」
「えっ、ワタクシに代表挨拶!?」
ハインリヒからの思わぬ依頼に、シャルロットは戸惑いを隠せない。クラスメイトも一様に困惑している、だがウルリカ様だけはピンときていない様子。
「はてリヴィよ、代表挨拶とはなんじゃろうな?」
「卒業式では在校生代表から、卒業生へご挨拶を送るのです。お世話になった先輩方への、お祝いとお別れのご挨拶なのですよ」
「なんとっ、それは大役じゃな!」
ウルリカ様の言った通り、卒業生代表は紛れもない大役である。そんな大役をお願いされたとあり、シャルロットの動揺は増すばかり。
「待ってくださいですの、在校生代表は上級クラスの成績優秀者から選ぶ習わしですわよね?」
「おっしゃる通り、下級クラスから在校生代表を選出した例は一度もない」
「ではどうしてワタクシですの?」
「……私は心からロームルス学園を愛している、在校生代表には私の思いを引き継いでほしい。誰よりもロームルス学園を愛してくれる人へ、在校生代表挨拶をお願いしたい!」
「それは……もちろんワタクシはロームルス学園を愛していますの、でも他の生徒だってロームルス学園を愛しているはずですわ」
「下級クラスはロームルス学園のために、命を懸けて魔物と戦ってくれた。その際に指揮を執っていたのはシャルロット様です、あのお姿こそ真にロームルス学園を愛する生徒の姿です!」
パラテノ森林から湧き出た魔物の襲撃により、かつてロームルス学園は崩壊の危機へと陥った。その際シャルロットは下級クラスを率いて戦い、大きく勝利に貢献したのである。
勝利の女神と呼ばれるきっかけになった、誰しもの記憶に残る出来事だ。
「だからこそ私はシャルロット様に、在校生代表をお願いしたいのです! あらためてお願いします!」
ハインリヒの熱い思い、熱い言葉は嘘偽りのないものだ。気づけばシャルロットの瞳から警戒の色は消え失せていた、そして──。
「来週の卒業式、在校生代表の挨拶を引き受けていただけないでしょうか?」
「分かりましたわ、心をこめて挨拶しますの!」
ハインリヒの熱い思いに、シャルロットも熱い思いで応えたのだ。二人は大きく頷きながら、互いへの敬意を込めて固く握手を交わす。
こうしてハインリヒの要件は無事に終わった、はずなのだが何やら様子がおかしい。
「あ……あの?」
なぜかハインリヒはオリヴィアへと視線を送り、一向に帰ろうとしないのである。
「私の顔に何かついていますでしょうか?」
「おっと失礼、そういうわけではない。実はオリヴィアにも依頼、というより伝えておきたいことがある」
「えっ、私にも?」
「キミは……」
「あら、生徒会長ですの」
「ぐふぅ……」
どうやら悲鳴の主はハインリヒだった模様、教室塔の正面にグッテリと倒れている。両足を揃え天に向けた、稀に見る間抜けな格好だ。
《部外者を排除いたしました》
「これは……なるほどですわ、受付ゴーレムに追い出されてしまったのですわね」
教室塔の一階には、部外者を排除する女性型の受付ゴーレムが設置されている。下級クラスに属さないハインリヒは、部外者と判断され排除されてしまったのだ。
「くっ、あの暴力人形は一体なんだ……」
「あれは受付ゴーレムですわ、部外者を排除してくれますのよ」
「部外者!? 私は生徒会長なのに、部外者扱いされたのか?」
悲しい事実にハインリヒは、ションボリと落ち込んでしまう。全身ボロボロでガックリ項垂れ、なんとも哀れみを誘う姿だ。
「ところ生徒会長、ワタクシ達に何か用事ですの?」
「そうだった、他ならぬシャルロット様へのこ依頼ですよ」
「……ワタクシへの依頼ですの?」
シャルロットの視線は冷たい、下級クラスへの嫌がらせを警戒しているのだ。しかしハインリヒに悪意はないらしく、一息つくと丁寧に頭を下げる。
「来週の卒業式、シャルロット様に在校生代表の挨拶をお願いしたいのです」
「えっ、ワタクシに代表挨拶!?」
ハインリヒからの思わぬ依頼に、シャルロットは戸惑いを隠せない。クラスメイトも一様に困惑している、だがウルリカ様だけはピンときていない様子。
「はてリヴィよ、代表挨拶とはなんじゃろうな?」
「卒業式では在校生代表から、卒業生へご挨拶を送るのです。お世話になった先輩方への、お祝いとお別れのご挨拶なのですよ」
「なんとっ、それは大役じゃな!」
ウルリカ様の言った通り、卒業生代表は紛れもない大役である。そんな大役をお願いされたとあり、シャルロットの動揺は増すばかり。
「待ってくださいですの、在校生代表は上級クラスの成績優秀者から選ぶ習わしですわよね?」
「おっしゃる通り、下級クラスから在校生代表を選出した例は一度もない」
「ではどうしてワタクシですの?」
「……私は心からロームルス学園を愛している、在校生代表には私の思いを引き継いでほしい。誰よりもロームルス学園を愛してくれる人へ、在校生代表挨拶をお願いしたい!」
「それは……もちろんワタクシはロームルス学園を愛していますの、でも他の生徒だってロームルス学園を愛しているはずですわ」
「下級クラスはロームルス学園のために、命を懸けて魔物と戦ってくれた。その際に指揮を執っていたのはシャルロット様です、あのお姿こそ真にロームルス学園を愛する生徒の姿です!」
パラテノ森林から湧き出た魔物の襲撃により、かつてロームルス学園は崩壊の危機へと陥った。その際シャルロットは下級クラスを率いて戦い、大きく勝利に貢献したのである。
勝利の女神と呼ばれるきっかけになった、誰しもの記憶に残る出来事だ。
「だからこそ私はシャルロット様に、在校生代表をお願いしたいのです! あらためてお願いします!」
ハインリヒの熱い思い、熱い言葉は嘘偽りのないものだ。気づけばシャルロットの瞳から警戒の色は消え失せていた、そして──。
「来週の卒業式、在校生代表の挨拶を引き受けていただけないでしょうか?」
「分かりましたわ、心をこめて挨拶しますの!」
ハインリヒの熱い思いに、シャルロットも熱い思いで応えたのだ。二人は大きく頷きながら、互いへの敬意を込めて固く握手を交わす。
こうしてハインリヒの要件は無事に終わった、はずなのだが何やら様子がおかしい。
「あ……あの?」
なぜかハインリヒはオリヴィアへと視線を送り、一向に帰ろうとしないのである。
「私の顔に何かついていますでしょうか?」
「おっと失礼、そういうわけではない。実はオリヴィアにも依頼、というより伝えておきたいことがある」
「えっ、私にも?」
「キミは……」
0
あなたにおすすめの小説
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)
長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。
彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。
他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。
超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。
そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。
◆
「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」
「あらすじってそういうもんだろ?」
「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」
「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」
「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」
「ストレートすぎだろ、それ……」
「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」
◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
リヒト
ファンタジー
現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。
そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。
その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。
お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。
お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる