275 / 310
生徒会長の温情
しおりを挟む
「キミは以前ロームルス学園に通っていた、間違いないか?」
「はい、ですが実家の事情で通えなくなりまして……」
オリヴィアはロームルス学園の元生徒であり、実家の没落により退学を余儀なくされた。思い出すだけで塞ぎ込んでしまうほど、オリヴィアにとっては辛い過去である。
「事情は分かっている、その上で聞いてくれ。キミさえよければ、あらためてロームルス学園に入学しないか?」
「ひええっ!?」
普段は落ちついているオリヴィアだが、この提案には悲鳴をあげて激しく仰天。ビクリと全身を硬直させ、口をパクパク目をパチパチ。どうやら事態を飲み込めておらず、混乱状態に陥っている模様。
「あっ、あの? 入学とはどういう……ふえぇ?」
「まあまあ、落ちついて聞いてほしい。まず大前提として、私はオリヴィアをロームルス学園の生徒に相応しい人物だと思っている」
「相応しい人物ぅ!?」
「在籍当時の成績、この一年ロームルス学園に寄与してくれた実績。ロームルス学園の生徒として十二分に相応しく、模範生と称しても差し支えない。以上を鑑みて私は、オリヴィアのロームルス学園入学を推薦したい」
「はわっ……はわわっ……」
「というより勝手ではあるが、既に推薦を済ませてある。学費は免除、入学試験も免除、次の新入生として下級クラスへ入学、全て学長は了承してくれた」
驚くべきことにハインリヒは、先行してオリヴィアの入学許可を取りつけていた。一枚の書状をオリヴィアに差し出す、そこには大きな文字で入学許可証と記されている。
「どうだろう、再び生徒としてロームルス学園に通ってくれないだろうか?」
「ロームルス学園の生徒として……あ、でも私はウルリカ様の従者で──」
「やったのじゃ、リヴィもロームルス学園の生徒になるのじゃ!」
「──ウルリカ様っ」
「これでオリヴィアも俺達と同じ、下級クラスの生徒だぜ!」
「そうと決まればお祝いしましょう、リヴィの入学祝いです!」
律儀にもオリヴィアは、主であるウルリカ様の意見を伺おうとする。だが伺う間もなくウルリカ様は大喜び、クラスメイトも大喜びのお祭り騒ぎである。
ウルリカ様の許可を得て、もはや入学を妨げるものはない。オリヴィアは入学許可証を受け取り、大事そうに胸元へ抱き寄せる。
「ありがとうございます、心から感謝いたします」
「妾からもありがとうなのじゃ、ハインリヒは優しい人間なのじゃ!」
「また名前を間違えているぞ、私の名前は……間違えていないだと!?」
「ちゃんと覚えたのじゃ、生徒会長のハインリヒなのじゃ」
ハイリリリンやらイハンリヒやらアンソニーやら、いつまで経ってもハインリヒはウルリカ様から名前を覚えてもらえなかった。しかし卒業を目前にしてようやく、正しい名前を覚えてもらったのである。
「完璧だ、しかし念のためもう一度呼んでくれ!」
「生徒会長のハインリヒなのじゃ」
「素晴らしい、もう一度名前を──」
「むうぅ、面倒くさいのじゃ!」
「──あぁ、これは失礼した」
よほど嬉しかったのだろう、ハインリヒはドバドバと涙を流して大歓喜。何度もウルリカ様に名前を呼ばせ、ついには鬱陶しがられる始末だ。
「ともかく伝えたかったことは以上だ、シャルロット様の在校生挨拶とオリヴィアの入学、私からノイマン学長とラヴレス副学長に報告しておくよ」
「それにしても生徒会長、今日は別人のように温和ですわね」
「卒業を前に色々と考え、くだらない自尊心は捨て去ったのですよ……。ああそうだ、卒業式の後は休みに入る、その間にオリヴィアは入学準備を整えてくれ」
「かしこまりました、しっかり準備を整えて……あ、その間ウルリカ様のお世話はどうしましょうか?」
「ならば妾は魔界へ遊びにいってくるのじゃ、ミーアと約束しておったからの」
ウルリカ様は配下との約束を決して忘れない。南ディナール王国でミーアと交わした“長い休みがあれば魔界に戻る”という約束を、しっかりと覚えていたのである。
「楽しみじゃな、ワクワクするのじゃ!」
翌週は卒業式、その後はオリヴィアの入学、そしてウルリカ様の進級、ワクワクの未来に胸は高まるばかりである。
「はい、ですが実家の事情で通えなくなりまして……」
オリヴィアはロームルス学園の元生徒であり、実家の没落により退学を余儀なくされた。思い出すだけで塞ぎ込んでしまうほど、オリヴィアにとっては辛い過去である。
「事情は分かっている、その上で聞いてくれ。キミさえよければ、あらためてロームルス学園に入学しないか?」
「ひええっ!?」
普段は落ちついているオリヴィアだが、この提案には悲鳴をあげて激しく仰天。ビクリと全身を硬直させ、口をパクパク目をパチパチ。どうやら事態を飲み込めておらず、混乱状態に陥っている模様。
「あっ、あの? 入学とはどういう……ふえぇ?」
「まあまあ、落ちついて聞いてほしい。まず大前提として、私はオリヴィアをロームルス学園の生徒に相応しい人物だと思っている」
「相応しい人物ぅ!?」
「在籍当時の成績、この一年ロームルス学園に寄与してくれた実績。ロームルス学園の生徒として十二分に相応しく、模範生と称しても差し支えない。以上を鑑みて私は、オリヴィアのロームルス学園入学を推薦したい」
「はわっ……はわわっ……」
「というより勝手ではあるが、既に推薦を済ませてある。学費は免除、入学試験も免除、次の新入生として下級クラスへ入学、全て学長は了承してくれた」
驚くべきことにハインリヒは、先行してオリヴィアの入学許可を取りつけていた。一枚の書状をオリヴィアに差し出す、そこには大きな文字で入学許可証と記されている。
「どうだろう、再び生徒としてロームルス学園に通ってくれないだろうか?」
「ロームルス学園の生徒として……あ、でも私はウルリカ様の従者で──」
「やったのじゃ、リヴィもロームルス学園の生徒になるのじゃ!」
「──ウルリカ様っ」
「これでオリヴィアも俺達と同じ、下級クラスの生徒だぜ!」
「そうと決まればお祝いしましょう、リヴィの入学祝いです!」
律儀にもオリヴィアは、主であるウルリカ様の意見を伺おうとする。だが伺う間もなくウルリカ様は大喜び、クラスメイトも大喜びのお祭り騒ぎである。
ウルリカ様の許可を得て、もはや入学を妨げるものはない。オリヴィアは入学許可証を受け取り、大事そうに胸元へ抱き寄せる。
「ありがとうございます、心から感謝いたします」
「妾からもありがとうなのじゃ、ハインリヒは優しい人間なのじゃ!」
「また名前を間違えているぞ、私の名前は……間違えていないだと!?」
「ちゃんと覚えたのじゃ、生徒会長のハインリヒなのじゃ」
ハイリリリンやらイハンリヒやらアンソニーやら、いつまで経ってもハインリヒはウルリカ様から名前を覚えてもらえなかった。しかし卒業を目前にしてようやく、正しい名前を覚えてもらったのである。
「完璧だ、しかし念のためもう一度呼んでくれ!」
「生徒会長のハインリヒなのじゃ」
「素晴らしい、もう一度名前を──」
「むうぅ、面倒くさいのじゃ!」
「──あぁ、これは失礼した」
よほど嬉しかったのだろう、ハインリヒはドバドバと涙を流して大歓喜。何度もウルリカ様に名前を呼ばせ、ついには鬱陶しがられる始末だ。
「ともかく伝えたかったことは以上だ、シャルロット様の在校生挨拶とオリヴィアの入学、私からノイマン学長とラヴレス副学長に報告しておくよ」
「それにしても生徒会長、今日は別人のように温和ですわね」
「卒業を前に色々と考え、くだらない自尊心は捨て去ったのですよ……。ああそうだ、卒業式の後は休みに入る、その間にオリヴィアは入学準備を整えてくれ」
「かしこまりました、しっかり準備を整えて……あ、その間ウルリカ様のお世話はどうしましょうか?」
「ならば妾は魔界へ遊びにいってくるのじゃ、ミーアと約束しておったからの」
ウルリカ様は配下との約束を決して忘れない。南ディナール王国でミーアと交わした“長い休みがあれば魔界に戻る”という約束を、しっかりと覚えていたのである。
「楽しみじゃな、ワクワクするのじゃ!」
翌週は卒業式、その後はオリヴィアの入学、そしてウルリカ様の進級、ワクワクの未来に胸は高まるばかりである。
0
あなたにおすすめの小説
身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)
長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。
彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。
他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。
超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。
そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。
◆
「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」
「あらすじってそういうもんだろ?」
「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」
「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」
「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」
「ストレートすぎだろ、それ……」
「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」
◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
Radiantmagic-煌炎の勇者-
橘/たちばな
ファンタジー
全てを創世せし神によって造られた、様々な種族が生息する世界──その名はレディアダント。
世界は神の子孫代々によって守られ、幾多の脅威に挑みし者達は人々の間では英雄として語り継がれ、勇者とも呼ばれていた。
そして勇者の一人であり、大魔導師となる者によって建国されたレイニーラ王国。民は魔法を英雄の力として崇め、王国に住む少年グライン・エアフレイドは大魔導師に憧れていた。魔法学校を卒業したグラインは王国を守る魔法戦士兵団の入団を志願し、入団テストを受ける事になる。
一つの試練から始まる物語は、やがて大きな戦いへと発展するようになる──。
※RPG感のある王道路線型の光と闇のファンタジーです。ストーリー内容、戦闘描写において流血表現、残酷表現が含まれる場合もあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる