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28 ど近眼魔女とみんなの気持ち
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「作るわよ!完全無欠の万能解毒薬を!!」
私はその時、なんだかやる気がみなぎっていた。たぶん解決の糸口が見つかったから興奮していたのかもしれない。
初めて作った解毒薬は自分の為ではあったが、効果は上出来だったはずだ。なにせあの師匠のお墨付きである。人体に対して使われるような大概の毒ならばすぐに解毒できる自信もあった。そんなに出番は無かったけれど、あれから私は色んな薬を調合しながらも解毒薬の研究も進めていたのである。
……仮死薬については、下手に研究するとちょっとアレかな?と思ってやめておいたのだけど。師匠にも個人的な物として留めておいた方がいいだろうと言われていたし自分でもそう思ったからだ。まぁ、本人の魔力を混ぜなくてはいけないし作る工程も小難しいので量産はやはり無理だったのもあるのだが……。いやまぁ、なんかね。たぶん、下手にバレて戦争とか王族の争いとかに巻き込まれないようにってことだとは思っている。
とにかく私の黒歴史は置いておいて、今回は石化の解毒……しかも相手は神獣だ。一筋縄ではいかないだろう。
「神獣、ううん、聖獣ね。……まぁ、ようは聖霊の進化系だろうけれど、薬ってどの範囲まで効果があるのかしら?あぁでも、本当に魔女の薬が効いて石化したのならば一定の効果は見込めるだろうけれど……」
それから数日、私はあれやこれやと寝食も忘れて薬作りに没頭していた。
その間に、まさかあんな騒動が起きているなんて想像すらしていなかったのだ。
***
「さぁて、じゃあ薬作りはアリアさんにお任せするとして……私たちはその聖獣の石……あ、岩か。それを見つけに行きましょうか!」
ルルーシェラが「えいえいおー!」と拳を天高く上げると、その隣には当たり前のように大根がすくっと立ち上っていた。
その大根は、根が分かれたように生えた立派な足で地面を蹴り上げ、ぴょこりと横から生えた手らしき根をルルーシェラを真似するように上へと伸ばした。頭にわっさわさと青々と生えている葉っぱはみずみずしく、大根が揺れるたびに水しぶきを飛ばしていた。
「じぶん、だーいこーんあーしなーんでぇぇぇぇぇ!!!!」
やる気はじゅうぶんであった。
「ピィピィ」
なぜか息ぴったりのルルーシェラと大根の姿にシロも納得とばかりに頷いていた。……が、そのテンションの高さにはついていけなかった。
なにせ、ルルーシェラと大根は手と手(?)を取り合ってくるくると踊っているのだ。
「大根さんとは、やっぱり相性がいい気がしますね!」
「じぶん、だいこんあしなんで!」
うふふ、あはは。と、なぜか通じ合っているようだ。
シロは思っていた。
あの大根はアリアの魔力から生まれたはずなのに自由過ぎる。と。
専属聖霊ではないとは言え、アリアの魔力を含んだ畑から生まれて妖精となった大根にはアリアの魔力が含まれている。ならばアリアに従うのが基本のはずだ。
いや、たぶん大根的にはアリアに従っているのだろう。だが、シロから見ればあの大根はかなり自由なのだ。
アリアに意見し、アリアが拒否しても無理矢理納得させて旅についてくるなんて……ただの妖精にしてはやりすぎである。アリアは最初、大根をこの旅に連れてくるつもりは無かったはずだ。しかし大根の熱心なアピールによりアリアが折れた形におさまっているだが、普通に考えれば単なる妖精が魔力を持つ魔女に意見などできるはずがないのだ。
それこそ、特別な何かを持っていないと……。
それでもシロは、この大根をそれなりに認めていた。
偶然に生まれた大根の妖精……。しかしあの森を守る為に奮闘していたのも知っている。アリアに言われた事を信じて守り、自分だけの主と出会うのを夢見ていることも。────本当はアリアの専属妖精になりたいと願っていることも。
だが、アリアの専属の座は決して渡さない。アリアは深く考えていないだろうが、実は聖霊でも妖精でも、魔力を持つ人間の“専属”になれるのはひとつの存在だけなのだ。この事実をアリアに伝えなかったのは混乱させたくなかったからだが……アリアが大根に名前を付けなかった時、シロがどれだけホッとしたかアリアは知らない。
シロは、少しだけ大根に嫉妬していたのだ。
自由で、なんだかんだとアリアの関心を引く大根に。
大好きでなによりも大切な魔女。さすがにコハクに勝とうとは思わないが……やっぱり大根に負けるのは絶対に嫌だった。
「ピィ」
ルルーシェラという新たな魔女がアリアにどう影響するかはまだわからないが……このままアリアの役に立ち、ついでに大根を引き取ってくれるならシロにとっては万々歳である。
だから、この後……ルルーシェラと大根が色々と騒ぎを起こしてもシロは見て見ぬ振りをするのだった。
「王城の抜け道を探しますよーっ!!」
「じぶん、だいこんあしなんでーっ!!」
張り切っている様子を見ながら、もしもルルーシェラ達が捕まってもアリアには知らせないでおこう。そんな事を考えながらシロは見守っていただが……。
「お目当ての岩のある場所……見つけました!」
「じぶん、だいこんあしなんで!」
数日後、泥だらけになったルルーシェラと大根がアリアの前に姿を現したのだった。
私はその時、なんだかやる気がみなぎっていた。たぶん解決の糸口が見つかったから興奮していたのかもしれない。
初めて作った解毒薬は自分の為ではあったが、効果は上出来だったはずだ。なにせあの師匠のお墨付きである。人体に対して使われるような大概の毒ならばすぐに解毒できる自信もあった。そんなに出番は無かったけれど、あれから私は色んな薬を調合しながらも解毒薬の研究も進めていたのである。
……仮死薬については、下手に研究するとちょっとアレかな?と思ってやめておいたのだけど。師匠にも個人的な物として留めておいた方がいいだろうと言われていたし自分でもそう思ったからだ。まぁ、本人の魔力を混ぜなくてはいけないし作る工程も小難しいので量産はやはり無理だったのもあるのだが……。いやまぁ、なんかね。たぶん、下手にバレて戦争とか王族の争いとかに巻き込まれないようにってことだとは思っている。
とにかく私の黒歴史は置いておいて、今回は石化の解毒……しかも相手は神獣だ。一筋縄ではいかないだろう。
「神獣、ううん、聖獣ね。……まぁ、ようは聖霊の進化系だろうけれど、薬ってどの範囲まで効果があるのかしら?あぁでも、本当に魔女の薬が効いて石化したのならば一定の効果は見込めるだろうけれど……」
それから数日、私はあれやこれやと寝食も忘れて薬作りに没頭していた。
その間に、まさかあんな騒動が起きているなんて想像すらしていなかったのだ。
***
「さぁて、じゃあ薬作りはアリアさんにお任せするとして……私たちはその聖獣の石……あ、岩か。それを見つけに行きましょうか!」
ルルーシェラが「えいえいおー!」と拳を天高く上げると、その隣には当たり前のように大根がすくっと立ち上っていた。
その大根は、根が分かれたように生えた立派な足で地面を蹴り上げ、ぴょこりと横から生えた手らしき根をルルーシェラを真似するように上へと伸ばした。頭にわっさわさと青々と生えている葉っぱはみずみずしく、大根が揺れるたびに水しぶきを飛ばしていた。
「じぶん、だーいこーんあーしなーんでぇぇぇぇぇ!!!!」
やる気はじゅうぶんであった。
「ピィピィ」
なぜか息ぴったりのルルーシェラと大根の姿にシロも納得とばかりに頷いていた。……が、そのテンションの高さにはついていけなかった。
なにせ、ルルーシェラと大根は手と手(?)を取り合ってくるくると踊っているのだ。
「大根さんとは、やっぱり相性がいい気がしますね!」
「じぶん、だいこんあしなんで!」
うふふ、あはは。と、なぜか通じ合っているようだ。
シロは思っていた。
あの大根はアリアの魔力から生まれたはずなのに自由過ぎる。と。
専属聖霊ではないとは言え、アリアの魔力を含んだ畑から生まれて妖精となった大根にはアリアの魔力が含まれている。ならばアリアに従うのが基本のはずだ。
いや、たぶん大根的にはアリアに従っているのだろう。だが、シロから見ればあの大根はかなり自由なのだ。
アリアに意見し、アリアが拒否しても無理矢理納得させて旅についてくるなんて……ただの妖精にしてはやりすぎである。アリアは最初、大根をこの旅に連れてくるつもりは無かったはずだ。しかし大根の熱心なアピールによりアリアが折れた形におさまっているだが、普通に考えれば単なる妖精が魔力を持つ魔女に意見などできるはずがないのだ。
それこそ、特別な何かを持っていないと……。
それでもシロは、この大根をそれなりに認めていた。
偶然に生まれた大根の妖精……。しかしあの森を守る為に奮闘していたのも知っている。アリアに言われた事を信じて守り、自分だけの主と出会うのを夢見ていることも。────本当はアリアの専属妖精になりたいと願っていることも。
だが、アリアの専属の座は決して渡さない。アリアは深く考えていないだろうが、実は聖霊でも妖精でも、魔力を持つ人間の“専属”になれるのはひとつの存在だけなのだ。この事実をアリアに伝えなかったのは混乱させたくなかったからだが……アリアが大根に名前を付けなかった時、シロがどれだけホッとしたかアリアは知らない。
シロは、少しだけ大根に嫉妬していたのだ。
自由で、なんだかんだとアリアの関心を引く大根に。
大好きでなによりも大切な魔女。さすがにコハクに勝とうとは思わないが……やっぱり大根に負けるのは絶対に嫌だった。
「ピィ」
ルルーシェラという新たな魔女がアリアにどう影響するかはまだわからないが……このままアリアの役に立ち、ついでに大根を引き取ってくれるならシロにとっては万々歳である。
だから、この後……ルルーシェラと大根が色々と騒ぎを起こしてもシロは見て見ぬ振りをするのだった。
「王城の抜け道を探しますよーっ!!」
「じぶん、だいこんあしなんでーっ!!」
張り切っている様子を見ながら、もしもルルーシェラ達が捕まってもアリアには知らせないでおこう。そんな事を考えながらシロは見守っていただが……。
「お目当ての岩のある場所……見つけました!」
「じぶん、だいこんあしなんで!」
数日後、泥だらけになったルルーシェラと大根がアリアの前に姿を現したのだった。
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